2009年02月28日

土曜日の調整報告 【 Pelikan 101N 赤茶縞 14K-B 尻軸よりインク漏れ 】

2009-02-28 01 今回の依頼品はPelikan 101N の茶縞。分類上は天冠がBrownで、軸がTortoiseshellというもの。この軸は今までに何本も見てきたが、これが最も美しい発色のように思われる。BrownというよりもRedに近い天冠や、濃い縞は拙者後のみ。薄い縞の軸はどうしてもインクが透けて見えたりして精神衛生上良くない・・・

 依頼内容はピストンが固いと言うことだったが、それ以前にインクを入れると尻軸から漏れる。ペン先ユニットを外してペンを逆さまにして試験管立てにセットし、口まで水を入れて放置すると、水が減っていくのが目で見てわかるほど!

 これはコルクが割れているか、収縮しているかじゃ。この時代のものは既に樹脂製の弁に変えられている物がほとんどだが、まだコルクのままで生き延びていたと考えられる。奇蹟的に・・・。拙者は101Nでコルク弁の物は見たことはない。初見参となる。

2009-02-28 022009-02-28 03 依頼者は自分で調整されている方。非常にうまい具合に研がれている。スリットも開き、インクフローも良い。

 ただこの時代のペンポイントはMontblancにもPelikanにも粒度の粗いものがある。この個体に付いているものも粒度が粗い。従っていくら細かいラッピングフィルムで研磨しても表面がツルツルにはならない。

 ところが、この多少残るザラザラ感が実に良いのじゃ。このモデルは1937年から1951年まで製造されている。製造終了の年が、拙者の生まれる前年。少なくとも拙者よりは年上。慈しんでほしいものじゃ。

2009-02-28 042009-02-28 05 横顔を見ると・・・多少ペン芯が後に寄りすぎ。もう少しペン芯の先端部を前に出した方が良かろう。このままでは書き出し時や筆記途中のインク切れのリスクが大きいはずじゃ。何よりも美しくない・・・もっとも美しさの感覚は人それぞれだがな。

2009-02-28 06 左端が101Nの中でやせ細っていたコルク製の弁。真ん中はMontblanc No.146用のコルク、右端がPelikan用の交換部品として入手したコルク。これは独逸から入手した。Montblancのものと比べると、かなり粗いコルクで品質も悪い。

 拙者の父親がコルク会社に勤めていたので、拙者はコルクについてはうるさい。今から40年前に【最近は原材料の品質が悪くて困る】と言っていたくらいなので、今や製品品質は・・・ま、しようがない。

2009-02-28 07 実は、今回コルクの品質はピストン弁に関してはあまり問題にならないことがわかった。まずはピストン軸にコルクを押し込み、固定してから、軸の内径にピッタリ合うようにコルクをヤスリで削っていく。これに時間がかかる。急ぐと楕円形になってしまう。極力円筒形になるように、確認しながら削っていく。根気のいる作業じゃ。

 出来上がったらスプーンにイボタ蝋結晶のかけらを入れて、ガスコンロの火であぶりドロドロブクブクになったら、その中にコルク部分を浸して回す。そうすると蝋がコルクに染みこむと同時にコルク内部の気泡が表面に付着する。それを振り落としながら泡が出なくなるまで・・・煮る!

 次に冷やしてから外周部分の形を整えて軸に押し込むのだが、キツイはず。そこで表面にシリコングリースを塗り、軸の内側にもシリコングリースを塗ってからねじ込むのじゃ。

2009-02-28 08 終了したら上下にピストンを動かして具合を確かめる。パーフェクトじゃ!まったくインクが付着していないピストンの完成。念のために精製水を入れて実験してみたがまったく漏れない。

 そのまま精製水を入れて、引き取りを待つ状態になっている。おそらくは4月のペントレでお渡しすることになるのであろう。

2009-02-28 09 ペン先はソケットから抜き出し、清掃した後、ペン先とペン芯との位置関係を正して再度押し込んだ。表面を軽く金磨き布で研磨したので綺麗になった。

 ただし磨きすぎると趣が無くなってしまうので、力加減が難しいところじゃ。今回はほとんどわからない程度に出来た。上々の出来!

2009-02-28 10 こちらがペン先とペン芯との位置関係。拙者はこの状態が好き・・・といっても数年前とは好みの位置がかわっている。昔はもう少しペン芯の位置が後だったような気がする。

 拙者はPelikan 101という色軸は持っているが、色軸はやはりポッチャリしたPelikan 101Nの方が似合う。これは大事に使って欲しい物じゃ。


今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整3h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間 
        
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Posted by pelikan_1931 at 08:00Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月27日

ナースのルール その13

2008-11-28 【ナースのルール】の萬年筆界パロディー編は毎週金曜日に公開される。

 以前の【ドクターズルール】に引き続いてのコアなファンを持つコーナーじゃ。

 まずは青字の文章を読む。

 それに対する拙者の 本音ギャグ を下に書いてある。

 これを真似て、青字の部分に関する【浅はかで愚かな解釈】をコメント欄に書いて下され。


1.寝ている患者を起こしてまで、鎮静剤、鎮痛剤、あるいは緩下剤などを与えてはいけない。

 → 萬年筆研究会【WAGNER】定例会に参加すると、寝ている患者どころか、死者までもが起き上がってくる。ゾンビ、キョンシーの世界じゃ!

 → 緩下剤・・・インク誘導液?


2.看護婦の不養生。

 → (メーカー)調整師の不養生・・・お酒は控え目に! 痛風、糖尿病にご注意を!

 → 女王様の徹夜・・・そんなに長い間研磨したらペンポイントが無くなりますぞ!


3.慢性的な徴候のある患者には2つの質問をしなさい。
   すべきではないことで、行っていることは何ですか?
   すべきことで、行っていないことは何ですか?

 → すべきではないことで、行っていること・・・・ 熱くなって、ポチっと逝ってしまう。

 → すべきことで、行っていないこと・・・・ そのことを連れ合いに報告しない。


4.まず楽に考えなさい。

 → 起こって欲しくない事ほど、発生確率が高くなる。
    ある休日、トイレにはいった瞬間に、海外から荷物が届いた・・・

 → 【また独逸のXXXXXXXさんからよ】と冷ややかな眼で見られる・・・
    【リスクは発生確率が少ないものほど発生するとインパクトが大きい】と何十回も講義しているのじゃが・・・



5.橋の上で蹄の音が聞こえたら、まず、シマウマではなく普通の馬を想像しなさい。

 → マンションの廊下でキャスターの音が聞こえたら、まず、隣人ではなく宅配便を想定し、いち早く玄関に行きなさい。

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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 先人の教え 

2009年02月26日

Pelikan #760 18C-BB 【EN】 W.-GERMANY 1838-1988

2009-02-26 01

 これはPelikan #760。どうって事はない金鍍金の軸だが拙者が大好きなモデル。物品税の時代には7万円の定価が付いていたこともある。

 キャップには【W.-GERMANY】の刻印がある。独逸統一の前に作られたものである。ちなみに一般的には独逸統一と呼ばれているが、実際には東独逸が西独逸に所属するようになったというのが正しいとか。

2009-02-26 02 ペン先は金一色の18Cのニブがついている。しかもBB。最近ではこの組み合わせを見つけるのは非常に困難になってきている。

 拙者は10年以上前に、マレーシアでニブだけ4本入手した。全て金一色の18C-BBじゃ。これをトレド 2本と#760 2本に取り付けている。もちろん次世代に伝えるべく座敷牢に幽閉中。

 キャップには【1838-1988】との刻印がある。ペリカン創立150周年記念モデルということじゃな。ただ、このモデルは限定品ではなく、かなり長期間販売されていたように記憶している。値段も手頃だったが、値頃感が出た頃には18Cのバイカラーニブに変わっていた・・・

2009-02-26 03 このニブの右側には【EN】との刻印がある。PFにしろ、ENにしろ、18金ペン先のモデルにしか付いていない。これはM800用のニブも同様で、刻印があれば必ず18金ペン先だが、18金ペン先だからといって刻印があるわけではない。現行ニブは18Cニブだが刻印は無いからな・・・

2009-02-26 04 ペン先はまったく調整していないので、滑りは悪い。紙の上を高速でスライドさせると、ピーピーという高音を鳴らす。これがたまらなく良い。

 インクを入れて書いたら、インクの飛沫をまき散らしながら走るのであろう。いつかは実験してみたいものじゃ。

  
Posted by pelikan_1931 at 08:00Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆紹介 

2009年02月25日

水曜日の調整報告 【 OMAS 360 18C-M 落下事故後始末 】

2009-02-25 01 今回の依頼品はOMAS 360のシルバートリムの黒軸。昔同じ模様の白軸を持っていたのだが、それとくらべると相当重く感じた。この時点では、気のせいかな?と思っていたのだが・・・

 このOMAS 360はペン先のスリットが三角形のどこかの頂点に合うようにセットされているので、スキャナーで撮影するとペン先が斜めに撮れてしまうはず。今回はペン先の位置をずらして撮影した。

2009-02-25 022009-02-25 03 実は筆記前にキャップを後ろに挿して、キャップ部分を握り、前に傾けたとたんに軸がキャップから滑り落ちて机に衝突したらしい。その衝撃でペン先が左画像のようにひん曲がってしまっている。

 落下距離は10儷程度であろうがここまで曲がるとは驚き!

2009-02-25 042009-02-25 05 横顔を見るとさらにすごい!ペン先とペン芯が離れ、ペン先も一方がめくれ上がっている。まるで机の上からフローリングの床に落としたのかと思っていた。修理品を渡すときに、単に机の上に落ちただけと聞いてビックリ!

 OMASのペン先が14金から18金になったころ【ずいぶんと柔いペン先になったなぁ・・・】と感じた。指で握って力を入れれば、指の形にペン先が変化するのでは?と思うほど柔かった。弾力のある柔らかさではなく、粘土のような柔さを感じた。書き味の柔らかさではなく、素材の柔さに漠然とした不安を感じて、あれほど熱狂していたOMAS熱が冷めた・・・

2009-02-25 06 修理するにはペン先を首軸から抜いて修理する必要があるので、ペン先とペン芯を摘んで引き抜いた。幸いにしてすぐに引き抜けたので、黄金の左手に負担はかからなかった。

 いまだに手のかかるエボナイト製ペン芯を使っているのは立派!だがインクの保持能力は低いので、OMASは漏れる!というのが定説になりつつある。特に冬場に胸ポケットに入れて持ち歩かない方がいいなぁ・・・などと考えていて気付いた。アレ?なんでペン芯に尻尾がついているの?これはカートリッジの中に管を入れるための物。オマスもコストダウンのため、AURORAのようにカートリッジ式と吸入式とでペン芯を共有化したのか?などと考えて尻軸を捻ったら・・・

2009-02-25 07 なんとカートリッジ式だった!しかもカートリッジを固定する軸は重い金属製で、まわりにラーメン丼の模様が彫ってある。凝ってるなぁ!

 このカートリッジ・ホルダーが重量増の原因だったとわかった。わざわざカートリッジ専用の萬年筆を作るところから考えれば、世界的にはカートリッジ専用モデルの需要も、新しい金型を作るコストをはるかに上回るほどあると言うことだろう。日本市場からは想像も出来ないがな・・・

2009-02-25 082009-02-25 09 ほんの小さな衝撃で曲がったペン先は、指だけで2〜3分間、ぐにゃぐにゃといじれば左画像のように元通りになった。ついでにスリットを開いてインクフローを良くしておいた。

 ただインクフローは多すぎたようで、萬年筆研究会【WAGNER】会場で、依頼者からKOUKIしゃんに【インクフローの絞り】が依頼され、見事に成功したらしい。次世代の調整師をめざしてがんばって欲しいものじゃ!

