万年筆評価の部屋:色で衝動買いした万年筆　Cartier Must

拙者はペン先の形や、吸入機構の斬新さ、どこを操作してペン先を露出するのか・・・などの機構的な興味に惹かれて万年筆を衝動買いすることは多々あるが、色で衝動買いしたのは、これまででこの一本のみ。商品名はカルティエ・マスト。軸色にもオシャレな名前がついていたのじゃが、忘れてもうた・・・

　当時は歴史的に見ればバブル崩壊後とはいえ、まだまだバブリーな気持ちは拙者の心を席捲しており、今考えればおぞましいような万年筆を何本も購入していた。自宅にパソコンなんてない時代なので海外からの購入は考えてもいなかった。そもそも自分の住所を英語表記すら出来なかった・・・いい時代じゃった

　ある年の６月・・・前期の目標達成をしたので、部の全員【一部留守番もいたが】でグァム等に旅行に行った（150人くらいだったかな）。拙者はゴルフもしないし、ましてや泳げないので、潜水艦に乗ったり、射撃したりして暇潰ししていた。暑い季節に、より暑い場所に行くなんて正気の沙汰ではないと考えていたのじゃがな・・・

　グアムのDFSはかなり広いので結構楽しめる。部下がドッグレースを楽しんでいる間、DFSでお買い物！というのは最高じゃ。筆記具や装身具中心にかなり購入した。その中の一本がこの万年筆。当時は筆記具を作っているブランドの全ての日本輸入モデルは価格を含めて暗記していただが、これは日本に輸入されていない色！ペン先のバリエーションなんてグズグズいわず、すぐに購入した。それからホテルに帰るまでが今までの半生【90%かな？】のうちで、最も恐い体験じゃった・・・・

　もう暗くなっていたのでDFSの付近ではタクシーを拾えず、ドッグレース場にもどった。まだレース中なので空車のタクシーはいっぱい！適当なのを選んで乗り込み、目的地を告げた。宿泊地は山の中の別荘地。バブル崩壊で計画の20%ほど立てて頓挫した場所じゃ。

　それまでも３日間、毎日通った道のはずじゃが、一人で夜中に通るのは初めて・・・そこにドライバーに携帯電話。現地語で何やらべちゃべちゃ・・・話しながら拙者の顔をバックミラーで覗き込む・・・何やら値踏みしているみたい・・・電話は続いている・・・急に道を変えた・・・エッ！・・・拉致されて身代金か・・・そういえば、乗り込む前にこの運転手は４人くらいの現地人と話していた。みんな目つきが悪かったな・・・武器はこのカルティエしかないし・・・ということで箱から出して、キャップを後ろに挿し、いつでも相手に襲いかかれるようにしておいた。細字でよかった・・・太字なら致命傷にならないかも・・・・

　などと考えているうちに、宿泊先の建物のある横道に入った！ああ、安心！運転手さん疑ってごめんなさい！　ようやく宿舎の前に到着してお金を払おうとしたら、運転手さんの手に軽機関銃が！　ゲゲ、、フリーズかよ！　しかしここでビクついては日本男児の名が捨たる！

　【そのガンは本物かい？】とちっとも恐くないぞ！という威厳を漂わせながら悠然と聞いてみる・・・【もちろん！この施設までの山道はしばしば山賊が出ます。お客さんといっしょなら安心だけど、一人だと心細いんで、いつも帰りは銃を助手席に見えるように置いて運転です。この施設に来る時にはずっと会社と連絡を取りながら運転します。なぜなら電話していると山賊が襲わないからです】

　お金を払ってタクシーが通り過ぎるのを確認してから、全速力でロビーに駆け込んだ！鼻先30㎝に軽機関銃を見たのは初めて。ああ、恐かった・・・ペンは剣よりも強いかもしれないが、機関銃には勝てない・・・

　ああ、日本は平和じゃ！　WAGNER万歳！　2月11日まであと6日！

MUSTのペン先がMontblanc製かどうかはわからんが、、、たぶん違うと思う。首軸内部に隠れている部分が長いのがMontblancの特徴じゃが、MUSTはそれほど長くない。

２９８しゃん　ご明察です。

You MUST have it! てな感じでしょうね。

運転手が機関銃！が最悪の経験とすれば、わけがわからんタクシー体験つうのもあります。好奇心はあるが英語は苦手！という拙者にはおもしろ海外エピソードがいっぱいある。それはまた別の機会に・・・

これって　must item ってことですかね？　鮮やかですね。
それにしても・・運転手が機関銃・・　私がったら目を回しますね　きっと　ご無事でなにより！！

この万年筆は軸色のみならず書き味も良いんです。一見エボナイトか？と思わせるようなペン芯の出来もGood。あと5年くらいは飾っておきたい万年筆です。

う～ん、この色鮮やかさにはイタリア各社も脱帽です。このセンスはフランスですね。イタリアだとどうしてもゴテゴテした装飾になってしまいます。シンプルで美しいというフランス美学の象徴のような万年筆です。

名前:
メール:
URL:
	情報を記憶:	評価:	顔星

コメント:

万年筆評価の部屋

2006年02月05日

色で衝動買いした万年筆 Cartier Must

色で衝動買いした万年筆　Cartier Must