2005年09月06日

万年筆は刃物! その2 【心構え】

万年筆には登場人物が3人いる。製作者と研ぎ師と利用者。今では3者が一堂に会することはほとんど無いと思われる。昔は一緒だった。日本に何百社も万年筆屋があったころは、自社で万年筆作ってそれを店頭に並べ、調整して売り、修理もする。そして何より作る人自体がヘビーユーザーであり、誰よりも書く。従って利用者のニーズもわかっている。一般利用者も頻繁に販売店を訪問し、不具合や要望を伝える。それによって万年筆はさらに進歩する!という時代だった。


近代万年筆の時代は1983年のPilot 65、Warerman ル・マン100の発表以来だと考えているが、それから万年筆はどれくらい進歩しただろうか?利用者の声を反映した新しい機構などはどれほど出ただろうか?相変わらずインク漏れを放置したままの巨大メーカーもある。
これは利用者の意見を直接聞く努力をしていないメーカーに一番の責任があることは事実だ。万年筆メーカーで、消費者窓口に電子メールで要望を自由に出せるようにしている会社を不幸にして一社も知らない。販売店から集まった意見はフィルターがかかっているのでメーカーとしてはぜひ直接声を聞いて欲しい。別に返事はいらないから、どういう意見が多いのかを聞くだけでもいいではないか?それだけで他社と差別化出来るだろう。


今回は、メーカーが意見を聞いてくれないとか部品は売ってくれない【事実最近では修理扱いでないと部品だけでは購入できない】という前提で、出来る範囲で修理【元の状態に近づける】をするための心構えについて記載したい。この心構えが出来ていないと【研ぎながら使う刃物としての万年筆】の世界には入れない。

^豌麑椶慮Δは必ず失敗する。10回は失敗しないと上達しない。

  失敗は新しい万年筆を購入するチャンス(理由)と考えて心に余裕を持ってはじめよ!

  はやい機会に失敗すれば将来大きな失敗は少なくなる。ビギナーズラックこそ危険。

 

貧すれば鈍す 

  追い詰められて調整修理をすると失敗する。研ぐ必要が出来たらもっと高いものをまず買え。
  そこで心に余裕を持って研ぎ【修理】を始めよ! 失敗したら高いのを使えばよい。

これに尽きる。最低でも10本程度は万年筆を持ってから研ぎを始めるべき。道具や工具に初期費用が相当かかる。また研ぎの間隔が開くと腕は鈍る。頻繁に研ぎがやれる環境が必要。

 

では頻度はどれくらいか? 拙者の場合、一本の万年筆につき、2回使ったら一回くらいは清掃している【スリット清掃とか書き出しチェックなど】がこれは研ぎが趣味だからで、普通の人はインク吸入のタイミングでやれば十分じゃろう。

失敗は恐れず、見極めは早く! 【失敗しそうだと思ったら早めに専門家にアドバイスもらう】

これはまずいことになったな、、、と思いつつ、なんとかしようと作業を続けるのが一番まずい。まずいと思ったら諦めてアドバイスもらうか、修理に出せ!帰ってきた状態を見ればどうすべきだったのかがわかる。

腕の良い人の作品を見てまねをしないと上達しないと心得よ!

 

ま、心構えはこんなところです。明日はそろえるべき器具の紹介です。下の写真はParker 45のGold Capだす。


2005-09-06 AM



Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(10) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
この記事へのコメント
追い詰められて調整はするな! は自分でも名言じゃと思う。

最近、名言が追加された

【飲んだら研ぐな、研ぐなら飲むな】じゃ。宴会でペンクリすると失敗する。ゑでぃしゃんが、おそるおそる出したペン先を見て、【素人が見よう見まねで研いではイカンな!】と言ったら、【いえ、師匠がこのまえへべれけになって研いだままです】といわれた。改めて言う!