2009-02-25 10 筆記角度が依頼者に合っていなかったので多少研磨しておいた。これなら寝かせて筆記しても上品な書き味になるであろう。

 18金のペン先は曲がりやすいが、修理もしやすい。工場での出荷前の微調整の生産性を考えれば、18金化はやむを得ないのかも知れないが、14金のころと同じ設計のペン先で金の配合率だけ変えたのでは耐久性は出ない。

 その点、独逸や日本のメーカーでは18金であっても耐久性がある程度確保できるペン先設計になっているか、耐久性も考慮した18金の配合率を考えているようじゃ。萬年筆の世界はまだまだ奥が深い。専門家ではない我々には、まだ井戸の表面しか見えていないようじゃ。


今回執筆時間:4時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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Posted by pelikan_1931 at 07:40Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月24日

火曜日の質問コーナー その67

万年筆評価の部屋では毎週火曜日に、質問コーナーを設けているが

第67回目の今回は萬年筆に関する質問!


今回のアンケート調査はペン先調整について


現在あなたはどこでペン先調整をしていますか?

お住まいの地方【北海道、東北、北陸、関東、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄

ペン先調整依頼先を教えて下さい。複数回答も可能です。


【1】自分で調整
【2】メーカー・ペンクリに持込(今までどこのペンクリに持ち込みましたか)
【3】購入した販売店経由でメーカー送り
【4】購入した萬年筆専門店に調整依頼(元々調整済も含む)
【5】調整を受け付けてくれる萬年筆専門店に依頼(購入先ではない)
【6】輸入代理店に直接依頼する
【7】萬年筆研究会【WAGNER】会場で依頼
【8】萬年筆研究会【WAGNER】の調整師に直接依頼
【9】市井(しせい)の調整師に依頼(全国には数多くいるのでは?)
【10】その他(具体的に)



 でお答え下され!

拙者の場合は・・・

関東地区在住で、【1】と【4】です。

【4】はフルハルター、金ペン堂、マツヤ万年筆病院(長崎)、ユーロボックス。



それでは
Go

  
Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(33) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 質問・アンケート 

2009年02月23日

aurora_88しゃんの〔萬年筆研究会【WAGNER】第38回月例会報告〕

http://blog.livedoor.jp/aurora_88/archives/51259778.html

今回はフェンテでべそ会長も参加!

二次会も食って、飲んで大満足でした!

新たな調整師も2人認定・・・合計で6人の軍団となった

  
Posted by pelikan_1931 at 22:22Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Blog紹介 

月曜日の調整報告 【 Pelikan M250 14C-F を F-Stub に研いで! 】

2009-02-23 01 今回の依頼品はPelikan M250。依頼内容は【F】を【F-Stub】へ研ぎ出す事。最近、細字好きになってきた拙者にとっては、願ってもない依頼内容じゃ。

 Stub研ぎはペンポイントをかなり研磨するので、自己所有の萬年筆に対してはあまりやらない。ただ、萬年筆研究会【WAGNER】の常連さんで、【F-Stub】が手に合いそうな会員はかなりいらっしゃるので、練習用にちょうど良い。こういうタイミングの良い依頼内容は大歓迎じゃ。

2009-02-23 022009-02-23 03 M250の【B】以上のニブはガチガチに硬いのが常だが、今回の【F】は驚くほど柔らかい。これは意外じゃったな。

 スリットは例によってガチガチに詰まっているが、柔らかいので筆圧をかけるとすっと開く。良いような困ったような状態。柔らかいのは良いのだが、こういうペン先は書き出しのインク色が薄く、筆圧をかけた部分は濃くなる。これが好きな人と嫌いな人がいるのじゃ・・・

 今回は拙者の好みに合わせて、書き出しでも濃い色が出るように調整することにした。

2009-02-23 042009-02-23 05 こちらは調整前の横顔。誰も研磨していないので丸い形状をしている。これなら【F-Stub】への研ぎ出しは比較的簡単にできる。

 まずはペンポイントの上下をサンドペーパーで削り落とす。1950年代のMontblanc No.14XのBBのようにペンポイントもそれをくわえている金の部分もほとんど同じ厚さになるまで上下を徹底的に削り込む。

 これには7兒擁のゴムブロックの辺の部分に1200番のサンドペーパーをセットし、ソケットから外したペン先先端部分を指で押さえるようにして横にスライドさせながら研磨する。裏も表も。

 そうするとペン先の表面に傷がつくが、これはブロックのエッジにを包むようにセットした金磨き布に同じようにして擦りつければ、傷はウソのように消え去る。

 最後にペンポイントの頂点を1200番のペーパーの上に直角に立てて縦横にスライドさせて研磨する。そこでまずは首軸にセットする。この際、スリットを空ける事も忘れずにな。

2009-02-23 062009-02-23 07 その状態が左図。先端部は真っ直ぐで、スリットがごくわずかだけ開いているのがわかるかな?

 これだけでもおもしろい書き味にはなるが、角材の形をしたペンポイントのエッジで書いているような物なので、えらく書き心地が悪い。

 ここから筆記角度に合わせてエッジを研磨していくわけだが、あくまでのStubの形状を崩さないようにしながら・・・すなわち、横方向への多少の抵抗感が残るようにしながら・・・研磨する。削りすぎると、単なる太めの細字になってしまう。

2009-02-23 08 そうやって小一時間研磨したのが左画像。首軸から出ているフィンの数は14枚。調整前とまったく同じ。

 元々セットされていた位置が完璧だった!こういうのはなかなか無い。ひょっとすると分解再設定が事前にされていたのかも知れないが、拙者の好みと同じというのは珍しい。

2009-02-23 092009-02-23 10 ペン先部分の拡大だが、スキャナーの通常スキャンではぼけていて良くわからないので、画像処理して先端部の形状を浮かび上がらせたのが右側。

 実は【F-Stub】の形状を出すように研ぐと、先端部の斜面は通常筆記と同じように斜めに研がれる。これで何故【F-Stub】になるかといえば、ペンポイントの上下を落としているので線幅が出ないからなのじゃ。

 【F-Stub】の形状にこだわって角材のエッジで書くように研磨しただけでは実現出来ない。形状は頭には入れておくが、調整時にはあくまでも描かれる線を見ながらでないと良い感じにはならない。先入観で調整してもダメで、必ず結果を確認しながら調整を進めるのじゃ。

 今回の【F-Stub】調整がなかなか上手く行ったので、さっそくコレを昨日の定例会で3本ほどに施してみた。やはり日本語は横が細く、縦が若干太い形状の方が、横書きには似合うような気がする。ただ縦書きには横が太く、縦が細い長刀調整が合う様な気がする。拙者は縦書きをほとんどやらないので、それに適した調整も出来ない。【結果を確認しながら】ということが出来ないので当然ではある。


今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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Posted by pelikan_1931 at 06:30Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月22日

M800 現行ニブ:本国を出るときには完璧な調整

 最近、Pelikanの現行ニブの調整が良くなった気がするのだが、日本の店頭にあるものは、専門店を除いては段差があったり、スリットが詰まりすぎていたりするものばかり・・・

 ただ、メーカーがそのような品を出荷するとは思われないので、独逸から工場出荷後、誰もペン先をいじっていないものとの条件をつけてEFとFを入手してみた。

 結論から言えばパーフェクト!スリットもある程度確保されており、段差は全くないものであった。それぞれ別の店からだったので、店に対するPelikan代理店の差は考えられない。

2009-02-22 012009-02-22 02 こちらはEF。拙者が調整すると【EF】という刻印が首軸から完全に見える位置までペン先が出る。フルハルターの調整であれば、さらに前進するはずじゃ。

 このオリジナル(いじっていない)状態でも右側画像のようにスリットは開いている。インクを付けて書いてみると、パーフェクトとは呼べないが、一般の利用者にとってはGoodな書き味。むしろEFの書き味としては秀逸と呼べるレベルになっている。

2009-02-22 032009-02-22 04  こちらのFはさらに良い書き味だった。時間を書けて調整した【PF】の細字に負けないほどの書き味を提供してくれる。

 スリットの開き加減も絶妙で、なかなかこういう状態には出来ないもの・・・

 これは一体・・・どういう事だろう?

 と考えながら、ペン先を付ける筐体を変化させていたところ・・・アレ!段差が出来ている!

 現行のPelikanのペン先はソケット方式をとっているが、ソケットを外してペン先交換したり、胴体内部を清掃する際にズレが発生する。

 回転させると最後に強くねじったり、外す際にも最初にグッとトルクがかかる。その時に上下左右に微妙なズレが発生しやすい設計なのであろう。

 3Bにおける背開きも困りものだが、BBでは最近段差は無くなったように思う。スリットはまだ不十分だがな・・・

 店頭品の品質不良は、日本に来てから店頭で引き起こされている可能性もある。オバマ大統領ではないが【Change】出来ることを標榜するならば、【Change】に対応出来る設計にすべきではないかな?

 Pelikanも出荷時の品質検査はしっかりしてきていると感じている。その品質を店頭で保つならば、販売店の店頭で安易にペン先の【Change】をさせることを中止してはどうか?

 所有者は自己責任で握力を鍛えてやればよいが、中途半端な知識の店頭販売員の手に品質を委ねるのは危険と思われる・・・・

  
Posted by pelikan_1931 at 09:00Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

萬年筆研究会【WAGNER】 第38回定例会

2月22日(日)第38回 WAGNER 定例会


部屋が変わります!

今までは50屐∈2鵑らは70です!


日時:2月22日(日) 9:00〜17:00  ペンクリ会員限定当日登録も可)

場所:
EBIS303  402会議室
 03-5420-4374 渋谷区恵比寿1−20−8  エビススバルビル      
              
http://www.ebis303.com/access_map.html


参加費:18歳未満は      無料
    本籍が海外の方   
¥1,000
     所帯を共にする方  ¥1,000/人  ご夫婦で参加なら ¥2,000
/所帯 という意味です】
    18歳〜25歳は     ¥1,000
    26歳〜59歳は    
¥2,000
    60歳以上は     
¥1,000


会場は9:00オープン。定例会と違って表定例会は早くから混雑。ペンクリ希望者は11:30ごろまでには調整申込みが必要。

定例会参加にあたっては個人情報住所/氏名/電話番号/メアド)の開示をお願いします。匿名での参加は出来ません。

萬年筆研究会【WAGNER】への新規入会を受け付けています。参加資格は【萬年筆が好き】であることだけ!

ただしBlogSNSで個人批判をされている方や、各販売店からクレーマーとみなされている方の新規会員登録はお断りします。


内容;
  ペンクリタイム  9:30-16:00  会員限定!
   それ以降に持ち込まれた物は
後日返却
   今回より調整申込表が変わります。1本1枚でご記入下さい。
   各調整師の手が空き次第作業にかかります。

  万年筆分解勉強会 其の八
  毎回新しい知識が得られます。
                業界の専門家から得られる情報は貴重!

  
  WAGNER 2010 企画検討会  参加者だけが共有可能。当日以降は隠密進行

 今回もお菓子、お茶、酒の肴を豪華にします! そちらもお楽しみに!

 お菓子目当てのお子様も大歓迎! 子守りついでの参加はいかが?

