2005年08月20日

因縁のWaterman アルレカン【ハーレクイン】1

ウォーターマン ル・マン100シリーズのアルレカンは1992年の輸入筆記具カタログに突然登場して拙者をあわてさせた。実は1991年までカタログに掲載されていたル・マン100 オペラの模様が大好きで購入一歩手前だった。ただ最初に自分用に購入したル・マン100があまりにインクが出ず、ペン先をたたき折った経験があり、丸いハート穴のオペラ購入には逡巡していた。ところがアルレカン発売と同時にペン先がハート穴の無い形式に変わった!

また悩みが増えた。ボディはオペラが良いが、ペン先はアルレカンが良い!
ペン先交換が出来ないか聞いてみたらまったく問題ないという。それではということで、オペラに新型ニブのSTをつけて愛用した。定価は6万円だった。が、前に紹介したとおり金ペン堂謹製の4本挿しケース毎落としてしまい、同じものを買うはめになった。ただその時はペン先はL(Bのこと)にした。

ウォーターマンのLやSTは調整によってとてつもなく書き味の良いニブになる。ボディが重くて長いこともあって寝かせて書いてもある程度の筆圧は万年筆が提供してくれる。従って書き手はほんの少し力を入れるだけでニュルニュルとインクが出てくる。カートリッジ式万年筆の中では格段に良い出来だ。

オペラは大好きだったが、アルレカンにはまったく興味が無かった。単に幾何学的な模様を彫っただけなので、オシャレではないと思った。eBayではアルレカンではなく、ハーレクインという名称で出品されていた。響きは良いがアホみたいに高いので無視してい。が、ある時オペラのつもりでBidしていたら安く落とせた。3本目のオペラ!と思って期待していたらアルレカン!しかも軸の内部に接着剤のカスみたいなのが大量にこびりついている。だから安かったんだ!

しかし歯医者道具はそろっているのでコツコツと糊を剥がしていった。まったく元通りになったころがペントレの時期だった。拙者ペントレには気に入ったものしか出品しない。従ってこのアルレカンを出す気は無かった!オペラを出したつもりだったが、間違ってアルレカンを出品してしまった。それを目ざとく見つけた【4本のヘミングウェイの作家】が言葉巧みに言い寄って、Dunhillの安い万年筆と交換させられた。

拙者、カーボン製の高級品と勘違いして【フフフ、いくら万年筆の本を書いているとはいえ素人よのう。10万円以上の万年筆をオペラあたりと交換するとは!】とあざ笑っていたのだが、商談成立直後、世界のコレクターS氏が、【ありえない取引。アルレカンとアメ横で大安売りしているDunhillの交換は!】と言われて我に返った。

アルレカン?そんなん出してないが、、、と思って画家の手を良く見ると、離すもんかとフリッツ・フォン・エリックのような握力で握り締めている。机の上には輝きを失ったDunhillの万年筆。2万円以下で買ったそうだ。アルレカンはペン先調整こそ済んでいるが、インクフローのチェックしてない。【こんなもん売れん!】と言ったのだが、握力は強く引き剥がせなかった。

後日アルレカンの相場上昇が本物だと知り、びっくり!どうしてあんなのが? ともあれ
【日仏現代美術展で大賞を取った画家が絶賛するアルレカンも捨てたものではないかもしれない。一本入手しておくか、、、】と考えたのだが今日まで入手出来ていない。

【天は自ら助くる者を助く】 【求めよさらば与えられん】

本当に欲しいものは常に欲しい欲しいと思っていればいつかは手に入るものだ!ということを画家が証明した。何も拙者の物で証明していただかなくても良かったのだが (;_;)/~~~

因縁のアルレカン



Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(17) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
また喪失場面を思い出してしまった。悔しい!
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月29日 10:47
コブラは少々彫刻が粗いですぞ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月19日 22:58
Waterman リエゾンのコブラが綺麗です。
Watermanはこの手のチェイス軸が昔から得意なようですね。
Posted by Carter at 2005年12月19日 20:54
Carterしゃん

