2006年03月11日

【Story of Pelikan】という名のカタログ5

2006-03-11  Pelikan 01 先日centenaire26しゃんと、kugel_149しゃんのお見舞いに行った帰りに久保工業所を訪問した。その際にペントレ用にお借りした膨大な資料の中から一つ紹介する。

 【Story of Pelikan】という名のカタログじゃ。小学校の国語の教科書のように右から開いていく方式。外国製品のカタログにしては珍しい作りじゃな。右下に【P-80-1】との文字が入っている。P:Pelikan、80:1980年、1:第一号くらいの意味じゃろう。1980年にペリカンが作った最初のカタログと判断した。

 当時はペリカン・ジャパンはまだ無く、【海外事務器株式会社】が日本総代理店をしていたらしい。プライスリストには【
歴史140年。ドイツ万年筆No.1の伝統を誇る】と印刷されている。まさかね。Montblancの方が万年筆を作り始めたのは古い。会社の設立はPelikanの方が古いがな。会社設立140年でも万年筆を作り始めてからなら50年ほどじゃったはず。当時はそのあたりを追求する人は少なかったし、情報も少なかったから確かめようがなかったのかも。つくづく検索エンジンに感謝したい。
2006-03-11  Pelikan 02 
左は見開きになっている【Story of Pelikan】の最初の3枚をまとめて掲載した。文字は微妙に読めない解像度にしてある。心眼があれば読めるかも。

 一番右上の頁はハノーヴァー裁判所に登録されたPelikanマークの変遷。目つきが悪いペリカンになった時にトサカが生えたようじゃな。それにしてもトレードマークを裁判所に登録していたとは。

中断の右側の写真が大笑いなのじゃ!『ペリカン万年筆が日本に初めて輸入されたのは明治30年のことです。この年に丸善から発行された【学燈】にペリカン万年筆の広告が出ています。・・・中略・・・明治45年に丸善が6月30日に発行した【万年筆の印象と図解カタログ】という小冊子に夏目漱石が【余と万年筆】と題して一文を書いています。それによると漱石は永年ペリカン万年筆を愛用しています。・・・』という文章とともに、【学燈】の第十号からの切り抜きされたセーフティフィラーの万年筆が堂々と掲載されている。

 ハァ?Pelikanのセーフティ・フィラー? それはPelikanではなくPelicanじゃろう!と突っ込まなければならない場面じゃ! 夏目漱石がペリカンの口からセピアインクを入れたというのはセーフティフィラーでしかありえないことなので、写真は正しい。間違っているのはそれがPelikanの万年筆ではないということ。万年筆史上最大の失態カタログじゃな!

 文章は非常に上手い。おそらくは文筆業の人が書いたのじゃろう。作家の歴史にも詳しい。が、ペリカンには詳しくなかったわけじゃ・・・

2006-03-11  Pelikan 03
 そうしてみるとこれも怪しい気がする。これはオリジナルではなく、Pelikan 100Nリザードのキャップの天冠を黒と交換し、黒軸の100Nと組み合わせたように思えるのじゃが・・・もしそうなら、これもまずいなぁ・・・Pelikan Bookには掲載されていないが、こういうキャップとボディの組み合わせも日本に輸入されていたのじゃろうか?

 ちなみにPelikanがはじめて万年筆を販売したのは1929年。翌年にPelikan 100が発売された。1929年というのは昭和4年。明治、大正の時代にPelikanが輸入できるわけは無いのじゃ。



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(11) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 周辺Goods 
この記事へのコメント
夏目漱石に言わせれば、万年筆の募集狂は尋常ならざる者のようですな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年06月16日 21:10
「余と万年筆」ありましたのでお知らせまで。
Posted by 298 at 2006年06月16日 20:39
確かに見た。ただしキャップトップもリザードじゃった。
Posted by pelikan_1931 at 2006年04月01日 23:50
怪しいといわれていた写真の100Nリザードキャップをペントレで見たという連絡が入りました。本物でしたか?
Posted by 黒船 at 2006年04月01日 22:24
centenaire26しゃん

ありがとしゃん。
しかし、大きく【大正時代のペリカン】と書かれては信じろというのが無理かも・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年03月12日 09:41
ヴァーグナー楽しませて頂きました。

有り難うございました。

ヴァーグナーでも話にでました、101Lizard Blackは

趣味の文具箱Vol. 1のP21をご覧ください。
Posted by centenaire26 at 2006年03月11日 21:33
本日、ヴァーグナーでは本物をお目にかけた。
Posted by pelikan_1931 at 2006年03月11日 20:44
心眼を使わなくても拡大して読めました(笑)
Posted by まとりっくす at 2006年03月11日 12:32
“考案者”イナ・バウアー(Ina Bauer)さんは女性で、一九四一年生まれの現在六十五歳。旧西ドイツ人で、ドイツチャンピオンに三回輝き、ヨーロッパ選手権でも活躍。映画にも出演し、「白銀に躍る」(六一年)、「空から星が降ってくる」(六二年)で、アルペンスキー五輪三冠王のトニー・ザイラーさん(オーストリア)と共演した。現地紙によると、デュッセルドルフ近郊の町に居住、後進の指導にあたっているそうだ。地元では名前を冠した競技大会もあるという。
Posted by pelikan_1931 at 2006年03月11日 10:49
298しゃん

椅子から転げ落ちるほど笑ってしまいました。
ハノーヴァーとイナバウワー・・・確かに似ています。
Posted by pelikan_1931 at 2006年03月11日 10:45
うう 読めそうで・・読めない・・ ん・・・見えてきた!!
>トレードマークを裁判所に登録していたとは 
同じところで引っかかりました。 裁判所名を最初 イナバウワーと見間違えて え゛〜゛〜゛〜!?!? (笑) 
Posted by 298 at 2006年03月11日 09:41