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Posted by pelikan_1931 at 05:00Comments(12) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Blog紹介 

2009年02月21日

土曜日の調整報告 【 Montblanc 1950年代 No.146 14C-OB ピンホール 】

2009-02-21 01 今回の依頼品はかなりくたびれたMontblanc No.146。1950年代のもので、ペン先は14C-OBがついている。

 この個体にはいくつもの不具合がある。まずはキャップがほとんど締まらないこと。ペン先に段差があり、なおかつスリットがギチギチに詰まっている。またペン先表面のプラチナ鍍金の剥がれたあとが見苦しい。さらに決定的なのがペンポイントにピンホールがあること。

 これら全てを直すとすれば・・・買った値段よりもはるかに高価になってしまう事は確実!そこで今回は直せる範囲でやってみた。

2009-02-21 022009-02-21 03 左図のようにプラチナ鍍金が剥がれてかなり汚らし表面になってしまっている。極上の限定品好きの依頼者が入手した、初めての極悪品であろう。これはペン先を金磨き布で磨いて金一色にする方がよい。No.146にバイカラーニブは似合わない。

 それにしてもスリットの詰まり具合はすごい。おそらくはペン芯が寝ているので、それに合わせてペン先をお辞儀させようとしたが、やり過ぎてスリットが詰まったのだろう。ペン先だけで状態を変化させようとして見事に失敗した例じゃな。

 いくら何でもこの角度のオブリークは依頼者にはふさわしくない。オブリークにしても傾斜角度はほとんどゼロの方がふさわしい。かなり傾斜角度を減らす必要がある。

2009-02-21 042009-02-21 05 横顔を見ると、ペン先とペン芯との間に隙間はない。やはりペン芯のカーブに合わせてペン先をお辞儀させていたのじゃな。

 であればペン芯をお湯に入れ、上に反らせてから冷水で形状を固定した後、ペン先を乗せればよい。

 OBを限りなくBに近づけるのだが、ピンホールを消してしまうためには、スタブの形状になるまでペンポイントを研磨しなければならない。OBの場合、単に左側に傾いているだけではなく、ペンポイントの厚さも右側が厚い研ぎになっている。従って同じ研ぎとは言っても相当に時間のかかる作業になる。

2009-02-21 062009-02-21 07 ソケットから外したペン先を観察するとソケット内に隠れていた部分にはプラチナ鍍金が残っている。見えないところとはいえ気持ちが悪いので、全てのプラチナ鍍金は金磨き布で落としておこう。ついでにペン先の裏側に付いているエボ焼けも・・・

2009-02-21 082009-02-21 09 こちらがスリットを拡げ、鍍金を落とし、ピンホールを消し、スイートスポットを作り込んで、オブリークの角度をほとんどゼロに近づけて、ヌラヌラの書き味にした状態のペン先じゃ。書けば数行だが、かなりの時間を費やした。そうそう、キャップも少しだけ動きをスムースにしておいた。

 バイカラーから金一色にペン先が変わると、多少偏差値の高い萬年筆になったような気がしないかな?

2009-02-21 10 こちらが横顔。ペンポイントはピンホールを消すためにかなり削り込んだ。そのおかげでスタブ調のヌラヌラペン先が実現できた。

 多少後方を持って萬年筆を寝かせて筆記すれば絶妙な筆記感覚を味わえる。ヌラヌラとインクは出るが、決してペンポイントが滑る感じはなく、ちゃんとした摩擦が感じられる・・・

 この書き味こそが1950年代Montblancの持ち味。これ以上いじったら特徴を消してしまう。長い調整経験を経てやっと寸止めが出来るようになってきた!


今回執筆時間:6.5時間 】 画像準備2h 修理調整3.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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Posted by pelikan_1931 at 14:00Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月20日

ナースのルール その12

2008-11-28 【ナースのルール】の萬年筆界パロディー編は毎週金曜日に公開される。

 以前の【ドクターズルール】に引き続いてのコアなファンを持つコーナーじゃ。

 まずは青字の文章を読む。

 それに対する拙者の 本音ギャグ を下に書いてある。

 これを真似て、青字の部分に関する【浅はかで愚かな解釈】をコメント欄に書いて下され。


1.他人への感謝を示す時間を持つこと。

 → オークションでは他人への闘志を押さえること。でないと、思わぬ投資をすることになりますぞ!

 → トレーディングが成立したら、前の人の書き癖でまずは書いてみる時間をもつこと。
    新たな発見があるかもしれません。
    拙者は調整の度に書き癖が変化した時期があった。


2.他の人がうまく仕事を成し遂げた時には必ず褒めること。

 → 友人がお宝をゲットした時には必ず共に喜ぶこと。でも、明示的に嫉妬も見せること。友人はますます気分が良くなります。

 → 女王様へ:調整師がそこそこの仕事を成し遂げただけでも、必ず褒めること。


3.いつでも心を開いておくこと。新しい考えが入ってくるようになる。

 → いつでも財布の紐を開いておくこと。素敵な出会いはライバルが居合わせる時に起こる確率が高い。

 → 財布の紐を開いても持ち合わせが無かったら手付けを打つこと。
    のこのこ銀行へ行っている間にヘミングウェイをかっさらわれて、その場に崩れ落ちた人もいた。


4.あなたの看護学校の親睦会には出席すること。

 → 萬年筆研究会【WAGNER】の表定例会には出席すること。毎回新たな知識が得られます。

 → 萬年筆研究会【WAGNER】の懇親会まで参加すると、業界の闇で蠢いている噂を多々入手できます。


5.病院は危険な場所である。病院の利用は賢明に、しかも出来るだけ短期間の利用がよい。

 → 悪魔の館は危険な場所である。出来るだけ短期間しか利用できないように週休5日となっている。賢明な措置じゃ。

 → 萬年筆研究会【WAGNER】地方大会は危険である。新たな【巣窟】を発見してしまう。しかも飛行機が欠航したりする。


番外.絆創膏には二種類ある。付きが良くないもの、剥がれないもの。

 → 蒔絵シールには一種類しかない。剥がれにくいものばかり。気をつけなされ。
          

           
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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 先人の教え 

2009年02月19日

Pelikan #600 のニブ変化

2009-02-19 01 最近ではとんと見かけなくなったPelikan #600 赤軸 with 18C-B ニブ付き。この萬年筆をペンカタログで調べている内に、拙者の理解と違っている部分があるので報告しておこう。

 拙者が最初に購入したペリカンは黒軸の#600で、18C-EF(金一色ニブ)が付いていた。当時の高筆圧で首軸先端を持って書いていた拙者には、とうてい使いこなせないほど柔らかく、あまりの書き味の悪さに辟易してペン先をひん曲げて捨てた記憶がある。それに懲りてペリカンに対しては偏見を持っていたものじゃ。

2009-02-19 02 拙者が購入したときには18金一色の柔らかいニブだったのは間違いない。左は当時販売されていたモデルのBニブ付き。この柔らかさは、いわゆるヘロヘロ!腰がない柔らかさじゃ。

 以前、kugel_149しゃんが【だらしないほど柔らかい書き味】と表現したが、拙者の感覚もまったく同じ。とても長時間筆記は出来ないが、短時間、ストレス解消のためにいたずら書きするには最高の柔らかさ。

 拙者の記憶では、#600のペン先は;

 18C 金一色ニブ付き      ? 〜 ?
 14C バイカラーニブ付き  〜1993年
 18C バイカラーニブ付き  1991年〜
 
 と推移しているはずだった。ちなみに1986年の輸入筆記具カタログに記載されている#600は14C バイカラーニブ付きであった。従って拙者が最初に#600を購入したのは1985年以前となる。萬年筆を初めて購入したのが1983年末であるから、わりと早い時期にペリカンを入手していたわけじゃ。

2009-02-19 03 ところが輸入筆記具カタログを詳細に見ていくと、1988年に18C金一色ニブが1年間だけ復活している!14Cバイカラーニブと併売。そして翌年1989年には、また14C金一色ニブになった。

 この理由は・・・単なる想像だが、1989年から18金一色ニブを持つ#760が発売された。この市場調査のために1年だけ投入されたのかも知れない。あるいは#760に使うため、#600にまで18C一色ニブを回せなかったのかも?

 あるいは#760と#600が同じペン先で、一方が70,000円で、#600が35,000円では差別化が難しいと考えたのかも知れない。

2009-02-19 04  ちなみに18C 金一色ニブには【EN】の刻印
 14C バイカラーニブには刻印無し
 18C バイカラーニブには【PF】の刻印がある。

 なを18C 金一色ニブで【PF】の刻印を持つ物もあるが、書き味は18C バイカラーと同じ感じらしい。まだ入手したことはないがな。
18C 金一色ニブだとしても柔らかいのと柔らかくないのがあるのでご注意を!

  
Posted by pelikan_1931 at 08:00Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆紹介 

2009年02月18日

水曜日の調整報告 【 Sheaffer イントリーグ 14K-M なんじゃこりゃ? 】

2009-02-18 01 1970年代までは日本市場でパーカーに次ぐ地位を築いていたSheafferではあるが、最近の凋落ぶりは寂しい限り。拙者はタルガに惚れて全色を集めようとがんばった時期もあるほどのSheaffer好きじゃった。アラブ首長国連邦までスノーケルのデッドストックを買いに行った事もあるし、PFM-靴郎でもデッドストックを何本か持っている。最近では1980年以前のモデルにはほとんど興味が無いが、Sheafferだけは別と考えている。

 クレストやレガシーは作りが垢抜けていたし、VLRのペン先も極上。しかし恐ろしく人気がないブランドなのじゃ。

 その原因は・・・いっぱいあるだろうが、拙者が考えるのは3つ。

 一つは、ノン・ナンセンスの大成功によって、Sheaffer=安物万年筆という図式が万年筆使いの頭に刷り込まれてしまったこと。

 二つめは、たまに出す冒険的なモデルがブランド・イメージとしての一貫性がないこと。

 三つめがねじ切りが平面的で安っぽいこと、製品の品質管理が出来ていないこと。すなわちLAMYの対極にあると言うこと。

 今回紹介するイントリーグは二つめと三つめに該当してしまった。

2009-02-18 02 吸入機構は面白い。尻軸を摘んで引き上げロックしたら回す。これによって内部に組み込まれたコンバーターを回す仕組みになっている。スティピュラと同じく、コンバーター内蔵型回転吸入式じゃ。

 ただし、コンバーターを外せない?ので内部を清掃できないため、カーボンインクなどは入れられない。またクリップもお世辞にも上品とは言い難い。当然のことながら日本市場ではほとんど受け入れられなかったモデル!(少なくとも拙者はまったく手が伸びなかった)


2009-02-18 032009-02-18 04 ペン先を見て驚いた。左右のペン先の幅が明らかに違う。

 ただこれは市場に出回った製品ではなく、検品で跳ねられた品。いくらなんでもこういう物を市場に出回らせはしない。

 しかし・・・これがなかなか書き味が良いのじゃ・・・

2009-02-18 05 横顔を見るとペンポイントは大きくて丸い。たしかにゴリゴリとした書き味なのだが、素質はある。スイートスポットを入れてやればかなり書き味は向上する。元々の書き味が良いので、そうなれば【極上】の書き味になりそう!

 問題は左右のアンバランスをどうするか?左側を削ってバランスを取ることは出来るが、その場合ペンポイントの左右も大幅に研磨することになり、格好はよいが、書き味が劣化してしまう。ヌラヌラ感はペンポイントの体積の関数じゃからな。

2009-02-18 062009-02-18 07 そこで金の部分の研磨をあきらめ、ペンポイントだけの研磨にした。ただし茫洋とした丸研ぎを改め、スタブ調にして筆記時のピントのズレを無くした。当然スリットも拡げてインクフローを良くしたのでヌラヌラ感も出てきた。

 これこそが拙者の好きなSheafferの書き味!ビッグ・アメリカンを思い出させてくれるような【大雑把な書き味】は大きな文字を書くには実に良い!これでデザインさえ良ければなぁ・・・LAMYのように有名デザイナーの起用は考えないのかな?



今回執筆時間:5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間 
        
      

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Posted by pelikan_1931 at 07:45Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月17日

火曜日の質問コーナー その66

万年筆評価の部屋では毎週火曜日に、質問コーナーを設けているが

第66回目の今回は萬年筆に関する質問!


今回のアンケート調査は直球勝負!

・・・ 四国地区大会で決まったテーマ ・・・

現在あなたが一番欲しい萬年筆は何ですか?


【1】メーカー
【2】モデル
【3】ペン先の太さ


 でお答え下され。回答例は・・・

【1】モンブラン
【2】ヘミングウェイ
【3】EF

 てな具合でお願いします。

拙者の場合は・・・

【1】デュポン
【2】タージマハール
【3】B


が欲しい!



