パイロット会社案内 その13
パイロットの黄金時代を築いた戦略がここに記載されている【伺い状】と販売店を通じた【アフターサービス】じゃ。いくらすばらしいデザインの万年筆を作ってもアフターサービスが悪ければ販売は尻すぼみになる。日本市場における欧米のマイナーブランドが今一歩伸びないのもアフターサービス問題が大きい。ちょっと修理・・・で平気で本国送りとなってしまう。
スティピュラのセルロイド軸が割れた時には伊太利亜との間を2往復して1.5年ほどかかってしまった。
パイロット方式のすばらしさは、問屋を経由せず直接販売店に卸して販売店の利益を増やすと同時に、販売店に修理技術を身につけてもらい店頭修理を可能にしたことじゃ。これならパイロット製品に関しては即時に修理して手渡せる。
なんと7000店で店頭修理が出来ていたとは驚きじゃ。この動きは競合各社でも採用していたと見られ、栃木の万年筆病院ではセーラーやプラチナの修理道具も残っていた。
現在メーカーは販売店経由で販売した製品がどういう人の手に渡ったかを、あの手この手で入手しようとしている。ネットでの友の会会員登録や、メルマガ登録など・・・
パイロットでは創業以来、販売店から購入者の住所氏名を得て、伺い状を全購入者に贈っていたようじゃ。これは驚異的。この葉書送付コストはバカにならない。切手代、印刷代、人件費などあわせると一本の万年筆に3回伺い状を出すとして、当時で50円ほどはかかったじゃろう。万年筆の原価は驚くほど低いから伺い状コストは相当の負担であったと思われる。
製造原価に算入するのではなく、サービス原価か販促費で処理したはず。写真を見ると新製品カタログの下にメッセージが印刷されている。これから考えると販促費処理と考えるのが妥当じゃろう。
最近Montblancから直接案内状が来るようじゃ。拙者はブティックで万年筆は買わないので案内状は来ない。伊東屋で買っても案内は来ないが、ブティックで買えば案内は来るとか。すなわち販売店を通しての顧客情報の把握は難しいのじゃろう。それを何十年も前に可能にしていたのはすごいと言わざるを得ない。
パイロット会社案内【その1】 パイロット会社案内【その2】 パイロット会社案内【その3】パイロット会社案内【その4】 パイロット会社案内【その5】 パイロット会社案内【その6】
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Posted by pelikan_1931 at 07:00│
Comments(11)│
mixiチェック
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周辺Goods
298しゃん
あの書物から仕入れた情報ですかな? あの・・・
郵便番号7桁時代になってもやってたとはな・・・
拙者は丸善でPilot製品を買うが、伺い状をもらった記憶は無いなぁ・・・
伺い状は、3ケ月後・1年後・3年後と10年の歳月をかけて顧客に送付したとあります。 10年目にも出したということですとこれはすっごいことですよね。 費用も半端ではないでしょうが信頼感はありますね。
『伺い状』はかなりコストかかるでしょうが・・ それよりすごいのがこちらこんなのがあったんですね!! 今はどうなんでしょう?
パイロットは3年7月,製品に責任をもつという従来の経営方針を大きく発展させ て「パイロット万年筆交換共通券」を発行,具合の悪い製品はこの券をもって国内・海外を問わず,パイロットの取引店に行けば,新しい製 品と交換するという思い切った制度を実施した。また「伺い状」制度を,国内のみならず海外販売にも採用した。
らすとるむさん、初めまして。
さて、手元にある「伺い状」について、蒔絵万年筆が掲載されています。
研出平蒔絵の「双鶴」です、現行では18Kペン先が付いていますが、葉書には14Kペン先となっていました。
あと、注目点としては客の名前の下の13桁の数字があります。
途中ハイフンが2つありましたが、この数字で顧客名簿を管理していたのだと思います、先頭2桁、次6桁、最後5桁です。
オークションで落札したよその方のものですから、数字を明かすわけにはいきませんが、先頭の2桁はおそらく国別なのかもしれません。
二右衛門半さん。
はじめまして。
【伺い状】しかも郵便番号が7桁ですから・・・最近ですね!。
もしかしたら、今でもその制度が生きているのかも知れませんね!!。
愛用者カードみたいなものを送ると顧客として登録されて、しかる後に【伺い状】が届く仕組みになっているのかも・・・・。
しかし、学生時代にパイロットを何本か買いましたが・・・【伺い状】の記憶は有りませんでした。
1通手元にあります。
以下本文内容
「平素は格別のご愛顧を賜り、まことに有難うございます。さて、ご愛用のパイロット万年筆は、その後、具合はいかがでしょうか。お伺い申し上げます。当社は、つねに綿密な品質管理と十分な検査により、製品をお届けいたしております。万一ご使用の上で不具合やお気に召さない点がございましたら、最寄りの取扱店または、当社サービスステーションへお申し出いただきたく、お願い申し上げます。」
ちなみに、郵便番号が7桁になっていました。
ごく最近のものですね。
現在教育をやろうとしても受け入れ側の体力がないでしょうなぁ。
古い商店街・文具店での万年筆売上比率は高く無いし・・・というかゼロに等しいじゃろうしな。
アフターサービスがやはり重要ですね!! モンブラン製品を扱わせるかどうか?というときアフターサービスが可能かどうか?がポイントだったそうですから・・ Nさん すごい!!(笑) 現在はお店向けの教育はやってないと伺いました。
らすとるむしゃん
拙者も見てみたいですな。crocodile149家にはあるかもしれんがな。
こんばんは。
【伺い状】は「万年筆と科学」などで知ってはおりましたが。
この段階(創業以来40年)までは【伺い状】の制度があったようですね。
何時頃までこの【伺い状】の制度が有ったのでしょうか?。
私は・・・・・・・・・・・・・記憶には御座いません。
ところで、実際パイロットから【伺い状】をいただいた方はいらっしゃるのでしょうか?。そのハガキを持っている・・・・なんて方がいたら素晴らしい。
有ったら見てみたいです。