このカタログが発行されたころのセーラーには核となる万年筆が無い。左端の木軸は良い万年筆ではあるが、若干地味!24時間戦う男達の前では、いかにも華奢じゃ。
この木軸の万年筆を生かすには、やはりクロスポイントの登場を待たねばならなかったろう。この木軸に付けた小さなクロスポイントはすばらしいインクフローを提供してくれる。構造上裏クロスは無理で、表クロスだけになってしまうが、エンペラー無しでもまったくインク切れしない。
数あるセーラーの万年筆の中では、シルエットは一番好き。通常の18金ペン先付の時代のものは、書き味でもキングプロフィットの次という評価。21金ペン先になってから、やや平凡な書き味になったな。
これでキャップがもう少しオシャレならいう事はない。クリップに彫られたへんてこ刻印が無い方が個人的には好きじゃ!
良く見たら23金ペン先と書いてある。こりゃ硬そうじゃな。そのあとで18金になり、最近は21金になっている。書き味や弾力は金の含有率の多さとは無関係なのじゃが、マーケティング上の戦略として23金という表現を使ったのじゃろう。金の含有量が多くなれば、素材が変形しやすくなるので、硬い金属を混ぜることになり、結果として弾力が無くなる。
18金時代のペン先に多少手を加えれば、Montblanc No.14のようなイカペンの書き味を出せたかもしれない・・・・ 出来ればオーバーフィード部分をハート穴の上あたりまで伸ばせば面白かったかな?
同じペン先を使っているのが左から2番目のカタログの右から二本目。これには細軟というペン先が用意されている。この【軟】を試してみてみたい。素材を薄くする以外の方法で23金のペン先に弾力は出せないはずじゃが・・
このころのセーラーはSheafferの国内総代理店をしていたはずなので、自社開発の万年筆に力が入ってなかったのかもしれない。セーラーの製品がグンと良くなりだしたのは、代理店契約が破棄されてから。やはり危機感が製品を良くするのじゃろう。
このカタログで一番欲しいものは、最終頁のセーラー画鋲じゃ。Pelikan画鋲には全ての画鋲の背中に、ペリカンマークとPelikan Germanyが入っているが、セーラー画鋲にはマークは入っていたのか? 非常に知りたい! どうもツルっとした表面のようなのじゃが・・・ 大型の缶に入った画鋲というのも魅力的!
そういえば、最近画鋲を会社で使わなくなった。オフィスの隅の掲示板には使われているかもしれないが、ほとんどは電子掲示板で事足りる。わざわざ紙で見る必要も無い。画鋲はOA化、ペーパーレス推進の影で、ひっそりと姿を消すんじゃろうな。最後に残るのは、インディ・プロレスの画鋲マッチかもしれない。画鋲の上にボディスラム!背中に刺さった大量の画鋲!痛さを表現するのにこれ以上のものはない。
昨日、Pelikan画鋲の上に座ってしまった・・・チクリ・・・