2005年12月03日

いつのまにやらカタログ落ちした Pelikan M4305

 今朝は非常に気分が良い。この万年筆の記事を書く為に、あちこちのHPを巡回していて突然閃いた事が、(結果としては)非常に的を得ているからだ。普通に考えると【ありえねぇ〜】事じゃが、こういう仮説も面白いので紹介する。

2005-12-02 AM Pelikan_M430_BB_1 

【仮説】
継続的売上を望む現代の万年筆会社は、ユーザが望む最高の万年筆は決して作らない。常にあと一歩という物を作り、ユーザにほんの少しの不満を持たせ、最新モデルではその不満点をちょっぴり解消するが、別の小さな不満点も仕込んでいる。

 この仮説は限定版ではなく、定番モデルに当てはまる法則。特にPelikanでは顕著。Montblancがブランド化戦略を取り、筆記具以外での売上げを上げたのに対して、Pelikanは筆記具の分野でのモデル数を増やし、ユーザにちょっぴり不満を持たせるモデルを出し続けることで、ユーザ一人から引き出すお金を増やす。

 Montblanc戦略もPelikan戦略も一人のお客様から引き出す金額を増やすという戦略は同じ。Montblancは筆記具好き以外の分野の客層からの引き出しを狙い、Pelikanは筆記具好きからの引き出しを狙う。

 こう考えると、Pelikanが限定品に関してだけ、彫刻の天冠を使うことも理解出きる。また本日のM430の特長も理解出来る。

 拙者はM730というキャップ、尻軸が純銀で、天冠も銀色の彫刻というモデルを持っていたが、どうしても気に入らないのが、ペン先がバイカラーだったこと。キャップもクリップも銀色なのに、ペン先にだけ金色があるというのは、イヤじゃった。

 M750というモデルはクリップが金色、キャップの一部にも金色があったので、ペン先がバイカラーでもマッチした。ただしこれは銀鍍金であり純銀ではなかった。最近ではM420はM730と同じ純銀の使い方じゃが、一歩後退しているのは天冠がプリントなこと。ただし銀色のプリントというのはなかなか良い選択。

 そしてこのM430じゃが、キャップには金色と銀色が混ざっているのでペン先とのマッチングは良い。M400系のラインとしては、尻軸の模様も統一が取れている(純銀ではなく樹脂なのが残念)。そしてプリント(金色)のキャップ。

 それぞれ1〜2ケ所ずつ不満点を残してある。すばらしいマーケティング戦略ではないか!定番品ユーザはいつも欠乏感を持っている。となれば、完璧な状態の限定品に必ずや飛びつく!さしずめ拙者などはPelikanの思う壺の鴨なんじゃろうな。ああ、鴨は楽しい。そういえば卒業して最初に入社した会社では【野鴨になれ!】と教わった。



Posted by pelikan_1931 at 05:00│Comments(13) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
M450のバーメイルキャップにM160の金色天冠が付くと最高です。
Posted by 黒船 at 2006年01月05日 23:24
なるほど。
M760の金色も良いな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月13日 23:43
師匠 5000円値段が上がるなら、M750とかの銀色の天冠にして欲しいです。
Posted by 黒船 at 2005年12月13日 23:38
聞くだけではなくて、本国の生産ラインに伝える努力もし無ければな。
あと5000円価格が上がってもプリントではない方を選ぶもんね。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月10日 18:39
このM430は短命でした。日本ではあまり売れなかったと思います。
やはりキャップトップのペリカンがプリントというのがネックになったのだと思います。昔からのペリカン・ファンは退きます。
Posted by 黒船 at 2005年12月10日 10:51
> 現時点最高得点は ミニ檸檬万年筆企画室

まさに! 開発の過程を公表していったのも斬新。
このままでは、(限定)万年筆のブランドは出版社やBlogerなど、顧客のNeedsを一番把握しやすい人となり、万年筆メーカーは技術を提供するブ分業になってします。そうなったら、売りっぱなしマンションと同じになってしまう。出版社やBlogerは修理までは興味持ってませんからな。今回の檸檬はおまけなので文句言いっこ無し!で成立した企画。

やはり、メーカーが利用者の声を聞きだす努力をしなければね。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月04日 08:01
5
この仮説面白いですね!!。
私も 仮説たてて見ました。P社・M社・ETC社は 現時点の企画開発能力はMAX。現時点の開発陣は 本等の市場(お客様)に対し MONOずくり出なく 社内・有力お客向けけの商品開発。 この為鋭利追求型の商材中心となり・・・不満残る・・。(多くは語ると問題有りか?) この第3次万年筆時代 生き残ることが出来るのは どのメーカーか? 私達は 次の世代に 何を残すか 企業姿勢から しっかり見て 残して行きたいと・・・・考えます。・・・責任重大 底辺の視点から しっかり見て行きたい。(個人的には 現時点最高得点は ミニ檸檬万年筆企画室)
Posted by 京都和文化研究所 at 2005年12月04日 01:57
298しゃん

仮説は仮説として楽しんでいただければと思います。
もっともらしい話ほど
あやしいですからね。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月04日 00:31
この仮説すっごい納得できますね。 車なんかも大衆車でも技術者はもっと乗り心地すごいのが作れると思っても、上位車種を凌ぐとまずいとかあって・・なんてことありそうですよね。
Posted by 298 at 2005年12月03日 22:38
○○△△3年□□8年どすか・・・
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月03日 10:30
「美は乱調にあり」ですか。
瀬戸内晴美さん、あのころははじけていたんでしょうなぁ。
だから面白い尼さんになれたのかも。
万年筆の「乱調」は、マーケティング戦略!?
ううむ、私もその戦略の軍門にくだったバカタレの鴨だったか。

私の場合;
美人は3日で飽きますが、3日もブランクがあれば、再び飛びついちゃう。
どうも、忘れん坊の体質のようどす。
Posted by 浦島 at 2005年12月03日 10:26
【美は乱調にあり】 いい表現ですな。


拙者の場合;

美人は3日で飽きる
書き味の良い万年筆は3日で飽きる

どうも完璧なものを受け入れない体質のようどす。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月03日 09:16
う〜うむ。その新説はそれなりに頷ける点がありますよね。確かにちょっとした不満や期待がありますものね。美は乱調にあり、か?
Posted by stand_talker at 2005年12月03日 07:46