それでは
Go

  
Posted by pelikan_1931 at 06:00Comments(39) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 質問・アンケート 

2009年02月16日

月曜日の調整報告 【 Pelikan 140 14C-DF ペン先がすぐ乾く・・・ 】

2009-02-16 01 今回の依頼品はPelikan 140 のDFニブ付き。前々回の400NNのDFニブ付きと同じ症状。つまりは筆記途中でインクが切れてしまうというもの。同じ原因かどうかはわからないが、症状は同じとか・・・

 万年筆の場合は、症状は同じでも原因がまったく違うケースもあるので、早計な判断は禁物じゃ。そういえば病院であきらかに風邪とわかる症状でも念入りに検査される場合もあるが、あれも症状からだけで判断すると危険な為かも知れない・・・

2009-02-16 022009-02-16 03 ペン先を拡大してみると・・・shokubutsuen99しゃんが前回指摘した物が見えない。

 スリットはちゃんと通っているのだが、たしかに良くインクが切れる。いずれにせよ筆記角度はあっていないのでそちらの調整が先決。この段階では原因はまったくわからない。

 それにしてもスリットの左右でペンポイントの大きさがかなり違う。もう少し揃えた方が良かろう。ついでに斜面も多少削り込んでみよう。生贄だし・・・

2009-02-16 042009-02-16 05 すごい肉厚のペン先!しかもかなりお辞儀させてある。ただ、この角度ではわからないが、ペン芯とペン先の間に隙間が出来ている。

 DFニブは基本的には強筆圧で書かないとカーボンが2枚目に貫通しない。しかし筆圧をかけるとペン先とペン芯とが離れてしまってインクが切れる。にもかかわらずソケットから後の部分、すなわちペン先をペン芯に固定する部分が同じでは、筆圧をかけるとズレたり離れたりするはず。ペン先だけ換装してカーボン紙用としていたのでは連続筆記には向かない。

 もっとも用途は単語を書き連ねる伝票用であり、強筆圧で長文を複写してはいなかったのかもしれない。タイプライター文化圏じゃからな。

2009-02-16 062009-02-16 07 左がソケットから外した直後のペン先。かなりインク滓で汚れている。エボ焼けは少しだけあった。

 右が清掃後、ルーターでペンポイントのバランスを整え、試筆を繰り返しながら左右の動きがバランス取れるまで斜面を多少研磨した。

2009-02-16 08 いったん左のようにセットして書いてみたが・・・はやりインクが切れる。ペン芯とペン先が離れているわけでもないのに、インクを吸入すると長続きしない。どうやらペン芯側に問題があるとしか考えられない。

 そこで過去に部品取りしたPelikan 140のペン先のうち、今回のペン芯と設計が違うものをピックアップし、それを装着してみた。そるとインク切れはウソのように消えた。空気のはいる通路か、空気取り入れ口に問題があったと思われるが、今回は理由が良くわからない。たまたま直った・・・ということ。試しにペン芯を元に戻したらやはり切れた。ペン芯が原因であることはわかったが、理屈がわからない。

2009-02-16 092009-02-16 10 ペン芯が元々付いていたものよりは多少上向きに反り気味なのでペン先とペン芯との隙間はなくなった。ただ筆圧をかけた時が不安なので、ツボ押し棒で多少猫背を強めた。また筆記角度に合わせてエッジをかなり滑らかに研いだ。

 DFニブは強筆記で書くため、刃物で切り落としたように摩耗している。従ってそのままではえらく書き味が悪い物。一般筆記で使うには、かならず調整師に見て貰ってからの方が良かろう。



今回執筆時間:5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1h
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2009年02月15日

aurora_88しゃんの〔萬年筆研究会【WAGNER】第1回四国地区徳島大会〕

Posted by pelikan_1931 at 22:30Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

WAGNER四国地区大会のついでに?

2009-02-15 01 萬年筆研究会【WAGNER】四国地区大会前日、社員犬クロ(仮名)にしばらくのお別れを言った。

 遊び疲れてお昼寝状態ではあったが、カメラを向け、口笛を吹いたら眠そうに上を向いたが、意識は混濁している様子。体が小さいだけに思いっきり運動したらすぐに疲れてしまうらしい。

 あまりに関係者が多いので、だれになつたら良いのか悩んでいる様子。困った・・・・

 さて昨日は萬年筆研究会【WAGNER】四国地区大会。何故会員が2人しかいない徳島を四国地区大会の会場に選んだか?それは【アローインターナショナル】があるから!

 すでにaurora_88しゃん、つきみそうしゃんのBlogで紹介されているので、それ以外の部分を紹介しよう。

 午後12時をすぎたあたりで、おもむろにお昼にいくついでに【アローインターナショナルにいきましょう】と声をかけ、会場を管理している方に会場に施錠していただき出陣。会場からとほ5分ほどのところが目的地なので、徳島県の会員の方の案内でゾロゾロ!それにしても暑かった・・・

2009-02-15 022009-02-15 032009-02-15 04徳島駅を出てすぐ右側にあるポッポ街を入っていくと、奥の方にアローインターナショナルの看板がある。その向かいには看板も。かなり凝っている。こういう看板を作るのは、商売人ではなくコレクター!はたしてご主人はコレクターであった。コレクターが店を開くと、顧客にストレスが溜まるかも知れないと思わざるを得ないほど垂涎物が多かった!

2009-02-15 052009-02-15 062009-02-15 07 左端写真の右下にあるMontblancの靴型のインク瓶は売り物。以前は1万円だったらしいが既に値上がりしているかも?入店した時は12時15分くらい。既に15分以上経過している。ちなみに店を出たのは14時近かった・・・長居したものじゃ。

 特にパーカーのコレクションは充実していた。その昔は萬年筆のブランドではパーカーがNo.1。誇りを持っていたであろう。ちなみにMontblancが日本で急に売れ出したころの秘密を聞き出せた。

 当時は定価と仕入れの差が一番大きいのがMontblancだった。すなわち定価販売すれば、一番仕入れ率が低く、一番儲かるのがMontblancだったので、店側は積極的に【これからはMontblancでっせ!独逸製が一番!】とガンガン売ったということらしい。しかもパーカーやシェーファーなどの米国製品に比べて定価自体も割安感があったとか。

 米国製一辺倒の市場に攻め入るためのMontblancの戦略はまんまと成功し、Montblanc信仰が日本中に広まった。販売店に魅力的な価格政策をとって消費者を洗脳!結果としてはすばらしい戦略であった。


2009-02-15 082009-02-15 092009-02-15 10 小物もすばらしいものが残っている。売り物ではないが綺麗にディスプレイされている。以前、世界的萬年筆コレクターのすなみまさみち氏が【自分で手に入れられない物は、どこにあるか、誰が持っているかという記録をコレクションすれば良いんです】とおっしゃった。それでずいぶんと肩の力が抜け、良い物はお嫁に出し、その際に呪いをかけることにした。今回もアローインターナショナルにこういう物があるという記録をコレクションしておこう。

 セーラーが坂田製作所と名乗っていた頃の萬年筆と箱。なんと大連にもサービスステーションがあったとは驚き!

 昭和51年の輸入筆記具カタログを見せてもらったら、幻の【ミニビル】が掲載されていた。【名前しか知らなかったんです】と言ったら、【本物がありますよ】と緑縞軸と金鍍金軸を見せてくれた。絶句じゃ!

2009-02-15 112009-02-15 12 14時近くになってから近くの食堂で食事。拙者は【たらいうどん】と【徳島ラーメン】を頼んだ。つきみそうしゃんから【食べる前に写真を撮りなはれ】と言われていたので、【たらいうどん】の撮影には成功。ただし【徳島ラーメン】は食べ終わってから撮影してないのに気付いたので、これはつきみそうしゃんが食べた、徳島ラーメンセット中の【徳島ラーメン】。

 今朝はホテルの朝食バイキングをたらふく食べたにもかかわらず、早く到着した徳島空港で【わかめうどん】を食べ、自宅に帰ってから空港で買った【徳島ラーメン】3人前のうち2人前ほど食べた。BMI倍増計画だけが着々と進行している・・・

  
Posted by pelikan_1931 at 13:45Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 

2009年02月14日

土曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.144G 14C-KM 隙間? 】

2009-02-14 01 今回の依頼品は1950年代のNo.144Gでペン先はクーゲルのMがついている。このBlogではクーゲルの登場回数が多いので、それほど珍しくないのでは?と思われがちだが、世間的に見れば珍品!

 今回はまともに書けるようにとの依頼だった。早い話が生贄じゃ。こういうのは想像力を発揮できるので大好き!

2009-02-14 022009-02-14 03 ペン先はやけに綺麗。どうやら整備したものを購入したらしい。ペンポイントも綺麗に揃っている。ほんの少しの段差はあるが、柔らかいペン先なのでほとんど影響はない。

 ただし例によってスリットは詰まっている。これでは威勢良くインクは出ない。インクの出が良いと筆圧が下がり、書きごこちが向上する。有名な川口理論のとおりじゃ。

2009-02-14 042009-02-14 05 横顔を見るとペン芯とペン先との間に隙間が空いている。これではスリットを拡げても筆記途中でインクが切れてしまう。まずいまずい!

 またペンポイントにスイートスポットが無いのでやけに下品な書き味になっている。実はクーゲルはスイートスポットが無いと、普通のペンポイントよりも書き味が下品になってしまう。理屈ではなく過去の経験にもとずく判断だが・・・

 それにしてもペン芯の収まり具合が悪い・・・ということでペン先をソケットから抜いてみると・・・

2009-02-14 06 ペン先は非常に綺麗に清掃されている。また凹みやアタリも無く、新品同様のもの。

ただ、ペン先の根元が何か変な具合。


2009-02-14 07 拡大してみると、本来しっぽのように後に延びているはずの凸が折り曲げられている!

 おそらくはソケットに押し込む際に曲がったまま押し込まれたのであろう。これは元には戻らないが、曲がったままではソケットの中で不安定!そこでサンドペーパーで削り落とした。

 そして隙間解消のためにお湯にペン芯を入れて多少反らし、ソケットに装着してから再びお湯に入れ、ペン先のスリットと、ペン先とペン芯との間のバランスを見ながら、良い具合になった所で冷水に入れて位置固定した。

2009-02-14 08 それがこの状態。どうっていうことは無いのだが、落ち着いていて風格がある。

 拙者は1950年代のNo.14Xの中ではNo.144のバランスが一番好き。とりたてて特徴がないところが素敵な感じがする。

2009-02-14 092009-02-14 10 こちらは調整後のペンポイントの状態。スリットは多少開き、スイートスポットも少しだけ削り込んだ。

 あくまでもクーゲルの底を引きずるようなニュアンスを残したままで調整した。いくら書き味を良くするとは言っても、もともとの個性を消してしまうようなことは、最近はしない。あくまでもプチ整形のレベルに留めてある。


今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2h 記事執筆1
h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間 
    
      

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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

萬年筆研究会【WAGNER】 第1回四国地区大会

2月14日(土)は 第1回の WAGNER 四国地区大会 【一般参加歓迎】  ミニ・ペントレ あり!

日時:214日(土) 10:00〜17:00  【会場は9:00から開いています】

場所:徳島市 内町(うちまち)
公民館 洋室
    
  
★会場は【徳島そごう】の中にあります。
    【徳島そごう】の建物は半分に分かれており徳島駅側から見て半分が【アミコビル】で会場は5階にあります。
    【徳島そごう】も 【アミコビル】も10時にならないと開店しません。
    10時前に会場に入られる方はビルの裏側【国道192号線側】に回ってください。
    徳島郵便局が1階にあり、郵便ポストの脇の通路(東急インと郵便局の間)から 【アミコビル
】へ入れます。  
    
住所:〒770-9834 徳島市元町1丁目24アミコビル5階
電話:088-654-4913
地図:http://www3.tcn.ne.jp/~utimati/
2009-02-14 @32009-02-14 @22009-02-14 @1






会参加費:18歳未満は      無料
    その他の方は     
¥1,000

WAGNERへの新規入会を受け付けています。参加資格は【萬年筆が好き】であることだけ!

