2005年11月16日

セーラー 象牙デスクペン with クロスポイント 達筆者用5

 これはセーラーが以前発売した象牙軸の万年筆をデスクペンに改造し、ペン先をクロスポイントに変えたものだ。自分で買ったのではない。2対2の大型トレードで入手したもの。もう何年も前になる。

拙者の出し物;
 1:Montblanc No.139 Bニブ付 【ヘミングウェイの原型】
 2:Omas レイッヒ・ワレサ     【OMAS史上最もバランスが良い万年筆】

先方の出し物;
 1:これ
 2:Pelikan M200 ペリスケ蒔絵

現在の相場であれば拙者の負け!じゃが、当時の相場であれば拙者の勝ち!
お互い満足したので良しとしよう。

 この象牙軸は面白い。入手した時には真っ白だったが、だんだんと一部が象牙色になっていく(あたりまえだが)。この変化が実に面白い。拙者は軸派なので書き味にはこだわっていない。実際に使うときに調整すれば良いと考えている。
 長原さんの開発したクロスポイントとしては、初期の作品らしく、ズレ幅は小さい。また、下面のイリジウムが上面のイリジウムの下にもぐりこんでいる後期のクロスではない。従って、初期のクロスにありがちなシャラシャラという筆記音を出す。インクフローは絶妙で決して途切れることは無い。さすがセーラー。

 インクは極黒を入れていたが、相馬屋の原稿用紙の罫の上でインクが飛ぶので、プラチナ・カーボンインクを入れていた。これなら問題なしじゃ。

 拙者にとっては、やや筆記音がうるさいなという程度。軸の豪華さだけを評価していたものじゃ。ところがこれが達筆の人にはたまらない感触らしい。

2005-11-16 AM Sailor 象牙



 あるOff会の後の宴会で、これを持って紙にいたずら書きしたある達筆者は、そのとたん眼がキラリと光り、一切しゃべらなくなった。それから約10分間、周りの喧騒から隔離された個人の世界を作り出し、ひたすら文字を刻み込んでいった。いやインクを紙に流し込んでいったという表現のほうが良いかもしれん。

 『これ一本あれば残りりのペンはいらないわ・・・』と最後につぶやいた。

調整師は全ての人の筆記感を理解していないと調整は出来ない。しかし拙者には理解できない筆記感じゃ。上手な字を書くために必要な書き味は、下手な字しか書けない拙者には理解出来ないと悟った。

 まだまだ調整の世界は奥が深いなと、一瞬で酔いが冷めた瞬間じゃった。

 あの段階からこのペン先は何度も調整して、拙者にとってははるかに書きやすくなった。しかしそれがあの達筆者にとって良い調整かどうかはわからない。字の伸び、払いが綺麗とか言われてもなぁ、、、綺麗な払いの定義がわからん、、、

 まだまだ調整の旅は続きそうじゃな。



Posted by pelikan_1931 at 04:28│Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
今では死象の象牙は輸入できず、マンモスの象牙しかだめじゃが、スが多くて苦労するそうじゃ。
しかし、こういう柔らかい素材は何年持つかはわからんでな。
象牙に漆でも塗れば別じゃが。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月18日 18:55
pelikan_1931様
これは死象の象牙で作られたデスクペンですね。螺鈿で軸を1センチほど延長したのを、ペンクリで長原先生に書かせていただいた事があります。それにはエンペラーがついていましたが、無い方がすっきりしていいですね。
Posted by kure-1911 at 2005年12月18日 11:52
298しゃん
ミニ檸檬はインクフローならNo.149にそれほど負けてはおらんのですが、バランスはかないまへん。
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月19日 10:15
そうですかぁ そうですよねー やっぱ無理ですよねー  ふーむふーむインクフローですね ・・ (笑)
Posted by 298 at 2005年11月19日 03:49
298しゃん

万年筆は重量バランスが第一、二番目がインクフロー、どん尻がペン先調整ですからな。

最後だけでNo.149を超えるのは無理でっせ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月16日 22:19
kiyomiしゃん

もちろん同行しまっせ。達筆者への挑戦がありますからな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月16日 22:17
5

例の象牙ですねっ!
調整されたペン先、是非是非是非、書いてみたいですっ!触れてみたいです!
26日、遠い存在の“その子”は同行されますか?
Posted by kiyomi at 2005年11月16日 20:54
149に似せたつもりのペン先を細くしたミニ檸檬で、なんとか149を越えられないものかとあがいています。 細くしたあとで、『細くしないほうが書き味いい』なんて聞いたものでしばらくメゲてましたが、細書きで書き味のいい万年筆も世の中にはあるはず なんて思ってたら達筆者がこれ1本でいいわというとこまでですかぁ・・  なんとかなんないかぁ (笑)
Posted by 298 at 2005年11月16日 20:22