2005年08月07日

独逸万年筆の円熟期 OSMIA Faber-Castell

この万年筆は元OSMIA社のデザイナーが設計したものだと思う。しかし、ボディにはOSMIAの文字は無く、単にFaber-Castellとだけ彫られている。
Faber-CastellがOSMIAを買収してからもしばらくはOSMIA Faber-Castellというダブルネームで販売されていたが、買収が完結した1950年代後半からはOSMIAの名は消えた。
OSMIA社の技術力は高く、1920年代後半にはOMSIA−Parkerという万年筆も存在したらしい。デュオフォールドのラピスラズリ軸の系統ではないかと思う。
その仲良しだったParkerが1951年にParker 51を発売してから、円熟の独逸万年筆文化が侵食される。マイナーブランドが潰れ、あるいは吸収されて姿を消した。
強くてステロタイプのアメリカ文化が一挙に万年筆の世界を制圧した暗黒の時代だった。

蛇足だが、Parker 51は1951年発売なので、西暦の下2桁。では、1964年に発売したParker 75はなんで75なの? おそらくは創業者のジョージ S. パーカーが新しいペン芯の特許を取得した1889年を起点として75周年に発売された!ということなのだろう。
では1969年に発売されたParker 65はどうよ? 英国Parkerの製造なので名前の付け方のルールが違うのかもしれないし、起点となる1904年に何か重大な意味があるのかもしれない。もしかして英国Parkerが設立された年?と思ったが1899年には既にカタログに【Parker Pen Co. Oxford】と掲載されていたらしい。 
誰か【65】の数字の由来をご存知でしたら教えてくれ〜。

さて、本題に戻るが、この万年筆のラインの美しさは、ドイツ製万年筆デザインの頂点だと思っている。これほど美しいラインの万年筆が、豚子(ぶたご:お袋の地方の言葉で豚の子のように醜いという意味らしい。拙者は豚の子はカワイイと思うが)なデザインのParker 51と同じ時代に存在したとは信じられない。まさに掃き溜めに鶴の一本!

ペン先は柔らかく、吸入機構は現代の高価な限定品などよりはるかに緻密。まさに人件費が安く、マイスターの技術が尊敬され、万年筆の付加価値が高かった黄金時代だからこそ出来た万年筆だと思う。

OSMIA Faber



Posted by pelikan_1931 at 03:00│Comments(12) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
この記事へのコメント
ちょっぴーしゃん
残念ながら2006年にはお嫁に行ったので覚えておらんのよ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2011年05月06日 09:17
私も同じのを購入しようかと思っているんですが、
どうやらピストンキャップが単色のグリーンと、胴軸と同じグリーンストライプのものがあるようです。
pelikan_1931さんのはどっちのタイプになっていますか?
Posted by ちょっぴー at 2011年05月06日 08:09
この軸は綺麗じゃよ。ぜひお試しあれ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月19日 23:09
見れば見るほど美しいので、一本捜してみます。
Posted by Carter at 2005年12月19日 20:21
たしかに、首軸の仕上げはどれも似ておるな。生まれ変わったとして、買う金はあるのか心配じゃ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 23:53
この万年筆の首軸先端の形などは、50年代のモンブラン No.146などと一緒です。当時の一般的な形状なのでしょうか。
万年筆黄金時代です。生まれ変わりたい。
Posted by 256命 at 2005年12月17日 09:24
Carterしゃん

独逸のメーカーは仏蘭西や伊太利亜のデザイナーを使う事も多いんじゃよ。
ま、この時代は独逸人じゃろうが、欧州ではゼダイナーはパリで修行することも多いんで、国はあまり関係ないようじゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月02日 00:01
pelikan_1931さん

これは非常に垢抜けたデザインの万年筆ですね。びっくりです。
とてもドイツのメーカーのデザインとは思えません。
ペン先のメッキの処理などはすばらしいセンスだと思います。
Posted by Carter at 2005年12月01日 20:51
hibou_vert さん

>ところで猫はお好きだったでしょうか

これから猫5匹と一緒に寝るところです。
おやすみなさいませ、、ニャー!
Posted by pelikan_1931 at 2005年08月08日 00:43
「I am a cat」が話題になっておりますか。
Classic Pensの「Dolphins」2種共々、最近ずっと眺めておりますが、海外のメーカーは元気ですね。
国内ではピーコック(見るだけですが)と柘&川口さんのコラボでしょうか。

ところで猫はお好きだったでしょうか。
Posted by hibou_vert at 2005年08月08日 00:33
hibou_vertさん おはようございます。

昨日ペリカン倶楽部の会合で、背景が見辛いという指摘と、Daniの限定品【I am a cat:我輩は猫である】の話題が出たので、背景を猫に変えてみました。簡単に変えられる事がわかったので、ちょくちょく変えようかなと思います。

平田公明堂さんの閉店は、いかにも平田さんらしい決断で、思わず拍手したくなりました。いまどき珍しい夫唱婦随の仲の良いご夫婦でした。婦唱夫随の拙者はうらやましかったどす。
Posted by pelikan_1931 at 2005年08月07日 08:02
背景の模様替えをされましたね。
うんと文字が見やすくなりました。

万年筆の生け簀「平田公明堂」さんが閉店されたのですね。
一度伺いたかったお店です。
pelikan_1931さんは一度?訪問されていましたね。求められたのはrainbowだったでしょうか。
Posted by hibou_vert at 2005年08月07日 07:07