内容:
ペンクリ
ミニペントレWAGNER 限定品引渡し
  
ペンクリタイム  10:00-16:00
   それ以降に持ち込まれた物は後日返却 一ヶ月で修理は終わります
  WAGNER 限定品【 萬年筆/てぬぐい
  引渡し & 微調整

  ミニ・ペントレお嫁に出しても良い 萬年筆 や 関連Goods があれば値札を付けて集団見合い
                    

17:00WAGNER終了後、近辺の居酒屋で二次会。事務局は徳島宿泊

四国地区のみならず、九州地区、中国地区、関西地区の方々もこぞって参加下され!

 拙者は飛行機とバスが遅れなければ9:25ごろ現地到着の予定じゃ。
  
Posted by pelikan_1931 at 05:00Comments(17) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック イベント案内 

2009年02月13日

ナースのルール その11

2008-11-28 【ナースのルール】の萬年筆界パロディー編は毎週金曜日に公開される。

 以前の【ドクターズルール】に引き続いてのコアなファンを持つコーナーじゃ。

 まずは青字の文章を読む。

 それに対する拙者の 本音ギャグ を下に書いてある。

 これを真似て、青字の部分に関する【浅はかで愚かな解釈】をコメント欄に書いて下され。


1.誠実であることは最も価値のあることである。決して妥協する事なかれ。

 → オークションにおいて冷静であることは最も価値のあることである。決して熱くなる事なかれ。

 → 熱くなるとGet出来たにせよ出来なかったにせよ、相場を上げてしまう。


2.患者が歩いているところを必ず観察せよ。

 → 依頼者が書いているところを必ず観察せよ。

 → 同じ持ち方で筆記できて初めて調整結果を確認できる。

 → 最適なのは依頼者自身に研磨してもらうこと。これならスイートスポットはすぐにわかる。


3.7日以内に起こる体重の増減は全て水分によるものである。

 → 調整後7日以内に起こる書き味変化は全て調整戻りによるものである。

 → 現行品では調整戻りはほとんど発生しないのでペンクリ調整でも問題ないが、Vintageは持ち帰り調整のほうが良い。


4.患者を類型化しないこと【Do not stereotype people.】

 → Vintage Montblanc を類型化しないこと。BBBとEFとKugelの書き味は全く違う。【同じNo.256でも】

 → Vintage Montblanc を類型化しないこと。No.149とモンテローザは天と地ほども書き味が違う。後者が圧倒的に柔らかい。【同じBであっても】

 → 萬年筆研究会【WAGNER】会員を類型化してはいけない。
    軸派、ペン先派【太字派 / 細字派】、箱派、紙派、定例会派、【猫派】、【犬派】・・・・


5.患者に話すのではなく、患者と話すこと【Talk with, not to patients.】

 → 患者【萬年筆】を観察するのではなく、持主観察しなさい。

 → 上記↑を英訳するとどうなりますか?

 → 売り主と交渉する前にかみさんに告白しなさい。

 → 上記↑を英訳するとどうなりますか?

 → コンプライアンスの時代です。正直が何より! でも出来ねぇ・・・
   
   
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Posted by pelikan_1931 at 07:30Comments(9) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 先人の教え 

2009年02月12日

解説【インキと科學】 その17 

2009-02-12 若手社員(24才?)に抱かれた「クロ(仮名)」がしゃん。珍しくあまり動かない。

 犬にはチョコレートは御法度!タマネギも良くない・・・と昨日床屋のマスターに聞いた。ん?先日社長が牛丼食べさせていたような気がするなぁ。タマネギは食べさせなかったかな?いずれにせよオフィスへの牛丼持込禁止措置をとらねば。

 食事をすると10分後には花林糖のようなウンチを排泄する。まさか10分で消化するはずはないので、食事したことによって脳に刺激が伝わり、腸に溜まっていた排泄物が出るのであろう。

 食事終了と同時にケージに戻さないと危険じゃな。まだ子供だし。それにしても恐ろしいスピードで食事する。

 猫派の拙者としては、もう少し落ち着いて食べなはれ!と言いたいのだが、みんなこんなものなのかな?それとも1日2回の食事は子犬には少なすぎて飢えているのか?


 この第17章では、渡部氏は非常に誇らしげ、かつ、嬉しさに溢れた文章を書いている。それはパイロットで試行錯誤していたインクの研究成果が正しかった事が証明されたからじゃ。

 新光社で発行した【最新化学工業大系】の第10巻の中に、染料化学の権威である帝大教授工学博士の牧鋭夫氏がインキ工業について述べていたが、そこに書かれている内容に深く納得したらしい。

 従来からタンニン酸または没食子酸に対する硫酸第一鉄の適量をいかほどにすべきかは、学会においても業界においても何ら定説が無かった。実際、パイロットでも世界のインキを分析して両者の比率を比較したが、一定の法則は得られなかった。

 渡部氏らは、化学上の理論はともかく、最も耐久性のあるインキの処方を探求すべく実験を繰り返して、タンニン酸または没食子酸に対する鉄分の比率を導き出し、昭和5年以降のパイロットインキは全てその比率で作られていたとか。

 【最新化学工業大系】の中で博士は、

 ★タンニン酸【1.00】に対する硫酸第一鉄は【0.82】
 ★没食子酸【1.00】に対する硫酸第一鉄は【1.48】

 なる比率とすべきと言及していた。

 この比率が渡部氏らが実験を重ねて導き出した数値と実に良く合致していた事が渡部氏を愉快な気持ちにしていたのじゃ。

 博士の理論は、タンニン酸1分子につき金属鉄は5原子まで結合する可能性があり、また、没食子酸1分子につき金属鉄は1原子を結合するという結論から導きだされた物で、それが実験上の比率と酷似しているというのは、渡部氏から言えば、実験の正当性が証明されたことを意味し、牧博士からすれば、理論が実験で証明された事を意味したわけじゃ。

 しかも牧博士と渡部氏は、これまで一度も接触したことが無く、双方独自の研究ながら同一の結論を導き出していた。これを渡部氏は科学の勝利!と自画自賛している。

 まるでインキ版プロジェクトXのような話であった。


【過去の記事一覧】

解説【インキと科學】 その16  
解説【インキと科學】 その15   
解説【インキと科學】 その14     
解説【インキと科學】 その13           
解説【インキと科學】 その12   
解説【インキと科學】 その11      
解説【インキと科學】 その10−2    
解説【インキと科學】 その10−1    
解説【インキと科學】 その9   
解説【インキと科學】 その7−2     
解説【インキと科學】 その7−1 
解説【インキと科學】 その6−2 
解説【インキと科學】 その6−1  
解説【インキと科學】 その5  
解説【インキと科學】 その4   
解説【インキと科學】 その3−2 
解説【インキと科學】 その3−1  
解説【インキと科學】 その2−3    
解説【インキと科學】 その2−2  
解説【インキと科學】 その2−1  
解説【インキと科學】 その1

  
Posted by pelikan_1931 at 07:30Comments(15) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 文献研究 

2009年02月11日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 400NN 14C-DF ペン先がすぐ乾く・・・ 】

2009-02-11 01 今回の依頼品はPelikan 400NN。萬年筆自体は珍しくないのだが、ペン先はDF。カーボン複写伝票用に開発されたペン先がついている。ハート穴が二つ付いているもので、切り割りは下の穴までしか届いていない。では上の穴は何のために空いているのか?たぶん空気取入口じゃろう。

 実は症状が一番おもしろい。書いている途中でインクが切れるというもの。DFのニブではあり得なさそうな症状だが、頻繁に発生するという。コレは面白い。

2009-02-11 022009-02-11 03 インクが切れると言うことで、まずはスリット詰まりを予想したのだが、左画像にようにスリットは先端まで詰まっていない。むしろ最適な状態になっている。

 多少段差があるかなと言う程度。とても筆記に支障があるとは思えない。多少ペン先の形状がメタボ気味。現在のM800のニブと同じような体型。この体型が筆圧を受け止める原動力になっているのかも知れない。


2009-02-11 042009-02-11 05 こちらは横顔。アレっ?ペン先のお辞儀具合が甘いかな?筆圧を受け止めるには、もう少しお辞儀をしていたほうが良いと思うが、多少起き上がっている。スリットを拡げるためにペン先を起こしたとに起因していると思われる。

 これはもうすこし猫背にした方が本来の能力を発揮できるはず。それにしてもペン先の紙に当たる部分がすり減っている。ひょっとすると本当にカーボン複写伝票に使われたのか?

 あるいは【強筆圧に耐える萬年筆】ということで強筆圧の人に酷使されたのか?おそらくは後者であろう。

2009-02-11 062009-02-11 07 まずはソケットから外したペン先の確認。表はインク滓で変色し、裏側はエボ焼けで変色している。

 これらは金磨き布で力一杯擦って取り除く必要がある。エボ焼けはインクフローの大敵じゃ!

2009-02-11 08 こちらがエボ焼けを取り、表面を金磨き布で研磨し、ペンポイント先端部の不揃いを研磨して直した状態のペン先。

 ペン先研磨はソケットに入れ、首軸にセットしてから行うほうが効率的。ソケットを首軸にねじ込む際に、微妙にズレが発生する場合があるので要注意!

2009-02-11 092009-02-11 10 かなりペン芯が後退していたので、前進させた。ペン先とペン芯との位置関係は通常ニブとDニブとでは同じではない。Dニブの場合はペン先のスリットの開始位置がかなり前にあるので、ペン芯も出来るだけ前にあるのが好ましい。調整前画像のスリットから見えるペン芯の位置と、左画像の位置とを比較すればその差は明らかであろう。

 またペン先のお辞儀の角度もずいぶんと深くした。この二つの処置によってペン先とペン芯が強筆圧によって離れ、インクが追随しなくなるという現象は少なくなるはずじゃ。

 実は硬いニブは強筆圧による変形には強いが、戻りが弱いので、一度ペン芯と力ずくで離されてしまうとなかなか戻らない。これがインク切れの原因だとわかった。偶然にな・・・。それについては後日・・・


今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 
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2009年02月10日

火曜日の質問コーナー その65

万年筆評価の部屋では毎週火曜日に、質問コーナーを設けているが

第65回目の今回は萬年筆に関する質問!


今回のアンケート調査

しばらく使わなくなる萬年筆はどうやって保管してますか?

 

【1】 インクを抜き、水で内部を洗浄し、水分を拭き取って保管している。

【2】 インクを抜き、水で内部を洗浄し、吸入機構に水分を満たしてから保管している。

【3】 インクを抜いただけで保管している。

【4】 インクを抜かないまま保管している。

【5】 その他(具体的に記述下され)



 複数回答も可。たとえば1950年代のMontblancでコルク弁のものは【2】、その他は【1】など。

拙者の場合は・・・

コルク弁の萬年筆は全て嫁いで一本も持っていないので【1】じゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


それでは
Go

  
Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(28) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 質問・アンケート 

2009年02月09日

月曜日の調整報告 【 Conway Stewart 14C-BB めちゃくちゃなペン先 】

2009-02-09 01 今回の依頼品はVintageのConway Stewartの柄軸。モデル560のバリエーションであろう。

 軸の柄は非常に綺麗。おまけに初めて見るBBニブ。これは珍品なのだが、なんとなく怪しさを感じる。かなり加工されて売られたのではないかな?

2009-02-09 022009-02-09 03 まずはペン先がひん曲がって首軸に差し込まれている。またペン先の段差も酷い。よくもこんな状態で売りに出したものだ・・・。

 なんとなくペン先が小さいような気がする。もうひとつ小さいサイズのDinkieのペン先をつけたのではないか?あまりにバランスがおかしい。

2009-02-09 042009-02-09 05 こちらは横顔。今までお目にかかった事が無いほどの段差。しかも先端部分が異様にお辞儀させられている。

 実はこの萬年筆は首軸が胴軸に接着されていてビクともしない。また首軸もいくら引っ張っても抜けない。接着か、痩せか、詰め物をしてあるのかは不明だがとんでもない状態。わざと接着したのなら許せない暴挙じゃ。

 おかげで少しずつ快方に向かっていた黄金の左手の痛みが一段と酷くなってしまった・・・

2009-02-09 062009-02-09 07 ペン先とペン芯をゴム板で挟んで引っ張ると、ペン先だけが抜けた。ペン芯はビクともしない。

 ペン先は根元が1个曚媛,傾んであっただけ。これではペン先はグラグラして固定せず、すぐにスレてしまうわけじゃ。

 またペン芯の削り方とペン先の斜面が合わない。このままではペン先からペン芯がはみ出してしまう。やはりペン先はオリジナルではないと判断せざるをえない。ひょっとするとペン芯が違うのかもしれないが・・・

2009-02-09 08 まずはお辞儀したペン先を延ばして上側を削り、金磨き布で擦って波打ちを消す。次にスリット間隔とエラの張り方を微調整。ここまではそれほど時間はかからなかった。ここからが地獄!

