2006年01月25日

Pelikan M300 を 解剖する

2006-01-25 AM Pelikan M300 3 これはおなじみのPelikan M300じゃ。これまで何度か取り上げてきたが、非常に柔らかい書き味の逸品!ただこれまでこの内部構造が紹介されたことはなかった。本で紹介されるのはPelikan 100や100NやM400のみ。比較的簡単に分解できるM800やM1000もたまに紹介されている程度。
 M300はあまりに小さいのと、決してメジャーな万年筆ではない為、分解されて紹介された事はない。基本的にはM400と同じじゃが、分解図を紹介してみよう。
 ちなみに専用工具があるわけではなく、自分で作らねばならない。この分解自体が非常に危険なので工具は紹介しないが、破壊覚悟で実験されたい方は自分で工夫してみること。訓練無しでやれば約70%の確率で軸を再生不能にする。拙者がPelikanの部品を妙にたくさん持っているのは実験失敗の成果じゃ。

2006-01-25 AM Pelikan M300 1

 キャップを除いて部品レベルまで分解してみた。これがユニット単位でアセンブルされたのが下の図になる。どうやってアセンブルするかは、文字で表現すると面白くない。そういう場面に行き当たれば、すぐに理解出きるじゃろう。
 一つだけ紹介する。ピストンユニットじゃ。まず真ん中の部品を尻軸の中に挿しこむ。その状態で一番上の部品に途中までねじ込む。ユニットの下(図では右)からピストンを挿し込んで尻軸を右に回して止める。ピストンの余りが長ければねじ込む位置を変えて試行錯誤すればよい。約2回で最適ポイントにたどり着けよう。

2006-01-25 AM Pelikan M300 2

 左の図で左から2番目のピストンユニットのアセンブルじゃが、うまくすると吸入量を若干増やすことが出来る。今回のアセンブル作業によって、このM300では0.7ccのインクが吸入出来るようになった。M800が1.2cc程度であるから、体積の割には吸入量は多い。従ってBやBBのニブを使ってもそれなりにインクは長持ちする。

 繰り返すが、この分解は良い子は絶対に真似をしないように。M800やM1000と違ってピストンユニットは胴体に差し込んであるだけ。しかも400NNのころのように軸と接する部分が長いわけではなく、ほんの数ミリじゃ。従って一度はずしてしまうと差込んでもピストンを下げるのに力を入れすぎるとピストンユニット自体が外れてしまう。これが馬鹿にならないようにはずすのには相当のテクニックと経験が必要じゃ。拙者はこの部分だけで20本以上のPelikanを潰してマスターした。ペリスケは一回で馬鹿になる。M400で2回が限度じゃ。くれぐれも真似しないようにな。吸入量は増やせても0.1cc程度じゃ。大勢に影響は無いよ。



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(14) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
j1bozuさん

二度と分解しないのであれば、しかるべき状態にピストンをセットした後、クリアボンドを塗って押し込めば、二度と抜けない状態になります。

そのしかるべき状態にするには、萬年筆研究会【WAGNER】に持ち込んでいただく必要がありますが。
Posted by pelikan_1931 at 2014年10月12日 09:38
こちらの記事を読ませていただくと、ペリカンのM205デモンストレータが吸入しているうちにピストンユニットが抜けてしまうような状態になってしまうと、もう打つ手はない=壊れたということであきらめるしかないのですね?
Posted by j1bozu at 2014年10月10日 09:51
分解画像は簡単じゃが、レントゲンはちと難しいかも?
資格を取ればよいのだったかな?
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月30日 20:32
自分が大人になってから、いつか挑戦して
みたいですね。
Posted by k at 2006年01月30日 08:34
例の径のある紙の上での撮影画像を組み合わせ、レントゲン画像と組み合わせれば出来るかも?
しかし、手間を考えると万年筆よりも高くなりそうです。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月28日 18:53
内部写真とレントゲン写真を張り合わせて
カードみたいにしたくなってきてしまいました 汗
Posted by k at 2006年01月28日 18:49
それならレントゲン写真も必要かな?
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月27日 08:04
ありがとうございます!
楽しみにしています!
内部写真を、額に入れて、それを
机の上に置き、見ながらその万年筆を使うのが
夢です!
Posted by k at 2006年01月26日 23:03
k しゃん

これもシリーズ化していくのでお楽しみに。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月26日 22:49
分解写真最高ですね!!!
自分の大好きな(手に入れたい)万年筆の
内部が見れるのはとても幸運です。
Posted by k at 2006年01月26日 22:39
大きさが違うだけで部品の設計もほぼ同じじゃ。M300、M400、M600はな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月25日 21:45
ペン先のソケット部分がM1000と同じ設計というのは知っていましたが、内部構造がM400と同じというのは始めて知りました。ペリスケでM400については事前学習していましたが、部品の形状もほぼ同じようです。
Posted by 黒船 at 2006年01月25日 20:30
限定品が10万円だとすれば、少なくとも12万円くらいにはなってしまうじゃろうな。今の10倍以上万年筆が売れていたころの原価と今を比較するともっと高くなるかも。しかも職人がいないわな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年01月25日 07:04
2日連続の分解シリーズですね。プラスティック成型技術の進歩で、これまで複数の部品で形成されていたものが、一つの部品で代替出来るようになって、簡素化が始まったのでしょう。256の部品をそのまま作ったとしたら、定価20万円くらいになってしまいそうです。
Posted by 256命 at 2006年01月25日 06:08