パイロットの歴史に残る名品の中に、写真の【パイロットスーパー】が混ざる事に異を唱える人はいまい。この製品はパイロット社が独自の考えで製造したものではなく、消費者に意向を十分くみ上げて作られたものであることは間違いない。フォルカンとかコースのような特殊ニブも定番品として売られていた。写真で左から2番目はフォルカン、右端はミュージックじゃ。
この会社案内が画期的なのは、この頁に14金ペン先の成分を書いていること!【金:14、銀:5、銅:4、その他:1】の割合だとか。14金ペン先である以上、金の割合が14というのは当然じゃがな。純金を24とした時の金の割合を示すのが14金とか18金という表記じゃ。18金は18÷24=0.75ということで、18C-750とかと表記される。14金なら14÷24=0.583。従って14C-583と表記するところ、キリが悪いという事で、14C-585となっており。まれに14C-580とうペン先もある。SheafferがOEMで作った万年筆じゃ。
【イリドスミンはイリジュームとオスミュームの合金で・・・】と書かれている。拙者はてっきり北海道の山中から掘り出した天然の合金かと考えていたが、この文章を見ると社内で作っている合金のようにも思われる。既に【バカ】と呼ばれた天然物は枯渇していたのじゃろう。
復刻のパイロットスーパーと違って、初代スーパーはゴムサックの中にインクを貯める方式じゃが、貯蔵量は0.9CCとちゃんと表示している。現代のほとんど情報表示の無い万年筆と比べて、なんと良心的なことか!
キャップの金属も全て金張り、すなわち【ロールド・ゴールド】じゃ。鍍金と違って色あせはないので安心じゃな。
このスーパーは爆発的に売れ、また爆発的に製造した。これが数年後の経営危機にも関連してくるのかも知れぬ。販売店に押し込み販売をするために、とにかく買い取っていただく代わりに返品を受け付ける契約などが存在したのではないだろうか。大量に作った万年筆を販売店に売り、売れなかったら返品に応じる契約をしていたとしたら、一端人気が翳り始めるとメーカーは耐えられない。
拙者、このスーパーが好きで、見かけると購入するようになったが、ほとんどが復刻品。なかなかこの時代のMINT物を見かけることが少なくなった。ただ、大量に作られていた事は確かなので、今後出会うこともあろう。
この写真ではじめてみたミュージックなんぞ出会って見たいものじゃ。