 ペン先がオリジナルと比べて薄くて短いので、そのままペン芯の上を押すと、ペン芯がペンポイントに当たってしまう。しかもその位置でもペン先はグラグラ!

 そこでペン芯を大幅に研磨して幅を狭くし、長さを縮めて、この小さなペン先を押し込んでも上からペン芯が見えないように加工した。この作業に3時間弱かかった!


2009-02-09 092009-02-09 10 出来上がったのがこれ!ペン先の刻印部分まで首軸に入ってしまったが、ここまで入れないとペン先は固定しない。これでもまだ左右の強い力がかかると、カクっとペン先とペン芯とがズレてしまう。

 あのすさまじい段差はペン芯不良。ペン芯の一方が盛り上がっており、それがペン先を押し上げていた。そこで盛り上がった部分を削り取ったらぴたりと高さがあった。

 とりあえず気持ちよく書けるようにはなったが、ペン先はゆるく外れる可能性は残っている。首軸が外れないので、サック交換も出来ない。幸い今回はサックは生きていた。ということは最後にサック交換した人が首軸と胴軸を接着したと思われる。

 修理しながら長らく使っていく為には、絶対に接着してはいけない部分を接着してしまっている。サックが劣化するまでの数年の命しかないかわいそうな萬年筆。書きごこちはずいぶんと改善されたので、ぜひめいっぱい使って欲しいものじゃ。その後は、胴軸だけ残し、首軸は壊して胴軸から外し、別の首軸&ペン先を移植するのが良かろう。この胴軸の模様は綺麗!ぜひ残したい。


今回執筆時間:6.5時間 】 画像準備2h 修理調整3.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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2009年02月08日

aurora_88しゃんの〔萬年筆研究会【WAGNER】裏定例会 in 静岡(09.02.07)〕

http://blog.livedoor.jp/aurora_88/archives/51255457.html


調整本数が少ないと、とことん深い話題で楽しめますな!

こういう小集会も良い物です。

萬年筆研究会【WAGNER】発足直後のほのぼの感!

会場管理人のおじいさんも万年筆ファンだとかで参加したかったようです。

  
Posted by pelikan_1931 at 19:00Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

萬年筆文化興隆のCSF:調整師の育成 そして・・・

 最近、萬年筆研究会【WAGNER】では調整師の育成を大きなテーマに上げている。調整師の数が増えれば萬年筆文化は花開くのは間違いがない。

 よりハイレベルでの書き味が追求されてきたことも事実だが、店頭展示時点でのペン先のばらつきが大きくなってきたというマイナス要素を打ち消すにはプロ・アマを問わず、調整師の力が必須となって来ている。

 なぜばらつきが大きくなったか?これはペン先とペン芯とがソケット方式になった事が原因と考えている(かなり大胆な仮説だが)。

 ペン先がソケット方式でないメーカーの萬年筆で、販売時にペン先段差があるものはほとんど無い。国産だけではなく海外製でも数は少ない。

 ところがソケット製のペン先を持つ物には不具合が多い。ペン先段差、背開きに代表される不具合は、そのほとんどがソケット式ペン先に集約される。ペン先を店頭や個人で変更出来るというメリットはあるが、力かげんを間違えてズレを作ってしまっているケースが多い。

 スリットが詰まっている萬年筆もかなり多い。またメーカー系ペンクリではせっかく拡がっているスリットを詰めてしまう所もあると聞く。

 こういう話しを聞くに付け、調整の世界も早急に階層化せねばとあせっている。理屈から考えれば下のようになる。

 最高峰にはメーカーの調整師。これは、そのメーカーの萬年筆調整の基本方針を作り、そのとおりに研げる人。ただし、他社の萬年筆の研ぎはやらない。ストイックに自社のペン先の改良、研ぎ方の改良、設計の改良を開発部門にフィードバックをし続ける。他社製萬年筆については、清掃や段差、スリット調整程度に留める。この人達は便利屋ではなく【萬年筆CHANGE】の最先端に位置づけられるべき。


 次は販売店がやる調整。可能ならば店主が調整。だめならアウトソーシング。現在萬年筆研究会【WAGNER】の定例会で実験しているe-WAGNERは、遠隔地の調整師と店頭顧客との萬年筆に関する遠隔会議の実験と考えている。書き癖を把握できるユニットが準備出来れば、非常に有効な書き癖入手の手段となりうる。これを販売店が装備すれば世界は変わる。

 販売店がやる調整は、基本的にメーカーを限定しないのが原則。販売する萬年筆のペン先は十分に検品し、段差やズレやスリット不良は直して販売する。希望があれば、微調整や修理にも応じる。一本ずつじっくりと時間をかけて。

 今後の流通の変化を考慮すれば、萬年筆の流通もネット比率が高くなっていくと思われる。ネットで入手した物でも修理・調整してくれる店が近くにあれば言うことはない。販売店にとっても修理・調整は在庫のない商売なので、多少の部品は使うにしても売上≒利益となるので技術さえあれば良い商売になる。

 具体的に言えば、penandmessages. が未来型店舗のあるべき姿と考えている。情報入手、お客様同士の歓談、修理調整、周辺Goodsも含めて常に新しい情報を発信し続ける店舗。こういう店が全国に100店舗ほど出来、その店同士がテレプレゼンスで繋がれた時、筆記具の世界には新たなビジネスモデルが生まれる。萬年筆研究会【WAGNER】は役割を負え、店舗がバーチャルな劇場となり、萬年筆店の収益源が修理・調整料と入場料になる時代が来るのじゃ。【妄想?】


 次が萬年筆研究会【WAGNER】のような愛好家の交流会での調整。こちらはマニアックな調整依頼があるので、非常に刺激的。またメーカーにはお願いできないような要望も多い。そこでの出来事を業界にフィードバックすることで、萬年筆界の進歩にも貢献できると考えて、出来るだけ正確に情報を発信し続けている。また個人への微調整技の伝授という面もある。多少の技さえ身につければ、自分でやる調整が最も自分に合う。なぜなら正確に自分の感覚で良い悪いを判断できる。調整師に依頼する場合は、調整後の感覚を言葉として表現する必要があるので、この言語化が難しくて伝達を断念する人が多い。断念せず食い下がったとしても【ダメ出しの云々】と呼ばれ、結局は調整師への道を歩むことになる。

 そして最後が自己調整。各メーカーの萬年筆の構造を理解すれば、自己調整師への道が開かれる。道具も実例もBlogで公開されている。あとは踏み出す抱け。書き味に納得がいかない萬年筆があれば、なぜそうなのかを十分に分析して見なされ。むやみに研ぐのは最悪の結果をもたらす。

1:インクフローが悪ければ、ペン芯清掃、スリット拡げ、インク変更
2:書き味が悪ければ、段差調整

 これだけで80%の問題は解決する。事実、メーカーペンクリでは短時間ですむ調整が多いらしい。1日50本以上やるのに、一本30分かけていては25時間かかる。7時間くらいでこなすとなると、一本を8分程度で調整している。早いのは30秒程度というのもあると聞く。これなどスリットをエィっと拡げるだけであろう。

 問題判別のやり方も、問題解決のやり方も拙者のBlogに書いてあるので、萬年筆研究会【WAGNER】の定例会にもメーカーペンクリにも参加出来ず、近くに調整・修理の出来る販売店も無い方は拙者のBlogを読んで試して下され。

 多少の犠牲を出せば自分の年筆の調整に関しては調整師よりも上手に出来るようになれるであろう。さぁ、一歩を踏み出そう!
 

  
Posted by pelikan_1931 at 10:30Comments(15) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 

2009年02月07日

土曜日の調整報告 【 Pelikan 400NN 18C-M えっ? 18金ペン先って・・・ 】

2009-02-07 01 今回の依頼品はPelikan 400NN。ところがただの400NNではない。なんとペン先が18金になっている。18金のペン先があったとは知らなかった。おそらくは仏蘭西向けであろうが、Pelikanまでもが仏蘭西に阿っていたとは!

 ちなみに仏蘭西は欧州一の萬年筆消費国とFOCUSで紹介された事がある。【ブローニュの森】の忘れ物とからめた記事。【ブローニュの森】の落とし物第二位が萬年筆だったとか!

2009-02-07 022009-02-07 03 実際に使う前の整備を依頼されたのだが、どうもペン先が斜めにソケットに取り付けられている。こんな状態は初めて!

 ペン先拡大図を見ると先端部に段差がありそうじゃ。スリットも思いっきり詰まっている。これではインクは出てこない。

 それにしても美しい刻印!こんな手の込んだ刻印は現代では難しいであろうな。

2009-02-07 042009-02-07 05 横顔をよく見ると、ペン先とペン芯との間に隙間がある。どうやらスリットを開こうとして失敗し、ペン先もよじれ、ペン芯との間に隙間が出来たままオークションに出されていたらしい。

 オークションに自分の自慢のコレクションを出す人はいない。愛情を注げない欠点を持っている物だけがネット上で流通するのじゃ。顔が見えない海外の相手に売るのであれば、そういう気持ちが起きてもおかしくないであろう。だからこそ、ちゃんとメンテ出来る場を作っておく必要がある。それが萬年筆研究会【WAGNER】じゃ!

2009-02-07 062009-02-07 07 左側がソケットから外した直後の画像。右はスリットを開き、段差を無くし、徹底的に清掃した状態。同じペン先とは思えないくらいに綺麗になった。

 不思議とエボ焼けはほとんど無かった。日本に送付する前に金磨き布などで磨いていた可能性もある。

2009-02-07 082009-02-07 09 こちらが首軸に取り付けた状態。

 今回はソケットに真っ直ぐに差し込んだ。またスリットも極わずかに開いている。この開き具合の調整は難しい。ペン先が歪んでいても段差が出来るので要注意じゃ。

 そして・・・

2009-02-07 10 一番苦労したのがペン芯とペン先との隙間の解消。これは正直しんどかった!このペン芯は絶対に反らせることが出来ないので、ペン先側を猫背に矯正してペン先に合わせるしかない。

 お辞儀させつつ、スリットを開く・・・というのは二律背反のような作業だったが、なんとか両立が出来た。書き味も硬くならず、インクフローも極めて良い。大成功じゃ!


今回執筆時間:4時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 
     
     

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Posted by pelikan_1931 at 06:00Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

萬年筆研究会【WAGNER】 2009年2月 裏定例会 in 静岡

2月7日(土)は 萬年筆研究会【WAGNER】裏定例会【一般参加歓迎】  ミニ・ペントレ あり!

日時:27日(土) 10:00〜17:00  【会場は9:00から開いています】
場所:ふしみ屋貸会議室 9 905号室
住所:〒420-0031 静岡県静岡市葵区呉服町2-3-1 ふしみやビル 【静岡駅北口より徒歩10分
電話:054-253-2438

地図:
http://itp.ne.jp/servlet/jp.ne.itp.sear.SGSSVWebDspCtrl?proc_id=k1&mpn=N34.58.15.099&mpe=E138.23.09.610&cms_map=http://nttbj.itp.ne.jp/0542532438/access.html&lvl=

2009-02-07@



参加費:
18歳未満は      無料
    
本籍が海外の方   
¥1,000
     
所帯を共にする方  ¥1,000/人  ご夫婦で参加なら ¥2,000/所帯 】
    18歳〜25歳は     ¥1,000
    
26歳〜59歳は    
¥2,000
    
60歳以上は     
¥1,000


定例会参加にあたっては個人情報住所/氏名/電話番号/メアド)の開示をお願いします。匿名での参加は出来ません
この個人情報は他の会員からの要望があっても公開しませんし、取り次ぎもしません

WAGNERへの新規入会を受け付けています。参加資格は【萬年筆が好き】であることだけ!

