2005年10月14日

Parker Falconに対抗したPilot ミュー5

 先日紹介したファルコンに対抗してパイロットが発売したのがミュー!この対決は面白い。似ているようで似てない。やはり開発コンセプトが違うのだろう。

 ファルコンはチタンで失敗したParker T-1のリターンマッチの感じがする。デザイン優先でデザインにあわせて仕上げを選択している。良いデザインの筆記具を追及していたらたまたまこうなった、、のでそれにクリップをつけて切り割りを入れたらなんと万年筆になってしまいました!という感じ。万年筆をまったく意識させないデザインだ。

 一方のミューはパイロットがステンレス素材で万年筆を作ったらこうなる!という主張をヒシヒシと感じる。ファルコンよりははるかに書きやすいぞ!見てみろとでもいう作りだ。一方でデザイン的には新しいところは感じない。

 はたしてこの競争はどうなったのだろうか?日本人の拙者からすればFalconのデザインに強く惹かれてしまうが、米国ではミューが圧倒的に人気が高い。米国内に出回った数の少なさと、出来の良さが評価されているのであろう。軸のバリエーションもいろいろあるからな。

 さて拙者自身の評価じゃが、どちらも良い出来じゃが日常筆記に使うとなれば面白みに欠ける。両者ともガチガチに硬いニブだが、インクフローは良い。従って紙へあたる部分の調整をしっかりやれば、ヌラヌラとは書ける。これで満足する人には十分な書き味を提供してくれる。しかし、Vintage Pelikanのような弾力を期待するのは無理だ。そもそもコンセプトが違う。

 これらのステンレスニブの万年筆は極細や細字のペン先が向く。そして十分なインクフローを与え、低筆圧でインクが出るように調整すれば離れられなくなる書き味になるじゃろう。もちろん弾力が必要ない人にとってじゃがな。


 左がミューで右がFalcon。

2005-10-14 AM Pilot_ミュー2005-10-14 AM 補 Parker_ファルコン



Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
ファルコンやミューは使おうとするからストレスがたまるのかも?
飾っておくものだと考えれば気がらくじゃな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年02月03日 22:56
ミューは本当に高い値が付くなぁ。しかし自分が欲しいと思わない万年筆ひは触手が伸びんなぁ。どうしても。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月24日 14:56
ファルコンにはバリエーションが少ないですが、ミューにはたくさんの種類があるようです。当時は工場のラインを頻繁に組み替えられるほど需要があったんでしょう。
デザイン的には秀逸なものも紹介されていて、いつも画像だけ楽しんでいます。スタットラーさんのHPです。
Posted by 並木良輔 at 2005年12月24日 13:45