2006年05月06日

パイロット会社案内 その15

 一昨日と昨日、【赤と黒】vs【ミニ檸檬】の比較記事を投稿したが、訪問者数、閲覧ページ数とも過去最高を記録した。まだGoogle検索にひっかからない状態でじゃ。【赤と黒】は再度、騒ぎを引き起こしそうじゃ。

 本日から、1962年に発行された【パイロット社の会社案内】を週に2〜3回のペースで15回にわたって連載する。会社案内とは、そもそも学生のリクルーティング活動に使用するものじゃが、それがなぜ久保工業所にあったのかはわからない。今から40年以上前のことじゃから、主要販売店へも配布したのかもしれんな。なを万年筆と直接関係の無い部分の記載は省いてある。たとえば保養所施設や初任給、はたまた有給休暇が書かれてある頁などは省略じゃ。

2006-05-XX Pilot 01 これは表紙じゃが【会社のご案内】との表記がある。まさに会社案内じゃ。下のほうには【パイロット萬年筆株式会社】と書かれている。現在とは会社名もロゴも違う。現在は【株式会社パイロット】。斜陽産業といわれた【萬年筆】を会社名に持つことによって、会社自体のイメージダウンになるという判断がされたのじゃろう。【CI:Corporate Identity】全盛期に食い物にされた感じがしないでもない。いまに【萬年筆を社名に持つなんてオ・シャ・レ!】と言わせる時代を作りたいものじゃ。
 1962年当時、万年筆は花形産業。優秀な人材が数多く集まったことじゃろう。それほど魅力のある給与や福利厚生。この年の入社案内を見て、翌年入社した学生は既に定年退職して3年目。第二次世界大戦の最中に生まれた人々。こういう人々にお会いして当時を語っていただきたいものじゃ。

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 左は当時の社長である和田氏の言葉じゃが、実に示唆に富む。【作る人、売る人、利用する人の全てが幸せにならないと経営は成り立たない】というのはまさに金言じゃ。流通革命の名の下に、量販店が安い金額で消費者に販売し、【売る人と利用する人だけが幸せ】になったあげく、メーカーが赤字に苦しみ、結局は技術的にも海外メーカーに脅かされるようになってきている。それをパイロットは創業の時から言い続け、40数年後の1962年でも受け継がれている。この戦略の元、小売店を育成するプログラムを打ってきた。まさに企業戦略の模範のよう。ちなみに和田氏は創業者一族と思われる。

 1960年に【所得倍増計画】が出され、世の中は神武景気の真っ最中。パイロット社でも1961年にIBMパンチカードシステム(当時のコンピュター)を導入し、1962年の2月には平塚工場内に万年筆総合工場を作り、自動化に取り組んだ。パイロット・スーパーの爆発的人気により、総合工場建設が急務となっていたのじゃ。

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 この説明文に書かれていることはパイロットのファンなら誰でも知っていることなので、改めて説明はしない。ただ背景が大海原の写真。しかも陸から写したのではなく、明らかに船の上から撮影した海の写真というのは、いかにもパイロットらしい。

 会社名には【萬年筆】とあるのに、説明文では【万年筆】と書いてある。社名を平気で書き変えていいるのも自社の会社案内だからじゃろう。【新日鉄】とか【キャノン】とか他社が書くわけにはいかないからな・・・



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 
この記事へのコメント
師匠 記事を書く事の大変さもわからず勝手にお願いして申し訳ありませんでした。でも、がんばって書いてください!(^^)!
Posted by 並木良輔 at 2006年05月06日 21:50
並木良輔しゃん

社史の方はパイロット社の了解を取ってからにしたい。会社案内と違って不特定多数に配るものでは無いのでな。
それに歴史的背景を書き加える必要があるので、かなり時間がかかってしまう。出社前の1時間で記述するには、ちと苦しい。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月06日 10:29
会社案内とは珍しいです。今回と同じ量の記事が15回も連載されるというのは非常に楽しみです。終わった後は、パイロットの社史の方もよろしくお願いします。!(^^)!
Posted by 並木良輔 at 2006年05月06日 10:20