

この2頁は非常に興味深い。現在のパイロット社においては万年筆の売上は10%程度と聞いたが、この当時は売上げの大半を稼いでいたのじゃろう。なぜなら、この会社案内のほとんどが筆記具、とくに万年筆を中心として書かれている。
従って万年筆関連以外の情報は【会社案内】の中でもほんの数ページしかないのじゃ。
京橋のペンステーションを訪問すると、蒔絵を施したシガレットケースなどが展示されているが、それが定番輸出品とは知らなかった・・・・てっきり蒔絵師の腕試しで作られたものを展示しているのだとばかり・・・
蒔絵に造詣の深い人に聞くと、万年筆に描いた蒔絵には動きが表現されているものがほとんど無いという。唯一の例外はPilotの金魚。
径の細い曲面に描くのでどうしても動きが表現しにくいのだとか。その点、平面に蒔絵を施したシガレットケースや硯箱などには傑作が多いらしい。
拙者も蒔絵万年筆は何本か持ってはいるが、どうしても絵が描かれた筆記具というものに違和感がある。模様を書いた筆記具は良いが、絵を描いた筆記具は使いづらい。立派な絵をわざわざ見えないようにして握って書く・・・なにかキリストの踏み絵をしているような錯覚に捕らわれてしまう。絵はやはり平らな面に描かれた物を鑑賞したい。キリスト教徒ではないが、フィラデルフィアの美術館で宗教絵を満腹になるほど見た後、多少は心が洗われた感じがした。やはり絵は全体を一挙に見たい。回しながらではなく・・・・
Pilotの計算機はPelikanの印刷機と並んで、現在最も欲しい代物じゃ。大学に入学したころ、これよりもう少し旧式の手回し計算機が図書館にあり、建築学科の学生が日々ガシャガシャと計算しておった。拙者はとうとう使い方を知らないまま卒業してしまったが、最近、どうしても計算する仕組みを知りたくなった。機械式計算機というのはメカが複雑で面白そう。
パイロットの計算尺というのも使ったことがある。中学生ごろかな?親戚が文具輸入業だったので、父親が買ってくれた計算尺はファーバー・カステル製だった。ところが複雑すぎて上手く使いこなせず、小遣いでこっそりとパイロット製を買いなおした記憶がある。父親は経理マンだったせいか、計算道具には異常に執着心があり、算盤や計算尺は値段が高いほど良いと信じていたようじゃ。おかげで息子は苦労した。
子供を万年筆ヲタに仕立て上げようとしている人はおらんかな?
下に、過去の会社案内の記事をまとめておく。
パイロット会社案内【その1】 パイロット会社案内【その2】 パイロット会社案内【その3】
パイロット会社案内【その4】 パイロット会社案内【その5】 パイロット会社案内【その6】
パイロット会社案内【その7】 パイロット会社案内【その8】 パイロット会社案内【その9】
パイロット会社案内【その10】