2005年09月05日

万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】5

【万年筆は刃物】というのは、古山画伯にメールしている時に拙者が使った言葉。言いえて妙だと思い、それについて10日間連載することにした。

【刃物】と呼んだ心は? 刃物はいくら名人が研いでも、日常的に使っているといつしか切れ味が悪くなる。また刃物の付け根が緩んだり、スイートスポットが移動したりする。出刃包丁なんかその代表で、こまめにメンテしていないと金属部分が握りの部分から抜けたり、刃こぼれで切れなくなったりする。

万年筆も同様で、いくら素材がよく、すばらしい研ぎ師が調整していても、毎日使っていれば不具合が出てくる。その度に修理に出したり、調整に出したりしなくても、ある程度のメンテは自分で出来るようになろうというのがこれからの10日間の目的。従って不器用なのでとてもメンテは出来ないという人は見ないほうが良いだろう。破滅するかもしれんぞ、、、

 

最初の3回は能書きと、調整に対する誤解の払拭が中心で、実際に役に立つ情報は4回目から出てくる。おたのしみに。

今回は、最高の状態に調整された万年筆がどうして具合悪くなるのかを検証する。まずは具合悪くなる原因をいくつか並べてみる。網羅的に書いているわけではないので他にもあるかもしれん。

…汗阿發匹蝓Ш嚢發両態に調整してもらったが、直射日光に照らされたりして素材が伸び、結果として調整がもどり不具合が出た。通常調整師の人は数日から数週間時間を置いて調整戻りを検証するが、今年のように暑いと調整戻りがある可能性は否めない。

∋罎里ずがペン先のスリットに詰まってインクフローが悪くなったり、字にひげが生える。特に筆圧の高い人が細字で書くと頻繁に発生する。

ペン先を落としてペン先とペン芯の位置がずれた。結果として引っかかるようになった。この場合、位置を直すだけではダメで、分解しての位置あわせからする必要がある。ただし、ペン先の根元が短い万年筆の場合はやらないほうが良い。最悪首軸交換の覚悟で!

ぅ撻鸚茲魏に捻って書いていたら、スリットがずれた。結果として前から見てイリジウムが左右で段差が出来ており、書くときにガリガリと引っかかることがある。

ツ汗飴佞凌佑調整した紙と、性質の違う紙を使っているため、書き出しでインクが付かない。特に左から右にひく線の時に発生。書き出せば平気。これは馬尻調整か、イリジウム表面を細かいペーパーで磨きすぎると発生する。

Δい泙泙妊魅薀魅蕕判颪韻討い燭里忘廼甍っ掛かるようになった。ほとんどが書き癖、書く姿勢、椅子の高さなどが変わってイリジウムが紙にあたる角度が変わってしまったケース
。調整時の幅を超えて書き癖が変わってしまった。

Р薪戮インクを変えているうちに、インクがペン芯のスリット内で硬化し、インクが出にくくなった。

万年筆を落としてペン先が曲がった。ほんの少しなので病院送りというほどでもない。

試し書きした時には完璧な書き味だったのに自宅で書くと引っ掛かる感じがする。これは試し書きした時のテーブルの位置と、自宅で座った時の腕と机の位置関係が違うのが原因。

レバーフィラーだが最近インクがすぐ無くなるような気がする。これは内部でゴムサックがくっついてインク吸入量が減ったのが原因。最近のレバーフィラー式に多い。

最初はヌラヌラだったのに最近はザラザラする。これは紙でイリジウムが磨耗した為。

もし、こういう状態に陥ったら、4日目からの講座を実践すればほとんどの状況には対処出来るが、それ相応のトレーニングと道具、実験材料(あるいは生贄)は必要だ。調整は壊した万年筆の数だけ上達するのでな。ちなみに下の万年筆は本講座となんの関係も無い。


2005-09-05 AM



Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(18) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
この記事へのコメント
パーカーをヤットコでいじくっていたら壊してしまった。あ----
Posted by hash at 2014年07月13日 17:52
Muse しゃん

高価な生贄は熟練してからじゃ!
Posted by pelikan_1931 at 2009年05月08日 00:09
はじめまして。このところパイロット845の調子が悪い。△鉢Δ原因のように思います。い、生贄がいるんですね・・・。で、でも自分で調整して見たいです。
Posted by Muse at 2009年05月06日 17:09
イタタタ!
実は名前を忘れたので紹介しようがなかったのじゃよ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年02月05日 10:16
何の説明もされていない写真の万年筆ですが、これはどういったものなのでしょうか?
Posted by Mr.Snake at 2006年02月04日 21:20
調整直後は書き味が良いのじゃが、しばらくすると、9月5日のM's Dadしゃんおコメントのように、

「きみとはもうやっていけそうにないよ」となる。
こういうケースにこそ微調整が役に立つのじゃ。

stand_talkerしゃんの線のピントから発想して、蛸調整を編み出したんだよな、、、懐かしい。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月30日 21:37
ゑでぃ しゃん

