ウォーターマンの前書きには、有名なウォーターマンが万年筆を発明するきっかけとなった逸話が紹介されている。ここでは【羽ペンとインク壷のあるところまで連れて行く間に顧客の気が変わる・・・】とあるが、少なくとも1800年代にはスチールペンが発明されていた。携帯用のツケペンもあった。従ってインク壷さえ持って歩けば契約書にサインは出来た。ようするに、上にある【発明のきっかけ】はまったくの作り話じゃろう。
正しくはランブロー本に書いてある。【ウォーターマンは大きな保険証書と一本の万年筆を携えて顧客の所へ赴いた。契約書にサインの必要な箇所を慇懃に説明し、おもむろにペンを開いて差し出した。ところがそれは署名を残すどころか、インクが溢れ出して書類に広がり台無しにしてしまった。あわてて代わりの用紙を用意している間に横合いから機に乗じたライバルにお客を横取りされてしまった。この苦い経験からウォーターマンはもっと信頼できる万年筆の必要性を痛感したのである。】
彼が取得したパテントは万年筆そのものではなく、【アイドロッパー・フィッシャーフィード】という【ペン芯】。このペン芯こそが現代の万年筆まで脈々と引き継がれている万年筆の根幹部分。ペン芯があってこその【万年筆=卓越した筆記具】なので、ウォーターマンが万年筆の父と呼ばれているのじゃ。
ちなみに【アイドロッパー・フィッシャーフィード】を完成させたのは1983年、パテントが認められたのは1984年。完成させた年が万年筆元年じゃな。
【ウォーターマンでは常に万年筆・ボールペンを単に書く為の道具とは考えておりません。ファッショナブルなデザインにより持つ事の楽しさをあたえ、書く事への誘惑はウォーターマンのみが持つ魅力とでも言えましょう】。日本語として多少違和感があるが、内容はすばらしい!
昨今、書斎館の館長が【大好きな洋服に合う万年筆を選びなさい】と女性にアドバイスしているが、まさに万年筆をオシャレの道具と定義していたウォーターマンの先見の明は凄い!が、ちと時代が早すぎたようじゃな。
最後の方に【頑固なフランス人気質を内に秘めた・・・】とある。なんと独逸人だけではなく、仏蘭西人も頑固が売り物とは!仏蘭西人を表現する言葉は【高慢な】かと思っていた。海外では【頑固な日本人気質】なんていわれているのかもしれないな・・・
価格表を見ると、フランス製は金鍍金製よりも純銀モデルの方が値段が高い。米国製は金鍍金の方が値段が高かった。このあたり仏蘭西は物の価値に従った値段設定にしている思われる。価値の無いものを高く売りたくは無い・・・という仏蘭西人の頑固気質の表れかもしれない。
この時代のウォーターミナのボールペンを一本も持ってない。実に可愛い!いつかは使ってみたいものじゃ。
2006-08-15 その後の【THE PEN】その4 Pelikan
2006-08-08 その後の【THE PEN】その3 Sheaffer
2006-08-01 その後の【THE PEN】その2 Montblanc
2006-07-25 その後の【THE PEN】その1 Parker
2006-07-18 昭和51年の【THE PEN】その8 Waterman
2006-07-11 昭和51年の【THE PEN】その7 Sheaffer
2006-07-04 昭和51年の【THE PEN】その6 Pelikan
2006-06-27 昭和51年の【THE PEN】その5 Parker
2006-06-20 昭和51年の【THE PEN】その4 Omas
2006-06-13 昭和51年の【THE PEN】その3 Montblanc
2006-06-06 昭和51年の【THE PEN】その2 Lamy
2006-05-30 昭和51年の【THE PEN】その1 Cross