ただしBlogSNSで個人批判をされている方や、各販売店からクレーマーとみなされている方の新規会員登録はお断りします


内容:
ペンクリ
ミニペントレ


  
ペンクリタイム10時-17時  会員限定!
   それ以降に持ち込まれた物は後日返却 一ヶ月程度で修理は終わります
  
  ミニペントレ お嫁に出しても良い 萬年筆 や 関連Goods があれば値札を付けて集団見合い
                    全て専用売上表に記入、販売総額の5%を運営費として徴収

 
17:00裏定例会終了後、駅前の居酒屋で二次会こちらにも参加下され!


実は東京からよりも中部地区からの方が便利な会場かも?
実は東京からよりも中部地区からの方が便利な会場かも?
  
Posted by pelikan_1931 at 05:00Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック イベント案内 

2009年02月06日

ナースのルール その10

2008-11-28 【ナースのルール】の萬年筆界パロディー編は毎週金曜日に公開される。

 以前の【ドクターズルール】に引き続いてのコアなファンを持つコーナーじゃ。

 まずは青字の文章を読む。

 それに対する拙者の 本音ギャグ を下に書いてある。

 これを真似て、青字の部分に関する【浅はかで愚かな解釈】をコメント欄に書いて下され。


1.他人の行動が気に入らなければ、あなたの行動を変えるよう考えなさい。

 → 萬年筆の書き味が気に入らなければ、あなたの書き癖をあらためなさい。
    それによって調整師が悩む確率がへるでしょう  to  女王様

 → 手練れは、使う萬年筆にあわせて書き方を変えていく。また一本の万年筆でも微妙に移動するスイートスポットに追随する技も持っている。
    これを【スイートスポット渡りの術】と呼ぶ。

 → オークションで知人と競ったら、あなたが降りなさい。そして後でお嫁に貰う算段をつけなさい。かなり安く入手出来ますぞ。


2.2人部屋の患者は1人分の仕事を4倍にする。

 → 2人が競うと出物(でもの)の値段は倍になる。4人で競うと4倍になる。

 → 競う時間が長いほど降り時が難しくなり、値段はどんどん上がる。


3.患者に聞こえるように話しなさい。

 → 悪魔の館に欲しい萬年筆が展示されているが、持ち合わせが無い時は、他のお客に聞こえるように欠点をさりげなく話しなさい。
    次回訪問するまでに残っている確率が多少でも上がる。

 → 持っている萬年筆は褒め、持っていない萬年筆はけなしなさい。
    持っていない萬年筆を入手する確率が上がります。


4.他の人が読めるように書きなさい。

 → ごめんなさい・・・拙者の字は自分でも読めないのじゃ。(字を書いていない場合の方が多いが・・・)

 → 書き癖が読める様に書いて下され。普段どおりにな・・・


5.浣腸や鎮静剤や複数の薬の使用は夜間の転落事故の原因となる。

 → 萬年筆の落下は、使用回数の関数である。使用しなければ落下もしない。
    ∴使用しない・・・

 → 浣腸:ロットリング洗浄液  鎮静剤:アルカリイオン・クリーナー


6.薬物アレルギー警告書は出来る限り多くの場所に掲示すること。

 → WAGNER開催スケジュールは妻の目に付くところに掲示しておくこと。
    事前連絡し忘れていても、言い訳は立つ。

 → 宅配荷物の受け取りは必ず自分でやること。amazon.comで本を日課のように買っていれば絶対に気付かれない。
   
   
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Posted by pelikan_1931 at 07:20Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 先人の教え 

2009年02月05日

解説【インキと科學】 その16

第16章は定量的な話ばかりなので、多少定性的な話題を!

最後の方で、パイロットのブラック・インク(カーボン入り)の話しが出てくるので、【黒い物】を捜していたら・・・

2009-02-05 01 今週月曜日から社員犬になった「クロ(仮名)」がいた。社畜ではなく、社員犬!ちゃんと社員番号もアサインされる予定。もちろん給与も払われるし、接待費を請求する権利もある。

 社長がペットショップで、眼が合って、先週末確保したらしい。犬の種類は良く知らないが、チワワらしい。男の子で昨年の12月末生まれ。現在は片手に乗る大きさだが成犬になっても大きさはそれほど変わらないとか。

 犬嫌い猫好きの拙者だがこれは犬ではないと判断した。【猫】の一種に違いないと結論付け閑さえあればちょっかいを出している。

 拙者の指はプヨプヨして噛みやすいのか、ずっと噛んでいる。つきみそうしゃんが犬の写真は動きが速すぎてブレる!と書いていたがやっとその意味がわかった。20枚ほど撮影して、これ以外は1960年代の森山大道、中平卓馬・・・ブレ、ボケじゃ。この写真もブレているがストロボ発光させるのは忍びないのでしようがない。

 【インキと科學】 は375頁の大作だが、今回紹介する第16章は126〜130頁に記載されている。インキ中の鉄分を各国がどういう基準で設定しているかを記した物。そして最後に衝撃の事実が明かされる。


★英国での基準
 英国文具局【British Stationary Office】の規程書【Specification】

 1. 保存書類(Record Purposes)に用いるインキの鉄分はインキ総量の0.5%以上であること
 2. 萬年筆に用いるインキの鉄分はインキ総量の0.2%以上であること

 渡部氏の憤慨点は、鉄分の下限は規定されていても上限が規程されていないこと。これを是とすれば、証券用インクを萬年筆用として売っても良いことになる。そんな事をすれば、すぐに詰まってしまう。

 英国紳士の国では、細かい規程をしなくても、紳士の常識として適切な運用が出来ていたのかも知れないが・・・


★独逸での基準【プロシア政府の法規より】

 1. 証券用インキ(Documentary Ink)はタンニン酸および没食子酸の含有量は2.7%以上であることが必要で、鉄の含有量は0.4〜0.6%であること。すなわち、鉄量に対するタンニン類の量は 1:4.5〜6.75  にあたること。

 2. 書写用インキ(Writing Ink)はタンニン酸および没食子酸の含有量は1.8%以上であることが必要で、鉄の含有量は0.26〜0.4%であること。すなわち、鉄量に対するタンニン類の量は証券用インキと同じく 1:4.5〜6.75  にあたること。

 さすが独逸だけに、だいぶ具体的になっている。最大限と最小限が記載されていることは評価できると。一方で渡部氏は、【この規程ではタンニン酸と没食子酸をひっくるめて、それに対する鉄分の量を規定しているが、元来タンニン酸に対する鉄量と没食子酸に対する鉄量はたいそう差があるものなので、これらの合計量に対して鉄分の量を規定するのは、ずいぶんと乱暴な話しである。この点において独逸の規程も明らかに不条理を暴露している】とさんざん!


★米国での基準【規格統一局通通達182号及び183号】

 1. 記録用インキ(Record Ink)における含有量はタンニン酸2.34%、没食子酸0.77%、硫酸第一鉄3.0%以上であること。すなわち鉄量に対するタンイン類の量は1:5.05である。
 2. 書写用インキ(Writing Ink)における含有量はタンニン酸1.17%、没食子酸0.38%、硫酸第一鉄1.5%以上であること。すなわち鉄量に対するタンイン類の量は記録用インキと同じく1:5.05である。

 これは書写用インキは記録用インキに比して、各含有量がちょうど2倍になっている事を示している。これはスタンダードインキとして提唱された配合率をそのまま取り入れたものであることが付記されていたらしい。

 渡部氏の研究によれば、タンニン類に対する硫酸第一鉄の割合は明らかに過大であるとのこと。

 しからば日本の規程はというと・・・無かった!

 間違っていても良いので、まずは規程を作り、真実がわかれば規程を変えればよいという考え方と、完璧な内容になるまでは規定は出さないが、出したからには内容が間違っていても守らせる・・・という国民性の違いかも知れないな。

 そして最後に、【クロ】の話。

 欧米諸国に比して、日本で規程が遅れている理由について渡部氏は、【日本には墨があったから】と断じている。従来は公文書には必ず墨を使うことになっていたが、当時でも通常のインキが使われるようになっていた。

 それに対して渡部氏は、【インキ研究家の立場からすれば、永代保存する書類とか改竄を防ぐべき書類には墨を用いて欲しい】と述べている。ただし、【パイロットには萬年筆用ブラックというインキがあり、これにはカーボンを主剤に作られたものであり絶対不滅である】と宣伝もしている。なかなか巧妙な戦略。

 
 パイロットにもカーボンインクがあったわけだが、どんな書き味だったのか試してみたいものじゃ。



【過去の記事一覧】

解説【インキと科學】 その15   
解説【インキと科學】 その14     
解説【インキと科學】 その13           
解説【インキと科學】 その12   
解説【インキと科學】 その11      
解説【インキと科學】 その10−2    
解説【インキと科學】 その10−1    
解説【インキと科學】 その9   
解説【インキと科學】 その7−2     
解説【インキと科學】 その7−1 
解説【インキと科學】 その6−2 
解説【インキと科學】 その6−1  
解説【インキと科學】 その5  
解説【インキと科學】 その4   
解説【インキと科學】 その3−2 
解説【インキと科學】 その3−1  
解説【インキと科學】 その2−3    
解説【インキと科學】 その2−2  
解説【インキと科學】 その2−1  
解説【インキと科學】 その1

  
Posted by pelikan_1931 at 07:30Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 文献研究 

2009年02月04日

水曜日の調整報告 【 Montblanc 1970年代 No.146 18C-EF 曲がり? 】

2009-02-04 01 最近、朝刊が薄くなったような気がする。枚数も少ないし、ビラも減った。【近頃新聞受けから取り出しやすくなったなぁ・・・】と感じていたが、これも不景気のせいなのであろう。

 円が相対的に強くなったので、海外の経済に貢献している萬年筆愛好家は増えているはず。少しでも購入を増やすことが経済回復に貢献できると信じて、せっせと購入しなくてはな。日本単独での回復というのは考えられないので、あくまでも世界をターゲットに!

 本日紹介するMontblanc No.146は仏蘭西向けに独逸から輸出されたものと思われる。1970年代 No.146で18金のペン先が付いている。しかもEF。海外ではEFは特殊なペン先と考えられているのか、ラインナップに入っていないメーカーが多い。

 独逸→仏蘭西→日本とわたっている間に、少なからぬ金の動きを作っている。こういうのが時代を超えた経済効果になる。良い萬年筆はどんどん市場を流通すべきじゃ。拙者が調整した萬年筆が、当人以外からの調整依頼で手元に来ると何とも嬉しい。嫁に行った萬年筆には、現座話題になっている【渡り】を経験させてやりたいものじゃ。

2009-02-04 022009-02-04 03 ペン先を拡大してみると、このペン先の尖鋭さがわかる。スリットが詰まっているが、柔らかいのでインクは出る。しかし筆圧の状態によっては、文字の色が安定しない可能性がある。書き出しもおそるおそる書き始める際には・・・掠れてしまう。

 やはりEFと言えどもスリットは多少開いておく方が良いであろう。極細愛好家からの依頼なので、多少は手加減しておくが、やはりにゅるにゅるとインクが出る方が気持ちがよいからな。

 あまりに寄りが強いので良く観察したら、一方のペン先が曲がっていた。これは隙間ゲージだけで直せる。勘だけに頼るので口頭では説明できないが、一瞬【クッ】と力を入れるだけ。

2009-02-04 042009-02-04 05 横顔を見ると【ぎょえー】というほどペンポイントの腹が摩耗している。この時代のMontblancがEFを出すために苦労して編み出した特徴的なペンポイントの腹が摩耗しきっている。

 相当長期間強筆圧で書きまくったか、サンドペーパーでの調整に失敗したか・・・いずれにせよ、これは寝かせた時に気持ちよく書けるようにするしかあるまい。また真の極細が必要なときには、背中側で筆記すればいいようにしておこう。これが調整方針じゃ。この調整方針を決めないで漠然と調整すると、ペンポイントは無惨な状態になる。経験者の言葉は重いですぞ!