生贄は10本必要ですぞ・・・
覚悟しんしゃい。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月06日 19:54
stand talker しゃん

金曜日、楽しみにしております。
一時はペリカンのペン鳴りがすきだったんじゃがの。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月06日 19:53
わぉ!いよいよ禁断のペン先調整ですね。
流石に皆様興味津々のようでコメントも多いですね。

自分で調整できて、自分好みの書き味に出来れば楽しいでしょうね。
まだまだ素人で自分にはどんな書き味が逢うのかもわかってませんが、チャレンジしてみたいなぁ(人はそれを無謀と呼ぶ
連載の続きが待ち遠しい。

さて、生け贄を用意しないと・・・
Posted by ゑでぃ at 2005年09月05日 22:58
pelikan_1931さん

>スリットのゴミを取るだけでも・・

 ですよね。基本は「拡大してよく見ること」だと思っています。
 拡大する事、これは今、非常に大きなムーブメントになっている
 と思います。(とある業界で、ですが。。。)

>昔は何が何でも・・

 実は。。。
 おっしゃっている「ぬらぬら」や「シャラシャラ」に関連する話を
 ある万年筆専門店HPのユーザー会のエッセイに、今、投稿中なので
 すが、これが今週の金曜日にUPされたら。。。。
 pelikan_1931さんはじめ、ここのハイパーユーザーさん達は
 どうお考えになるのかなぁ、と心配な毎日です。

 「線のピント」や「紙を捉える」など、pelikan_1931さんの表現
 「刃物」につながる新しい世界が広がる予感が。。。

 すみません。話がそれました。

 
Posted by stand talker at 2005年09月05日 21:54
stand talker さん

理想の変化! そうそう!

昔は何が何でもぬらぬら好きだったが、今ではシャラシャラ好き。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月05日 20:12
M's Dad しゃん

良い書き味の万年筆がたくさん周りにあると、どれが良いのかわからなくなってしまいますよね。
最近、すごい素質のを何本も見せていただいて、いままでに購入したのは何だったんだろうと思ってしまいますわ、ホント。

捜せばすごいのはあるもんですな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月05日 19:10
Dahlia さん

職人さんによってポリシーも違います。
徹底的にお客様の癖に合わせる方と、正しい持ち方に指導しようとする人。

ま、臨機応変が大事かと。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月05日 19:06
stand talkerさん

スリットのゴミを取るだけでもインクフローは劇的に改善しますのでお試しあれ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月05日 19:03
問題は「理想」が変わるということですよね。

数年間寝かせておいた旧友に、水の入れ替えついでに
インクを入れてみたら。。。「おぉ!こ、これは!」
なんて経験、ありますよね。

ルネサンスだ。(^_^)
Posted by stand talker at 2005年09月05日 15:38
万年筆のメンテナンスは「使い続けること」と覚え、
誰にも負けないくらいに使い続けてきました。
私の場合は、上記の´きΝが特にあてはまるのだけれど、
些細な変化が非常に気になってしまい、
人見知りするように、キャップをはずさない万年筆が
机上用のペンケースに増えていっていたのでした。

「勝ち組」「負け組」という言葉を頻繁に耳にするけれど、
情けないことに、私は、一度は愛したはずの万年筆に、
「きみとはもうやっていけそうにないよ」と
冷たく接してしまうことが平気になってしまっていました。

美しい思い出や至福のひと時が忘れられなくて、
pelikan_1931さんにご相談にのっていただいたのです。
何本もの万年筆がよみがえり、復権し、
いや、持っていた素材が最良の状態に引き出されて、
飽きっぽく、浮気癖のある私に、
多くのことをもう一度教えてくれています。
Posted by M's Dad at 2005年09月05日 13:03
万年筆のメンテナンスを、是非!自分である程度できるようになりたいと、常々より考えておりました。 pelikan_1931 さんの掲載を目を皿にして見せていただこと思っとります。 <(_ _)>

ところで、調整というのは実におくが深いですよね・・・・。
その調整人によって、道具も違えば、作業の方法も違う。
そうなれば、当然かけ味も変わってきますでしょうし。
いろんな職人さん、調整人さんの技を拝見したり、聞いたりするのはとても楽しいものです。 そんなところにも万年筆の魅力を感じちゃいます (^ー^* )フフ♪
Posted by Dahlia at 2005年09月05日 10:55
お待ちしておりました。(^_^)

連載、楽しみにしています。

ただ、私自身はあまり自分で「いぢる」ことをせず、プロに
任せるほうがいいのではないか、という考えももっております
ので、そこいらへんのバランス感覚を育成するよう努力したい
と思っております。

でも、自分でできる範囲は自分で対応できるとうれしい。。
どうぞよろしくお願い致します。

Posted by stand talker at 2005年09月05日 07:58