2005年12月17日

Montblanc No.1266 銀をまとった清楚な万年筆

 12月17日は、夏目雅子の誕生日。彼女は純白の絹布のような女優だった。どんな役にでも染められ、監督としては最も使いやすい女優ではなかったか?存在感が強く、存在自体が個性を主張している俳優の場合、その人に合わせて登場人物の役を設定しなければならないが、純白絹布俳優の場合には、自由に設定した役柄に見事に嵌ってくれる。クッキーファイスの夏目雅子よりも、色白に化粧した夏目雅子が良い。彼女には白い姿が似合った。

 純白絹布をイメージする時、一番目に思い出すのがMontblanc No.1266。雑誌やフェンテで、入手困難さと憧れ具合が何度も書かれたせいか、いつのまにか幻の万年筆になっていた。

 インターネットの時代になるまで、ただの一度たりとも見た事はなかった。インターネット時代に入っても手ごろな価格で完全な品を見つけることは困難だった。何故だろう。特にペン先が良いわけでもない。1960年代のイカペンと違ってNo.1266の時代のニブは平凡で、書き味も(一般的には)1960年代のものに大きく及ばない。ずっと疑問は解けなかった。

 やっとのことで入手してみて解かった。手と一体化する絶妙のバランスによって、良い字が書けているような錯覚に陥らせてくれる万年筆だった!

 胴体が銀のせいで、後ろに挿したキャップがグラグラしない。ホールド感も良い。また胴体と同じトーンのペン先からインクがニュルニュル出てくるので、まるで指の先から出る血で書いているようだ。先日のNHKの番組でコレクターのすなみさんが、インクは血液である、指とつながっている!という表現をされていたが、No.1266の筆記感はまさにそれ。

 写真のNo.1266はペン先のスリットをやや空け、プラチナ・カーボンインクを入れて書くように調整していた。薄い18金ペン先とカーボンインクの組み合わせは、非常に柔らかい書き味を提供してくれ、耳栓して書き始めれば、5分で空想の世界に浸らせてくれる。

 もし夏目雅子とテーブルをはさんですわり、15秒も目と目でみつめあったら、耐え切れなくて目をそらせてしまうだろう。邪心の無い視線には耐えられない。No.1266で書いているとその境地になる。拙者にはこの万年筆は夏目雅子の視線であった。

 一月ほど調整を繰り返したあと、5秒試し書きして、ため息付いて、ペン先見て、30秒書いて、キャップを締めて、まいりました・・・・とつぶやいて洗浄してケースへいれた。そしてお嫁に行った。

 完璧すぎる娘を嫁に出す父親の気持ちだった。寂しいようなほっとしたような・・・

2005-12-17 Montblanc_1266_18C_M

Posted by pelikan_1931 at 08:19│Comments(13) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
この12月17日がWAGNERの発足日となりました。夏目雅子のような邪気の無い研究会にしたいものじゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月04日 22:12
256命しゃん、あちらってのは +8ですか?
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月26日 05:09
No.1266はNo.256よりももっと以前から激戦になっているようです。どうりで姿さえ見かけないと思った。すっぱりあきらめて、いよいよあちらへ向かいます。
Posted by 256命 at 2005年12月25日 21:20
298しゃん

生夏目雅子に見つめられたら、ましては、微笑みかけられたら、普通の男は石になりますわな。

そこでさりげなく、檸檬と薔薇を書いて見せられる事が出来れば・・・
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 23:34
うっちゃん

ごぶさた。胴軸が黒のものはNo.126じゃな。
拙者はボールペンが欲しくてタイの売り手からセットで購入したのに付いていたのが、最も状態が良かった・・・

No.1266は、拙者の手には華奢すぎたな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 23:32
僕も1266は好きなペンです。随分前にユーロボックスが大阪の梅田阪急で展示即売をやったときに、藤井さんにすすめられて購入。太字でインク吸入量も多くて気に入りました。その後、eBayとかでも何本か手に入れ、そのうち何本かは売りに出し、今は手元に3本です。同じ系統のものに、銅軸が黒のもありますが、やはり全部シルバーがいいですね。確かに、eBayではタイの売り手が出す場合が多いようですね。僕もそこからも買ったことがありますが、吸入がおかしくてドイツに修理に出したことがあります。
1266のシリーズにはボールペンとシャープもありますね。これも持っていますが、万年筆ほどは愛着を感じません。PIXで0.9mmなのに、やはりPIX75とかの方が書きやすい感じです。
Posted by うっちゃん at 2005年12月17日 21:19
定刻が近づき車内に・・3列ほどむこうに彼女がすわってきた。 意を決して手帳とシャープペンシルを持って席から立ち上がると、それに気づいた彼女は横を向いて寝てしまう格好をした。 周りの人を見るとまるで夏目さんと気づいてないようだったので、そっとしておくことに決めた。 京都のアナウンスが流れて少し・・ 私の近くの空気が明らかに変わったので顔を上げると夏目さんが立ち止まってこちらを見ていた。 あまりに驚いて手帳を取り出すのも忘れて見とれていた。  少し猶予を与えてくれたのだろうが、時間が来てしまいもう一度ニッコリ笑って降りていった。  この1266はこのイメージのままかも・・
万年筆を持っていれば多分迷わずサインいただけたかとも思う。
Posted by 298 at 2005年12月17日 11:18
昔 東京から福山への帰りに、新幹線ホームで大きめのサングラスをかけた素顔の女性に目がとまった・・ まわりの空気1mくらいが異次元のオーラに包まれているように感じた。 その人は私の脇を通って待合所に・・ この脇を通過しそうになった瞬間、夏目雅子だと気づいた。 初めてのグリーン車・・ 奮発して買った弁当だったが気恥ずかしくって、慌てて後ろに隠した。 その様子が可笑しかったのか? 待合所に入る前で振り向いてニッコリ笑った。 ・・恥ずかしかった。 (続)
Posted by 298 at 2005年12月17日 11:17
夏目雅子の誕生日は、aurora_88さんと同じ。おめでとう!
ところでいくつになったの?
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 10:41
256命しゃん

これは海外でも人気なので、出てくるとしたら東南アジア方面が狙い目。海外のコレクターは東南アジアの売人を信用していないのでbidが少ない。
お試しあれ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 10:40
まったく勘違いしてました。
では記事を修正しておきます。
ありがとさん。

命日 を 誕生日 に修正!
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月17日 10:34
女優夏目雅子(本名:小達雅子)の誕生日っす_| ̄|○
昭和32年12月17日(1957年12月17日)
Posted by 祈祷師 ゑでぃ at 2005年12月17日 10:32
No.1266はB-Toolマガジンに出たときに衝撃を受けました。その後、文具店に出会うたびに捜していますが、いまだ、幻の一本です。これからは丹念にオークションにあたってみます。
Posted by 256命 at 2005年12月17日 09:09