2006年08月22日

その後の【THE PEN】 その5  *** Waterman ***

2006-08-22 Waterman 012006-08-22 Waterman 022006-08-22 Waterman 032006-08-22 Waterman 04






 ウォーターマンの前書きには、有名なウォーターマンが万年筆を発明するきっかけとなった逸話が紹介されている。ここでは【羽ペンとインク壷のあるところまで連れて行く間に顧客の気が変わる・・・】とあるが、少なくとも1800年代にはスチールペンが発明されていた。携帯用のツケペンもあった。従ってインク壷さえ持って歩けば契約書にサインは出来た。ようするに、上にある【発明のきっかけ】はまったくの作り話じゃろう。

 正しくはランブロー本に書いてある。【ウォーターマンは大きな保険証書と一本の万年筆を携えて顧客の所へ赴いた。契約書にサインの必要な箇所を慇懃に説明し、おもむろにペンを開いて差し出した。ところがそれは署名を残すどころか、インクが溢れ出して書類に広がり台無しにしてしまった。あわてて代わりの用紙を用意している間に横合いから機に乗じたライバルにお客を横取りされてしまった。この苦い経験からウォーターマンはもっと信頼できる万年筆の必要性を痛感したのである。】   

 彼が取得したパテントは万年筆そのものではなく、【アイドロッパー・フィッシャーフィード】という【ペン芯】。このペン芯こそが現代の万年筆まで脈々と引き継がれている万年筆の根幹部分。ペン芯があってこその【万年筆=卓越した筆記具】なので、ウォーターマンが万年筆の父と呼ばれているのじゃ。

 ちなみに【アイドロッパー・フィッシャーフィード】を完成させたのは1983年、パテントが認められたのは1984年。完成させた年が万年筆元年じゃな。

 【ウォーターマンでは常に万年筆・ボールペンを単に書く為の道具とは考えておりません。ファッショナブルなデザインにより持つ事の楽しさをあたえ、書く事への誘惑はウォーターマンのみが持つ魅力とでも言えましょう】。日本語として多少違和感があるが、内容はすばらしい!

 昨今、書斎館の館長が【大好きな洋服に合う万年筆を選びなさい】と女性にアドバイスしているが、まさに万年筆をオシャレの道具と定義していたウォーターマンの先見の明は凄い!が、ちと時代が早すぎたようじゃな。

 最後の方に【頑固なフランス人気質を内に秘めた・・・】とある。なんと独逸人だけではなく、仏蘭西人も頑固が売り物とは!仏蘭西人を表現する言葉は【高慢な】かと思っていた。海外では【頑固な日本人気質】なんていわれているのかもしれないな・・・

 価格表を見ると、フランス製は金鍍金製よりも純銀モデルの方が値段が高い。米国製は金鍍金の方が値段が高かった。このあたり仏蘭西は物の価値に従った値段設定にしている思われる。価値の無いものを高く売りたくは無い・・・という仏蘭西人の頑固気質の表れかもしれない。

 この時代のウォーターミナのボールペンを一本も持ってない。実に可愛い!いつかは使ってみたいものじゃ。


 2006-08-15 その後の【THE PEN】その4  Pelikan 
 
2006-08-08 その後の【THE PEN】その3  Sheaffer
 
2006-08-01 その後の【THE PEN】その2  Montblanc 
 
2006-07-25 その後の【THE PEN】その1  Parker 

 2006-07-18 昭和51年の【THE PEN】その8  Waterman 
 
2006-07-11 昭和51年の【THE PEN】その7  Sheaffer 
 
2006-07-04 昭和51年の【THE PEN】その6  Pelikan 
 
2006-06-27 昭和51年の【THE PEN】その5  Parker 
 
2006-06-20 昭和51年の【THE PEN】その4  Omas 
 
2006-06-13 昭和51年の【THE PEN】その3  Montblanc 
 
2006-06-06 昭和51年の【THE PEN】その2  Lamy 
 
2006-05-30 昭和51年の【THE PEN】その1  Cross 



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(10) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 周辺Goods 
この記事へのコメント
monolith6しゃん

ウォーターマンのCF用コンバーターは個体数分は持っておるが、今後を考えると不安じゃ。大体コンバーターが見つかるまでは耐えるしかないな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月27日 09:25
 Pelikan_1931 さん、仁右衛門半さん、

 ウォーターミナは細字の書き味が秀逸でしたか。確かバイブルには、オブリークの太字のニブが付いていたのを見た記憶がありますが、それ以来、使うなら太字!と思い込んでいました。

 それから、何と使用するにはCF用のカートリッジ/コンヴァータが必要でしたか!これは貴重な情報をありがとうございました。知らずに入手していたら往生するところでした。これでスッパリと諦められます。現代でも汎用性を確保していない万年筆は使う気にはなれません。
Posted by monolith6 at 2006年08月25日 23:02
monolith6さん、書き味は良いと思いますよ。

ただ、いくつか問題点があります。

第一に、CF用カートリッジ/コンバーターが必要です。
第二に、実物はこれだけ出すほど、美しいとは言えません。
第三に、軸が細い!

どなたか、持ってらっしゃる方に試させてもらってから考えた方が良いと思います、一般的に好まれるものとは思えないので入手を急がれる必要はないと思います。
Posted by 二右衛門半 at 2006年08月25日 07:15
二右衛門半しゃん、monolith6しゃん

たしかにウォーターミナのラッカー軸はみかけませんな。
金属時にの66と44は所有していますが、細字の書き味はあ秀逸です。
ペン先調整をしていないころ購入し、現在にいたるまでいちどたりともペ^パーを当てていませんが、ほれぼれする書き味です。寝かせて書くという前提ですが。
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月24日 23:01
 仁右衛門半さん、情報をありがとうございます。やはりウォーターミナは珍しいので価格が釣り上がりがちということのようですね。お言葉から察するに書き味は平凡みたいなので、諦めることにします。
Posted by monolith6 at 2006年08月24日 22:54
monolith6さん、当方ウォータミナをmintで一本持っています、オークションでもたまに出るようです、ただし思い切らないと買えないぐらいの価格になります、相当珍しいです。

それだけ出すのならもっと他の選択肢を模索された方が良いと思います。

それと、こちらの持っているブルゴーニュもFでした。
Posted by 二右衛門半 at 2006年08月24日 06:27
monolith6しゃん

マスターであっても書き味が良いのはM以上の字幅でないとな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月24日 04:20
 マスターの18Kニブ付き、ラッカー・グリーンを日本に置いてあります。岳父がくれたものです。Fニブ付きで書き味が悪く、自分で少し研いで見ましたが更に悪化しました。マスターの本来持っている書き味が分からなくなりましが、もしこれがウォーターマン史上最高の書き味だとすると・・・? うーむ・・・

 ところで私はウォーターミナをずっと探していますが、いまだに入手できないでいます。ウォーターマンにしては珍しいネジ式キャップということだけが気に入って探しているのですが、結構珍しいものなんでしょうか?
Posted by monolith6 at 2006年08月23日 22:31
拙者はマスターの18金ペン先付を持っているが、こいつはウォーターマン史上最高の書き味かもしれん。柔らか好き派にはたまらない書き味じゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月22日 21:35
ウォータミナにこんなに種類があるとはしりませんでした。
これに出ているのでは他にブルゴーニュと77万年筆も持っています。
この時代だったのですね!確かこのあとマスターは金ペン先が無くなってスチールニブになりましたよね?マスター2000でしたっけ?


そういえば、取引のあるお店でグット77ボールペンは残っている、という話は聞いたことがありますが・・・。
Posted by 二右衛門半 at 2006年08月22日 06:38