2005年09月14日

万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】5

調整講座の第一回その10(最後)はペン先曲がりの修理。

これは通常は修理に出すべきものだ。だが、修理に出すと部品購入するより高価になるケースもある。ま、出来ることは自分でやってみようってことかな。

 

ペン先曲がりを直すには、ペン先がペン芯から外れる必要がある。Montblancの2桁シリーズ、No.146、No,.149、Pilot、Deltaなどほとんどのメーカーの製品がペン先をはずすことが可能だ。Parker SonnetやParker 75やSheaffer タルガなどは外れない。

 

まずどういう状態に曲がっているかが問題だが、素人に直せる範囲ということで、ペン先が下向きに曲がってしまったケースと、横にそろって曲がったケースを想定する。どちらもペンをフローリングの上に落としたときに生じやすい。

 

.撻鸚茲下向きに曲がったケース

  プロはヤットコなどで修理するが、ここでは、ツボ押し棒を使う。まず曲がっている内側からツボを押す部分(先端)で圧力をかけてある程度きれいな曲線にすると猫背になる。ペン先を裏返して、ペン先を柔らかくするところで書いた手法で猫背を直すようにしごく。これである程度の形になるが、ペン先が波打った形状になるはず。これからが勝負。500番、1200番、2000番の耐水ペーパーで波打ちの部分の凸凹を消すように削る。最後に金磨き布を本のエッジにおいて、その上にペン先の曲がっている部分を強く押し付けて左右に素早く動かす。これによって波打ちは消え、またペーパーの削り後も消える。この場合、ペン先はやや薄くなるので、書き味も多少変わる。

またペン先を削るのでバイカラーのペン先は金一色に変わってしまう。それを了解した上で試して欲しい。

 

▲撻鸚茲横に曲がったケース

この場合は隙間ゲージを使う。隙間ゲージの一番厚いゲージをスリットに突っ込み、曲がりの外側にあるほうを元の形に直す様に曲げる。これは少しずつやれば可能。次が難しい。もう一方を曲げるには、スリットに一番厚いいゲージを入れ、曲がっているほうの先端をツボ押し棒でゲージにこすり付けるようにする。こちらを曲げすぎるとスリットがO脚になりインクが出てこないので要注意。

この場合も多少の波打ちがあるので、耐水ペーパーと金磨き布で磨く。

つい最近、この方法でNo.74のペン先を修理したが、波打ちが無かったので、金磨き布での磨きは不要だった。非常に微妙な調整で、一回でうまくいくことはあまり無いが、今回は大成功だった。

なを上記2つの方法とも細字のペン先には使えるが、太字の場合は硬くて難しい。太字の場合はプロに頼むのが無難。プロはペン先のカーブに合わせてペン先の凹みをたたいて出す道具を持っている。その道具を売っているサイトもあるが、ここでは好評しないことにする。ここ5年間で一回も使う必要がなかったので。


2005-09-14 AM



Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
この記事へのコメント
塩天丼しゃんの横にひん曲がったニブは偶然上手くいった。一回グィっと隙間ゲージで起したらソレが正しい位置じゃった。まったく痕跡も無い。いつもああいくわけではないと思うがな。ああ、生贄が欲しい!
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月31日 20:43
結果的に、落下事故で変形したペン先が治った塩天丼さんの2桁番、信じられないような書き味に生まれ変わった事を手で確認できました。
素晴らしいことです。

二度と落とさないように >塩天丼どん (本当は入手時からの変形)

一度落とすと更に良くなるのでは? という意見まで出て・・・幸せ。(^_^)
Posted by stand talker at 2005年09月24日 18:51
モンブラン2桁シリーズは分解する必然性に迫られたこと無い。必要に迫られたら、まずは一本壊すのが一番はやいかな。
アウロラはわからんのよ、、、必然性もあまりないし。
モンテグラッパなんかは、中に大型コンバーターを組み込んで回転吸入式にしている感じがするが、、、スティピュラの一部もそうだったし。
これかなり画期的な方法で好きなんですがね。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月20日 05:50
>尻軸のはずし方
 ハマったな >M's Dad さん (^_^)

 僕は知ってしまいました。(今日、pelikan_1931さんに教わったんですけど)自分では分解不可能な万年筆のあることを。
 ショックだったなぁ。ペリカンの工業製品としての万年筆の設計思想を信頼していただけに。あ、400系の話です。
Posted by stand talker at 2005年09月20日 01:24
非常に危険なので、個別に。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月19日 23:52
10回の連載、お疲れ様でした。
大変参考になりましたし、
小学校のときにしつけられた「自分のことは自分で!」という教えを
思い出しました。
ただ、なかなか生贄にしてしまう勇気はなく、
ここぞ、という時、かゆいところに手が届かないときには、
ぜひぜひお助けください。

ひとつお願いがあります。
次のモデルの尻軸のはずし方をぜひご教示願えませんか?
 ・モンブラン2桁シリーズ
 ・モンブラン50年代142、144、146、149、256
 ・ペリカン400〜M400
 ・ペリカン800系
 ・他、アウロラやオマス、モンテグラッパなど
連載では無理かなぁ?
Posted by M's Dad at 2005年09月19日 23:36
いよいよ、『ペン先のカーブに合わせてペン先の凹みをたたいて出す道具』を使う時が来た! 無くしたと思ってたら、H.Worksの金属製ケースの中から出てきた!
おりしも根元が曲がったペン先が手元にある。使わねばなるまいが、まずは道具から作ろう。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月14日 22:29
キャップをはずしているときに落としたらダメ。あきらめるしかない。
そう思っていたが、あきらめてはいけないんですね。
形がいびつになったり、感触に異変が生じても、
まだまだ付き合っていけるんだ、ということを教えていただきました。

付き合っていくことをあきらめなければいけない人間(友人、仲間、恋人…)がいかに多いことか!
Posted by M's Dad at 2005年09月14日 22:02