【飲んだら研ぐな、研ぐなら飲むな】
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月30日 21:47
拙者は結局3本入手したが、いずれもあっというまにお嫁に行った。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月23日 10:48
エメラルドグリーン軸に銀色キャップというParker45は、イギリスの通販ショップで売っていました。見つけたときに買っておくべきでした。
Posted by Mr.Snake at 2005年12月23日 04:58
Mo.Snakeしゃん

エメラルドグリーン軸に銀色キャップというのもあった。これはさらに綺麗じゃったよ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月02日 22:25
写真のParker 45は非常に綺麗です。いろんな軸があったんですね。
Posted by Mr.Snake at 2005年12月02日 21:50
Marutodo しゃん

ちゃんと調整してあるものの微調整は比較的簡単です。

拙者、自分でもペンクリはやりますが、短時間のペンクリの弱点は

…汗位瓩蠅ある(特に力や熱を加えたもの)
調整師側が満足するまでは調整する時間が無い(80%程度で妥協)
インク、紙、高さが変わると書き味も変わる

特に付け書きは実際よりもインクフローがはるかに良いので書き出しの掠れなどの症状は出ない

素材の形状が十分に整えられていれば、多少のスリスリで見違えるようになります。ぜひお試しを。

なを10話全部読むまで【研ぎ】はやらないでね。特に5話あたりで早とちりしないようにお願い!
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月07日 05:26
はじめまして。
Marutodoと申します。
「道化は踊る」のぱいたんさんのブログからやってまいりました。
「万年筆は刃物!」楽しくそして真剣に拝見させて頂いております。

まだ数回しかペンクリで調整してもらった事はないのですが、
帰ってから書くと「あの時の感動は・・・何処」と思う事がありました。
私の気のせい?こんなものなのかあ・・・。と疑問を持ち続けておりました。
でも、気のせいではなかったのですね。
調整もどりということがあるなんて、初めて知りました。
(私のは9番の理由ではないかなあと思うのですが。)
またまた、万年筆の魅力の虜になってしまいました。

おっと、感動のあまり長々と申し訳ありません。
それでは、以後の講座もしっかり勉強させて頂きます。
今後とも何とぞ、宜しくお願いいたします。

Posted by Marutodo at 2005年09月07日 00:56
M's Dad しゃんに
1983年は拙者が初めて自分の金で万年筆を購入した年じゃが、母に買ったのがPilot 65で自分用に買ったのがル・マン100。どちらも万年筆の威信を賭けた逸品じゃった。
それ以前の万年筆は、過去を引きずった惰性万年筆だと思ってます。1983年に近代万年筆時代の幕が開き、ヘミングウェイで本格的な現代万年筆時代になったと思うとる。
思い込みじゃがな。

エポックメイキングな万年筆はほかに思いつかない、、、
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月06日 20:01
些細なことですみませんが、
pelikan_1931さんが、「近代万年筆の時代は1983年のPilot 65、Warerman ル・マン100の発表以来だと考えている」、その訳をもうすこしお教えください。いつか、どこかで、結構ですから。
Posted by M's Dad at 2005年09月06日 14:35
バブルがはじけて、京都西陣の街は崩壊してしまった感があるが、
先を見る眼とものを見る眼を持ったその織屋のA氏は、
マネーゲームに翻弄されることはなかった。
身体が不自由にはなった今でも、京都の織物文化を守るために虎視眈々と状況を見ておられる。
「売り手が買い手よりも、売ろうとする商品のことを知らなさすぎる。商品に愛着を持っていなきゃあかん」
A氏が、繰り返し主張していた日本経済衰退の原因を、今日のブログを読んで思い出した。
昨年、「ハート・ライン・プロジェクト」の授賞式にご招待いただいたが、筆記具メーカーに「衰退産業」だと無気力になっているオッサンたちが多いのには驚いた。「だから、何もしない」じゃ困るんで「だからこそ、立ち上がる」ことにしたはずではなかったのか。
オッサンたちと名刺交換をしながら、いよいよ自衛のためのノウハウを習得しておかなければならないなと思ったのだった。
Posted by M's Dad at 2005年09月06日 14:32