2006年07月06日

パイロット会社案内 その12

2006-07-06 Pilot 272006-07-06 Pilot 28 ここでは、2ページを割いてパイロットの直売&巡回制度と定価販売の正当性を説いている。実に意義深い章じゃ。読んでいて商売の本道を思い返させてくれる。特に万年筆のように、買う時点でサービス【調整】が必要で、なおかつ日常的に【清掃・メンテ・微調整】が必要な商品は定価販売でも一向にかまわないと思う。夫々の販売店にしかるべきワザが備わっていればじゃが。

 メーカーも販売店も購入者もメリットを得るという場合、定価販売というのが【購入者のメリットになるのか?】という素朴な疑問に対して【定価販売だからこそ満足のいくアフターサービスが出来る】と断言している。すばらしい見識じゃ。

 考えてみれば定価販売というのは非常に効率的。買う側も、何処で何時買おうが同じ値段なら価格比較などに無駄な時間を使う必要も無い。

 しかし一体誰が定価を決めるのか?当時の定価はメーカーが決めていた。メーカー、販売店で利益をうまく分けられるような価格設定にしていた。各国産メーカーもなんとなく同じような価格を保って定価制度は守られていた。

 こういうメーカー主導の定価制度の脆さは競合、特に海外からの競合製品の登場によって崩されてしまうこと。従って定価制度を復活させようとするならば、第三者機関が定価を決定しなければならない。

 【価格はお客様が決める】という合言葉で、実は【流通が価格決定】している現在の仕組みでは、崇高な商品の価値やサービスはないがしろにされる危険性は高い。

 コンビニは24時間いつでも開いているという利便性【購入者のメリット】を維持するために定価販売をしているが、誰も文句は言わない。少しずつサービスに対してお金を払うという仕組みになってくるじゃろう。

 【定価販売】はメーカーや販売店のとって有利に見えるが、実は今よりもはるかに厳しい差別化が始まる。万年筆業界に限って言えば、知識、スキルの無い店では売上げが極端に減っていくことになるのじゃ。しかし、それこそがプロフェッショナルの販売活動!はやくその時代が来ることを期待している。

 拙者がアメ横で万年筆を買い始めたのは安いからではない。アメ横の店の方が商品知識や万年筆界の動向に詳しく、聞いていて楽しかったからじゃ。金ペン堂やフルハルターで定価で購入するのも、技術のみならず適切な情報提供をしてくれるから。お金は【技術】と【情報】に払う時代になってきている。

 それを今から40年以上前に見抜いていたパイロットという会社はやはりすごいなぁ。



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Posted by pelikan_1931 at 07:05│Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 周辺Goods 
この記事へのコメント
ありがとうございます。
また、何かパイロットのを物色することを考えておきます。
Posted by 二右衛門半 at 2006年07月06日 23:39
298しゃん

あの方は流石ですな!
Posted by pelikan_1931 at 2006年07月06日 22:06
ぴよぴよしゃん

製造業は智恵が資本じゃからな。それを安売りしてはいかんのよ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年07月06日 22:00
二右衛門半しゃん

現在のPilotのVisionにもこの言葉は使われておるな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年07月06日 21:58
私の知ってる昔万年筆屋さんをやってた方は定価販売にこだわっておられました。 割引すると、自分のもってる誇りまで捨ててしまうような気がしてしなかったとのことですが、その気性をみなさんわかっていたのか良く売れたようです。  閉店セールでも一切割引なし というのが痛快ですらあります。 (笑)
Posted by 298 at 2006年07月06日 20:26
私は製造業界に身を置く人間ですが、感じるところ大であります。
私も、早く身体を治してお仕事頑張ろうっと。
Posted by ぴよぴよ at 2006年07月06日 08:09
パイロットの蒔絵万年筆で、鼎が描かれて「三者鼎立」の文字が篆書で入ったものを持っています。
単に蒔絵の美しさからでなく、書かれた対象にパイロットらしさを感じ、宝物の一つにしています。
こういう文章を読むと更に愛玩の度が深まりますね。
本当は当時の説明書も欲しいところですが・・・同じ鼎が描かれているので。
Posted by 二右衛門半 at 2006年07月06日 07:44