伝説のセーラー プロフィット 80 その1 【軸について】
拙者がセーラーのProfit 80を入手したのは銀座三越デパートの万年筆売り場。発売前からボールペンとのセットを濃淡2セット予約しておった。1セット10万円だったかな?
発売は1991年。そうヘミングウェイが発売される前年じゃ。まだ限定品がもてはやされる以前じゃし、国産で10万円のセットがそう売れるわけもなく、アメ横でも相当長くショーウィンドウの飾りになっていた。
なぜアメ横ではなく銀座三越だったか?販売員がけなげでかわいらしかったから。当時、ここではプラチナ担当の女性もセーラー担当の女性も非常に対応が良く、お願いした事は決して間違わず果たしてくれた。こういう対応をされると、多少は売上げに貢献してあげたくなるではないか。安く買うより、気持ちよく買いたいという気持ちが強い時代じゃった。そういえば、最初の転職の年じゃな。
軸色は薄いものと、濃いものとがあった。写真のものは濃いほうに分類されるものじゃ。拙者は濃い色の方が好き。ペン先の評価は後日に回して、今回は軸の評価をしてみる。
当初、軸にはクリアラッカーのようなものが塗られており、ピカピカじゃった。それで満足しておったのじゃが、長原さんや川口さんに艶消し版を見せられるとそちらの方が良いように思えて、ある日川口さんに、艶消し処理をお願いした。なんと翌日には終了していた。聞けばサンドペーパーで丁寧にクリアラッカーをはがしていくのだとか。
一気に2本も艶消しが出来たので、悦に入って軸をスリスリしていた。とみるまにまた艶が出てくるではないか!今度はクリアラッカーの艶ではなく、ブライヤーの艶じゃ。しかし、クリアラッカーとまったく見分けがつかない。ただクリアラッカーのままでは経年変化が見られないが、ブライヤーの地肌が光る場合には経年変化が楽しめる。長い間ペンケースに入っていたのじゃがDahliaしゃんのBlogを読んでたまらなくなって引っ張り出してきた。やはり軸のしっとり感は良い。
実際には同じブライヤー軸でも、クリアラッカーを除去した後で、手の脂で再度艶が出るものと、二度と艶が出ないものがある。拙者の手元を10本くらいは通過して行ったが、4本は艶が出ないブライヤー。手の脂がついてもマット状を維持するのじゃ。
拙者は再度艶が出るほうが好きで、手元にあるのは艶が出るタイプ。艶があるのに経年変化が楽しめるというところが気に入っている。
厳しく言えば、Profit 80は使いやすい万年筆ではない。後ろにキャップを挿した場合、キャップが安定せず抜けやすい。今回もスキャナーで撮影しようとしてキャップを後ろに挿した状態でつまんで持ち上げたところ、キャップが抜けて軸がペン先から真下に落ちた!あわてて手を出したら、折れた足首を捻りそうになった。幸い、落下したところにソフトタイプのペンケースがあったので大事には至らなかった。MontblancのSoltiもそうじゃが、キャップを後ろに挿した際にグラつく万年筆は信用出来ない。特にブライヤー軸は強くキャップを挿そうとすれば軸に傷をつけてしまうので最悪。従って拙者はPrifit 80よりも純銀軸のCP7の方を評価している。
Profit 80はもう少し軸が長いと良いな。キングプロフィットの大きさでブライヤーだったら最高じゃ!もちろん、キャップを挿した時のおさまりが良いという前提。
思い立ってNo.149、No.256、No.146とともに4本挿しのペンケースに入れてみた。やはり圧倒的にProfit 80は美しい。工業製品としては未完成じゃが、それを補って余りある美しさじゃ。
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
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艶が出ないのは、濃い軸で経験した。
それこそどんなものを塗っても光らない部分があったので、マット状のままにしておった。
てっきり、ブライヤーは必ず艶が出ると思っていましたが、
そうでないのですね
そろそろ剥がそうと思っていたけれど、どうしよう……
りんむーしゃん
これは濃いほうの軸じゃ。薄いのも持っているが、軸色はずっと薄い。スキャナーの加減でやや薄く出ておる。
りんむーしゃん
ニスをはがせば、かみ合わせは良くなるのじゃよ。
もっとも拙者はキャップに関しては異常に厳しい。
1試し書きも含めれば50本以上のProfit 80を試したが
お眼鏡にかなうものは無かった・・・
もちろんNo.149もNo.146も合格点を与えられる物は一本も無い。
もっとも使うのに問題があるのは音楽家シリーズとM600シリーズ
くらいじゃが・・・
ここでははじめまして。メールではチャーチルのご相談とかさせていただいたりんむーです。プロフィット80はよいペンですよね。ところで、写真のブライヤーは象嵌のバックの色が薄いので薄いタイプのブライヤーではないでしょうか。濃いものはここがもっと濃かったような気がします。それと、キャップが後ろに挿入したとき外れやすい件ですが、私のものは、2本ともモンブランのソリテールと違いしっかりはまっています。ひょっとしたら、個体差からっかー剥がしのため軸が細くなってしまったせいではないでしょうか。プロフィット80の名誉のため投稿させて頂きました。
自分でも剥がせますぞ。
320番、1000番、2000番、5000番のペーパーで剥がしながら磨く。
金属部分はマスキングテープでカバー。
それで放置しておけば、マットのまま。
指でスリスリはじめるときりが無い。どんどん光ってくるものと、何を塗っても一切光沢が出ないものがある。
川口さんは、今でもラッカー剥がしをしてくださるでしょうか? お願いしてみよう。