2006年05月28日

Montblancの隠れた名品 【No.264】

 最近様々な時代のMontblancを調整する事が多い。ペン先の種類もEFからBBBBB、クーゲルのOB/BB/F・・・など多岐にわたっている。そういう調整をどのようにやるのかを簡単に紹介しよう。

ゝ枡機構の確認と洗浄・・・・簡単に分解出来る箇所は分解し、完全洗浄。
  不具合箇所を見つけたら修理:部品あれば交換、無ければパテや接着剤で代替品作成。

▲撻鸚茲涼丙垢肇好螢奪抜岾崢汗亜ΑΑγ丙垢90%以上の確率で存在する。
  スリット間隔はインクフローと字の縦幅の希望にあわせて調整。
  場合によってはペン先のエラを張らせる(背開きになっている場合)

ペン先研磨・・・粗研ぎ【#320にて筆記角度作る】、中研ぎ【#1200にて形状整える】
            エッジ研ぎ【#2000→#5000でエッジ丸め】
            仕上研ぎ【金磨き布で縦横8の字旋回、左右回し】
            極太調整にはラッピングフィルムを使わない。使うと筆記時に滑りが発生。

 そうやって多くの万年筆を調整していると、Montblancの中でも性能と価格と品質と筆記感のバランスの取れたものがわかってくる。値段が高く大きなものが必ずしも良いわけではない。大きな図体になるとどうしても壊れやすくなる(Vintageに限ってじゃが)。希少価値の高いものは部品も少なく、思い切った修理も難しい。人気のNo.25Xシリーズはキャップクラックという持病を抱えている。テレスコープ式は故障とインク漏れリスクと隣り合わせ。非常に書き味の良い50年代No.146は価格高騰!

 そうした中で拙者が全体的にバランスが取れていると推薦したいのがMontblanc No.264じゃ。

2006-05-28 Montblanc 264-1 左は1958年ごろのモデルで、同時期には、学生モデルとしてNo.344、中級モデルとしてNo.254、高級モデルとしてNo.144があり、No.264は不思議な位置付けの万年筆じゃった。ペン先はNo.344風、キャップとクリップはNo.254風じゃが、キャップはNo.344と同じく回転式。ところが、これがNo.344とNo.254の弱点を見事に消し去っている。

 No.254とNo.344では、ペン先の柔らかさはNo.344に軍配
 No.254とNo.344では、クリップの強さ、鍍金の良さではNo.254に軍配
 No.254とNo.344では、キャップ品質はNo.344、質感はNo.254

 これら勝負の勝った部分だけを集めたような万年筆がNo.264じゃ。値段もNo.254よりは安い。

2006-05-28 Montblanc 264-2 ペン先は夢のように弾力があり、ペン芯もフラットフィーダーの物が多い(というか拙者はフラットな物にしか出合った事が無い)。胴軸から尻軸にいたる曲線がうまくデザインされているので、キャップを尻に挿してもグラつかない。拙者にとって最高に使いやすい万年筆の一つじゃ。

 驚異的な書き味の気持ち良さを求めるならNo.256のEF、ハネやハライの美しさならNo.146のFじゃが、安心感を考えるとNo.264の足元にも及ばない。

 拙者は最近Vintage万年筆から興味が引いている。やはり品質の安定性が確保されていないと安心しては使えない。そういう意味では1960年以降がMontblancに関しては安心じゃな。唯一の例外が50年代後半のNo.264、しかも1957年から1959年まで作られた後期モデル、しかもブルーのインク窓(1958/1959年)が一番じゃ。し
かし代わりが無くて使えない・・・この記事で相場が上がらねば良いがな。



Posted by pelikan_1931 at 11:00│Comments(9) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
人気に、火がつくのは困るんだけど、先日WAGNERで試し書きさせてもらいました。それは、とても書き味にお惹かれるモノでした。フリッツさんのおっしゃるとおり、肩肘の張っていないさりげなさにも、こころ動かされました。まずいなぁ。
どうも、メダカの学校の生徒になったみたいです。
Posted by watarow at 2006年05月28日 23:52
256命しゃん

10年前はNo.256は高くても300ドル以下じゃた。ある企画で【無人島に持って行きたい一本】というのがあり、そこでNo.256を紹介した人が、No.256人気に火をつけた。それまで拙者もまったく興味は無かったからな。

どういう状態で火が付くかわからんし、火が消えることもある。大事なのは自分に取っての書き味は何が一番合うかを知ることじゃ。

バランスが取れていたり、書きやすいとは書いたが、最も好きな万年筆とは書かなかったはずじゃ。好きな万年筆には欠陥も多いが、それでも好きなわけじゃ。悪女に惹かれる感じかな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月28日 21:24
ついに指摘されてしまいました。No.256にとっての目の上のタンコブ的存在のNo.264。
実際、No.266が発売されていたら、No.146もNo.256も危なかったかもしれません。すばらしさは認めるもののNo.256のファンとしては複雑な気持ちです。
Posted by 256命 at 2006年05月28日 20:14
めだかしゃん

拙者と画伯の闘い?の犠牲になったあれですな。
故障の少ないモデルなのでまだまだ残っていると思われますな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月28日 20:07
私も、書いたことあります、これ。
以前持ってましたから。
で、今は画伯の手に・・・・。
かわいがってもらってるようで、嬉しいです。
また見つけたら、即、買いですね。
Posted by めだか at 2006年05月28日 20:05
フリッツしゃん

おっしゃるとおり、No.264はラインナップ上の位置づけが不可思議じゃ。
No.262とはキャップ口金のデザインがまったく違う。

No.25Xの被せ式キャップに強硬に反対する一派がいて、社内が一本化できなかったのかな?
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月28日 19:51
私も管理人さんと同じく、264は隠れた名品だと思います。しかし当時のラインナップを少しややこしくしているのが、不思議でした。イメージ的には34X系に近いような。それから当時としては大きめのサイズの割には、肩肘張っていない性格も好感が持てますね。
Posted by フリッツ at 2006年05月28日 17:12
kugel_149しゃん

人気が沸騰しても、価格は沸騰しないはずじゃ。万年筆には格というものがあるでな。No.264の価格がNo.254を超えはしないじゃろう。同じ黒軸ならな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月28日 16:44
ありゃりゃ、これで、256につづいて264人気が沸騰してしまいそうですね!
Posted by kugel_149 at 2006年05月28日 13:08