昔あったスズキの輸出用オートバイみたいに、、、
ル・マン100 KATANA ってのは?
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月30日 23:44
ル・マン100というのは非常に耳障りの良い名前です。それに対して、後に続くモデル名がハーレクインではアンバランスな気がします。もっと男らしい名前にしてほしかったです。
Posted by Carter at 2005年11月30日 22:14
値段差は妥当ですね。
以前、LevengerでOperaが300ドル程度で売られていたことから考えるとやや高い感じかな。
ル・マン100熱狂者なら即買い価格ですね。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月19日 12:41
ちなみに、アルレカン$395でオペラ$375です
Posted by hibou_vert at 2005年09月19日 07:36
でも58,000というとんでもない値段だったので購入はしませんでしたが。
オペラが200ドル程度で手に入った時代もあったんで、同程度でないと許せないんじゃ、、オペラに失礼じゃろ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月18日 06:48
それはよかったです。
海外のサイトで販売していましたので。
Posted by hibou_vert at 2005年09月17日 23:25
本日、展示してあるのを見かけました。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月17日 19:11
アルレカンですが、もう見つけられましたか?
Posted by hibou_vert at 2005年09月17日 13:51
まとりっくすさん

先週の土曜日にも画伯と虚虚実実やってきました。
今回のもおもしろいですぜ。対象は万年筆ではないがの。
Posted by pelikan_1931 at 2005年08月22日 00:59
ル・マン100の弱点は首軸先端の金属部分。ここが腐食して鍍金がフケのようにハラハラと落ちてくる。
これが無ければ大好き。
なんせインクカートリッジが大きいので、そんじょそこらの吸入式よりよっぽどインクが長持ち。Lのペン先にはピッタリ!
それにしても1883-1983のLのペン先は見たことが無い。
拙者のはIdeal以降のみ。見たい!
Posted by pelikan_1931 at 2005年08月22日 00:50
ル・マン100に久しぶりにインクを入れてみました。
字幅はLです。かなりでかい球がついています。
ニブには「1883 1983」も入っています。
この万年筆で入社試験の論文を書いたのでした。
当時は、もっとヌルヌルとした書き味のように思えたんだけど…。
オペラも出てきました。こちらはM字。
ニブは「IDEAL」と入ってしまっています。
どちらも好きなんだけど、大好きじゃない。
なんとか、吸入式に改造できないものですかねぇ。
吸入式にしてしまったら、ウォーターマンらしくないか。

今から20年ほど前、クルド人画家モハメッド・アリ氏と
2週間ほど一緒に時間を過ごす機会を得た。
彼のスケッチ散歩の後喫茶店で珈琲を飲んで休憩しているときに
私の持っているル・マン100をみつけ、
アリ氏は感嘆の声をあげたのだった。
「なんと美しいフォルムだ。完成されている!」
あー、吸入式だったらなぁ。
Posted by M's Dad at 2005年08月21日 23:04
「悔い改めよハーレクイン とチクタクマンは言った」を思い出しました。
虚虚実実ですねえ。 (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
Posted by まとりっくす at 2005年08月21日 20:42
今回のblogは渾身の一発!力はいりましたな。
本日(20日)は、画家先生からスパゲティをご馳走になるので、その日にあわせて準備したもの。
どんな用途に使っているのか聞き出したいもんじゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年08月20日 07:41
アルレカン、画家先生のHPで画像は拝見してましたが、面白いやり取りなさってたんですね。ウォーターマンはレディーアガサを愛蔵しております。
これは、ラピタに乗ってたんですよね、それで一目ぼれ。しかしもう市場から姿を消していた頃で、いろんなところをHPで巡回していたんですよ。そうしたらあるところにはあるんですね、結構安価に購入できまして、現在に至っております。あのケースには行った小さいちょこんとしたペンは実に可愛いんですよ。 ただ、欲を言えば、赤が欲しかったw 後は鉄ペンですけど、エキスパートぐらいでしょうか、ウォーターマンは。 先日のプログで、エドソン、気になってますw 機会を見つけたらどこかで細字を試したいなと思ってますw
Posted by Dahlia at 2005年08月20日 06:39