2009-02-04 06 ペン先を首軸から外してみると、エボ焼けもなく非常に綺麗な状態。これはある程度のスキルを持つ人によって、一度清掃されてから流通に乗ったと思われる。

 こういう整備されたペン先を見ると、だんだん良い時代になってきたなと感慨深い。昔は酷い状態の萬年筆が流通していた・・・

2009-02-04 072009-02-04 08 これがスリットを拡げて首軸にセットした後で多少研磨した状態。

 研磨もバフ掛けも全て首軸にセットしてから行う方がはるかに精度が高い。ここまでで研磨したのは、ペンポイント先端部の形状のみ。ペンポイントの腹の研磨はここから始める。

 この段階でインクフローが潤沢であるかどうかのチェックをするのを忘れずにな!ここでチェックしておかないで、腹まで研磨してからダメとわかっても手遅れじゃ!

2009-02-04 092009-02-04 10 これが腹を研磨して平面を曲面に変え、さらには背中側でもある程度書けるようにした状態。ずいぶんと苦労して調整した。

 この時代のMontblancの極細で腹が無い場合は、スタブに研ぐのは簡単。しかし普通の細字に研ぐのは苦労する。スタブにならないように研磨した結果、このような形状になった。

 実際にインクを入れて書いてみると・・・非常に柔らかい書き味!まったく筆圧を書けないでもにゅるにゅるとインクが出てくる。最近は拙者も細字系の書き味が徐々に好きになってきているのだが、この一本でさらにググッと引き寄せられた感じ。太字の書き味が扁平に感じられるようになってきた・・・やばい!持っているのはほとんどが極太じゃ。


今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備2h 修理調整2.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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Posted by pelikan_1931 at 08:00Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月03日

火曜日の質問コーナー その64

万年筆評価の部屋では毎週火曜日に、質問コーナーを設けているが

第64回目の今回は筆記具全般に関する質問!

拙者の個人メールアドレスに頻繁に質問が入るが、一切回答していない。質問は必ずこのコーナーへ!


今回のアンケート調査は【カートリッジの色は何色を使ってますか?】


 萬年筆研究会【WAGNER】会員は基本的に回転吸入式が好きな人が多いので、カートリッジに関しては、ほとんど話題に上らない。

 また、昨今のインク工房をはじめとするオリジナルインクや、各メーカーから次々に発売されるきらびやかなインクの話が中心で、カートリッジの話題はほとんど聞かれない・・・

 そこで今回は、皆さんがどこのカートリッジを使っているのかを調査!



拙者の場合は・・・

中屋の石目乾漆・・・・・・・・・プラチナ・カーボンインク
セーラーのグランザス・ネオ・・・セーラー・ブルーブラック


というのがインクを入れた萬年筆13本の中でカートリッジで使っているもの。ちなみにコンバーターで使っている物は無い。



みなさんのカートリッジをご披露下され!


それでは
Go

  
Posted by pelikan_1931 at 07:30Comments(25) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 質問・アンケート 

2009年02月02日

aurora_88しゃんの【80-300番】

http://blog.livedoor.jp/aurora_88/archives/51253493.html

 

う〜ん・・・

電気に関してはまったくわかりませんなぁ

  
Posted by pelikan_1931 at 22:00Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Blog紹介 

月曜日の調整報告 【 Cartier Must 黒漆軸 18C-F リフレッシュ 】

2009-02-02 01 今回の依頼品はカルティエ・マストのブラックラッカー軸。この時代のカルティエ万年筆のペン先はMontblancが作っていたと思われる。インクもしかりで、カルティエのボルドーとMontblancのボルドーは同じ物だと聞いた記憶がある。

 Montblancを買収していたダンヒルは、その後、カルティエと同じ企業グループに入ったが、このマストにおけるコラボはその前兆だったのかも知れない。なをマストのペン先はパシャのペン先と互換性がある。マストもパシャも時計に同じ名前のモデルがあったが、今でもあるのかな?

2009-02-02 02 ペン先にはシンプルな刻印しかない。このシンプルさが好きで、拙者もマストを何本か購入した。今でも2〜3本は持っているのではないかな?

 多少スリットが詰まっているので、このままではインクフローが悪い。従って書く際にかなりストレスを感じてしまう。インクフローが良くなって、【もっと細くして!】と要求されるケースも考えて、ペン先をひっくり返せば、細字が滑らかに書けるように調整しておこう。

2009-02-02 03 こちらがペン芯。Montblancのノブレスなどに使われていたのとまったく同じ物。どうやら筆記に関する全てのパーツはMontblancがOEM生産していたのであろう。

 良く見るとペン芯は赤いインクで汚れている。これはロットリング洗浄液でもアルカリイオン除菌クリーナーでも落ちないのだが、単なる着色なので問題はない。

2009-02-02 04 このペン芯に乗っていたペン先だが、インクによる汚れのほかにかすかにエボ焼けがあった。どうやらペン芯はエボナイト製だったらしい。

 これがMontblancの方針なのか首軸に隠れている部分の長さが非常に長い。国産はこれが短い。Pelikanも国産に比べれば長いが、Montblancには及ばない。

 首軸内部に入っている部分が長いとペン芯とペン先がズレにくくなるので、筆圧が強い人にはありがたい。そのあたりまで考えて万年筆を作っていた頃のMontblanc製品は侮れない。

2009-02-02 05 調整前の研ぎの状態。まさにMontblancの鉈型の研ぎ!これには泣かされた。どうやっても書きやすくならず、何本も地獄送りにしてしまった。20本以上はやってしまったはずじゃ。

 当時はスリットを開かないでエッジを落とすことだけを考えていたので、どう工夫しても
スラスラとは書けなかった。やはりインクフロー増加が調整の王道。決っして研磨が王道ではない。インクフローを増加させるだけで不具合の70%は改善する。

 スリット開きを会得してから、調整での大きな失敗はほとんど無くなった。インクさえ出れば、筆記者の筆圧が下がるので調整の間口は拡がる。逆に筆圧の強い人に使える万年筆は限られている。


2009-02-02 062009-02-02 07 こちらが調整後に首軸にセットした状態のペン先。

 調整前よりもわずかだけペン先がペン芯に押し込んである。これで筆記時の安定感は格段に上がる。どれだけの筆圧をかけるかわからない人用の調整時には、強筆圧前提での作業がリスクの発生確率を削減してくれる。

 スリットがホンの少し開いただけで書き味は激変する。筆圧が低くてもインクがニュルニュルと出てくる様は、体験した人でないと味わえない幸福感じゃ。

2009-02-02 082009-02-02 09 こちらが調整後の横顔。通常筆記を前提にスイートスポットを1箇所、背面筆記で1箇所のスイートスポットを作り込んだ。綺麗な鉈型のペンポイントを消してしまったが、美しいだけで書き味の悪いペンポイントは修整しておかないとあとで叱責を受ける・・・

 インクを入れて書いてみると・・・実によい。特に反対側の調整は今までで一番の出来かもしれない。人間、追い込まれると良い仕事が出来るもんじゃな。

2009-02-02 10 預かった本体にはコンバータが付いていなかったのでカートリッジで使っていた物と思われる。手元にカルティエのコンバーターが無かったので、モンテヴェルディのミニコンバーターを取り付けておいた。このコンバーターはSheafferのタルガ・スリムにも使える優れもの。なぜ日本に輸入しないのか不思議じゃ。ミニ檸檬に使えるというので一世を風靡したコンバーターじゃよ。

 カルティエの萬年筆で復活して欲しいのは、このマスト・ラッカーとオーバルのサントス柄。これらはカルティエという枠を外しても、当時の万年筆界の珠玉の名品だったと思っている。


今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備2h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間

               

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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 

2009年02月01日

拙者の【 調整 】の歴史・・・その2  世界の萬年筆まつり等

前回の一回で終わるはずだったが、あまりに変節しているので、長くなってしまった。

前回についてはこちらを参照されたし。

【混迷の時代】
【発芽の時代】
【研究の時代】
【発見の時代】
【開眼の時代】
【修業の時代】
【転換の時代】
【挫折の時代】
【実践の時代】
【学習の時代】

と短かい間に多くの迷いがあったわけだが、これから先はそれほど変化していないはず。

【冒険の時代】
★萬年筆仲間からの要請で自宅に調子の悪い萬年筆を送ってもらい整備して返す事を始める。
 これは面白くて病み付きになったが、すぐに飽きてしまった。多種多様な書き味への対応をやりたい気持ちが高まる。
★第一回の世界の万年筆まつりへ、フェンテとしてコーナーを提供する話が舞い込み、その中で2日ほどペンクリをやることが決定。
 メーカーペンクリと並行してやるので、仲間内だけのペンクリのはずだったが・・・
 最初のお客は2人づれ。一人が黒柿のセーラー・プロフィット80を差し出し、【書き味良くして!】と笑う。
 セーラーの川口さんで、連れはフルハルターの森山さん。
 その万年筆の細字の書き味が今の拙者の細字に対する目標となっている。

【蓄積の時代】
★本物の境地に至るには、徹底的に数をこなすしかないと考え、万年筆談話室のオフ会からフェンテ交流会まで、
 ことある毎にペンクリを実施し、調整、修理の経験を積む。
★その中で、長原先生のご推薦もありフェンテより【Genuine Civil Meister】の称号を贈られる。2005年10月のことである。

【啓蒙の時代】
★2005年7月より細々とBlogを立ち上げていたが、【Genuine Civil Meister】の称号を贈られた事で軌道修正。
★萬年筆の楽しさや歴史、調整の基礎を公開する方向にシフト。同時に2005年12月より萬年筆研究会【WAGNER】を立ち上げる。

【共存の時代】
★創設当初の萬年筆研究会【WAGNER】は、万ヲタ集団との色眼鏡で見られることも多く、メーカーからも煙たがられていた。
★萬年筆研究会【WAGNER】の目的は万年筆文化の再興であってメーカーは関係ないとの気持ちも強かった。
★ただし万年筆関係者の協力
無しに万年筆文化の再興はあり得ないと皆で話し、共存路線へとシフト。
★まずは地方の万年筆専門店の訪問と紹介に力を置く。
★逆に萬年筆研究会【WAGNER】会員が中心となって企画した店も新宿に出現した。
★国産3大メーカーの現役、OBの方々も萬年筆研究会【WAGNER】定例会に参加しメーカーとしての知見を披露していただく。
 さすがに専門家の言葉や経験はすごい!理論に裏打ちされた話は研究会のテーマにピッタリ!実に楽しい。

【継承の時代】
★上記と時代的には重複しているが、萬年筆研究会【WAGNER】には公認、未公認、見習い含めて14人の調整師がいる。
  1人はプロ、2人は著名コレクターなので、実質的には11人がアマチュア調整師。
★これを3年以内に30人に増やしたい。全国で書き味に悩んでいる人を助けて上げたいという思いが強くなり育成を急いでいる。

 ここまでが今にいたる歴史じゃ。そして今後の夢は・・・

【国際貢献の時代】
★まずは海外在住の萬年筆研究会【WAGNER】会員がいる国での定例会を開催したい。
 具体的には2010年の10月10日にソウルで萬年筆研究会【WAGNER】定例会を開催する予定。
 日本語、韓国語に堪能な人材は確保。あとは会場の手配と、地元万年筆愛好家への連絡が必要になる。
 調整の小技を2時間で伝授したい・・・
★その後は台湾、そして中国と万年筆の盛んな国へ出かけていきたい。

【完】

  
Posted by pelikan_1931 at 15:00Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供