インクのボタ落ちを理論的に説明した【第四章】
今回は中学校の理科のお勉強のように楽しかった! 実は拙者が理科は大好きで、中学校3年間で99点が一回だけで、あとは全て100点じゃった。高校に入ると物理・化学は好きだったが、生物・地学には興味が湧かなくなった。
【水金地火木土天海冥】と覚えるのではなく、それぞれの重さや比重から【想像】する事が楽しかった。今回のボタ落ち講座は、それとはちと趣が違うが、今までぼんやりと知っていた事を、理論的に目を開かせてくれた。
もちろん空気膨張の仕組みなどは理屈としては知っている。しかしそれをインク漏れという現象に当てはめて考えた事はなかった。もし理科の授業で、この第4章を教材に教えたら、ずっと自然現象を理解しやすいのではないかなぁ。【萬年筆と科學】というテーマに最もふさわしい章じゃ(いまのところ)。
もし、この4分冊を一挙に呼んだとしたら、【ああ、その理屈わかるよ!】ですっ飛ばしたかもしれない。今回、一章を一回分ずつしか読まない事によって、この本を、ずっと深く楽しめることになっておる。新しい本の楽しみ方を見つけた気分じゃ。
【丸木船は理屈を知らなくても作れます。鉄の船は理屈を知らないでは作る事も使う事も出来ません。万年筆は鉄の船ではないでせうか】・・・この文章に万年筆技術者としてのプライドを感じた。
インクボタ落ちの原因は、インク量が減って、軸内の空気が膨張してインクを押し出すからだ!というのが結論。しかし、何故夏場のボタ落ちが少なくて、冬場のボタ落ちが多いかが理論【理科】で説明されている。妙に面白い。その昔、高校数学の積分で解かりやすかったのが、【風呂水が溜まる時間を予測する】というのがあった。非常に実用的だと思って、一挙に積分が好きになった。微分方程式も似たようなトキメキを持った。ラジアンにはまったく興味が湧かなかった。人間興味が湧かないものを無理やり勉強しても身に付かない。どうやって教材に興味を持たせるかが教師の腕の見せ所じゃろうな。授業はライブと一緒!教室全体にムーブが起これば教師というのは楽しい職業だと憧れる!実際は大変らしいがな。
【空気を自由に膨張させる場合は、容積は絶対温度に比例する】という法則がある。この法則を用いれば、夏場に軸内にある空気は手で持つことによって3.6%しか膨張しないが、冬場なら13.6%膨張する。良いなぁ! 実に解かりやすい。
その他、赤インクと青インクをボタ落ちさせる実験をすると、赤インクより青インクの方が雫の直径が大きく、体積も大きい!という実験結果が示されている。また室内温度が低い時は、高い時よりも大粒で落ちるということも・・・
また1ccのインクで書ける文字数は10,300文字、一滴のインクで書ける文字数は450文字という調査結果も掲載されている。おそらくはEFのペン先であろう。なを一文字の大きさは【葉書の宛名】程度としている。考えていたよりもずっと多く書けるのでビックリじゃ!
この調査には【パイロット工場研究部調査 14,4,1926】と書かれている。年月日がddmmyyのヨーロッパ表記じゃ。そしてこの記事には1926.5.21と日時が記載されている。yymmdd表記。
この年月日を見て2つの事がわかった。実験レポートへの表記と、記事表記では年月日の表記が違う。一般にはyymmddであったが、工場研究部などではddmmyyの表記を用いていた。技術者の欧米への憧れと挑戦からそうなっていたのであろう。TV製作現場スタッフなどが【うまい!】を【まいう~!】というようなものかも?
そしてもう一つは・・・渡部氏が、この記事の為にパイロット研究部に実験させたということじゃ。日付を見てそう判断した。自分の思い付きをすぐに実験させ、仮説を検証するという姿勢はりっぱじゃなぁ。爪の垢でも煎じて飲ませたいわぃ・・・自分に _| ̄|○
解説【萬年筆と科學】 その3
解説【萬年筆と科學】 その2
解説【萬年筆と科學】 その1
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