2005年09月03日

書き味はへんちょこりんだが、姿は綺麗! Parker Falcon

パーカーのT-1は世界初のチタン製万年筆であるが、あまりにコストがかかりすぎたためか、1970年に発表されて1971年には製造中止になってしまった。その後を追うように発売されたのがファルコンで、ステンレススティール製の軸とペン先だった。
T-1
がどちらかといえばずんぐりしているのに対して、ファルコンは流線型で非常に美しい。じっくりと眺めていたら、ふとニコンF3 を思い出した

ニコンF3Giorgetto Giugiaroがデザインしたことで有名だが、先にデザインがあり、設計はデザインにあわせる事を強要されたDesign Oriented Modelだった。非常に使いやすかったが作るほうはBreak Throughをいっぱいしなければならなかったらしい。おかげで会社の工作技術も相当向上したとか。拙者はNikon F から Nikon F4までは使ったが、F3Pというのが最高の使いやすさと質感だったなぁ。もちろんプロスト付で使ってましたがな。

ファルコンとは隼のことなので、やはり相当スピード感を重視したデザインコンセプトになっており、設計者を泣かせたことだろう。すごく綺麗で美しいラインなのだが、それほど人気が無い。むしろパイロットのミューの方がはるかに相場は高い。不思議だ。デザインだけならファルコンだが、USAにおける希少価値がそうさせているのかなぁ。書き味はどっこいどっこい。スチール製のペン先はしなるという事はありえないので、書き味はイリジウムの調整しだい。それにしてもイリジウムをステンレスに溶接する機械とか、スリットに切割りを入れるカッターとかは共有出来たのだろうか?それとも当時は1モデル毎に生産ラインも機械も全て新設したのだろうか?

拙者には巨額投資して失敗したT-1のラインを再利用していくらかでも赤字を回収しようとして出したモデルに思えてきた。いずれにせよペン芯の設計変更とか考えるとかなりリスクの高かったモデルだと思う。
万年筆一本あたりの利益額が膨大で需要も巨大であったがゆえに出来た冒険だろう。良い時代だったなぁ、、、


2005-09-03 PM FP Parker Falcon 

いよいよ5日の月曜日より、10日間にわたって【万年筆は刃物!】というシリーズを10日間に10話ではじめる。これは使っているうちに書き味が悪くなった万年筆を生き返らせる技を紹介するもの。プロの方々が行う【商品に付加価値を与える為の調整】ではなく、そういう調整を施されていた万年筆の切れ味が悪くなったのを元にもどす為のもの。一般的な説明が困難な場面では具体的万年筆を例に話を進める。シナリオは出来た。内容はお楽しみ!

Posted by pelikan_1931 at 18:00│Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
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 色々筆記具を使いこなしている貴殿に敬服しております。万年筆を使い始めて、かれこれ50余年になります。パイロットが一番はじめでした。ペンケースに入れて高校1年まで、大事に使っていました。しかし、初めてのデートの時にボートに乗った。ボートを漕ぎ暑くなったので、上着を脱いだとき、大切にしていた万年筆が内ポケットから、するりと「池」に落ちてしまった。「泉」なら手を突っ込んで拾うことができたであろう。ケースに入れず、クリップで留めていたら----と後悔した。
 年を取ると、余分な話が多いですね。「Parker 50」(Falcon)の話に戻します。これについて、貴殿は「ファルコンはチタンで失敗したParker T-1のリターンマッチの感じがする。」とお考えのようです。Parker T-1の帳尻合わせで販売されたように語っておられます。真実は分かりませんが、販売時期から推察すると、T-1の販売からかなり離れて(8年ほど)販売されております。と、すると、「T-1」のノウハウを生かした新たな製品、セクションとNibが一体となった安価な万年筆であると、私は捕らえています。Parker社は、もっと合理的に会社運営をしていたととらえています。「チタンで失敗したParker T-1のリターンマッチ」は、T-1が高価すぎて販売不振となったので、その部品を使い「Parker75 チタン」として販売して、帳尻合わせをしています。すごい機転の利いいた経営がされていたと、私は賞賛しています。
 ご静聴、感謝いたしております。手前のHPも手直しすべき内容の書き込みです。お許し下さい。Ken_Show
Posted by Norimasa Kajita at 2010年06月14日 22:02
TB貼らせて頂いたのですが…なぜかこちらに表示されない…
やっぱりLivedoorとyahoo!は相性が悪いんですかね。

控えで本文にもリンク貼らせて頂きました。
Posted by どーむ at 2006年07月26日 12:40
田舎に帰って遺品を調べてみたら、ブルーブラックではなくて、ブラックじゃった。ブルーブラックは拙者が買ってあげたカートリッジだが、一本も使わないまま死におった。悔しいので持って帰って拙者が使っておる。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月30日 21:25
QUINKですな。拙者の父もQUINKのブルーブラックを使っておった。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月23日 10:49
ファルコンはカートリッジで使っていました。たしかブルーブラック。インクの乾きが早いと丸善の人に教えてもらいました。
Posted by Mr.Snake at 2005年12月23日 05:01
Mr.Snakeしゃん

拙者は手に合わなかったので使ったのは半年くらいじゃ。
拙者の場合はたくさんになってからの一本じゃがな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月02日 22:23
わたしはファルコンはずいぶん長い間使いました。
もう少しペン先が細いものでした。
高校2年生から社会人2年生くらいまで使っていたように思います。
そのあとしばらくはセンテニアル、、、そこからはたくさんです (^・^)
Posted by Mr.Snake at 2005年12月02日 21:48
刃物=研ぎなおし 教室ですね
たのしみー
Posted by まとりっくす at 2005年09月04日 01:27