やっと【Pelikan ナイアガラ】の登場じゃ。このBlogで過去に大絶賛したことがある。そのせいか、日本でのメーカー在庫は無いらしい・・・
しかし争うように購入されたかと言えば、そうでもない。姿形が今までのPelikanと違うので多少敬遠されているのじゃろう。
萬年筆は単なる書く道具と言うだけではなく、アクセサリーであったり、ふと過去の世界に誘ってくれるタイムマシンでもあるからな。
ナイアガラは出荷時点でのペン先の状態が完璧とは言い難い。そこで今回は拙者がいかにしてナイアガラを一人前にしたかをお伝えしよう。
上の画像のようにボディは多少メタボ・・・これが実に握りやすい。最近のM1000ベースの限定品と同じような形状じゃな。これがペリカンの高級ラインの姿になっていくかもしれない。ナイアガラはその形状をより下の価格帯のボディに適用するための実験だったのかも？
重量は32.7gで、M800の28.7gよりも4gも重い。胴体の一番太い部分は1.44�僂�1.34�僂�1�个眤世気�違う。これは相当持った感じが違う。ナイアガラ圧勝！
拙者の手に合うPelikanはビッグトレド型の限定品が一番じゃが、それと同じように軸の中間が重くて実によい。高価な限定品は眺めるだけという拙者にとってはうってつけの逸品じゃ。
発売開始直後からナイアガラを愛用していたのだが、岡山での万年筆くらぶ合同宴会において、拙者が使っていたナイアガラと北ペンくらぶの方のナイアガラを交換した。どちらもBニブ。
書き味は当然拙者の物の方が良いので先方は大満足。拙者ももう一度調整が出来るので大満足！利害のピッタリと一致した交換じゃった。
こちらは調整前のペン先。けっこうスリットが開いているのでインクフローに問題はないが・・・多少開きすぎじゃろう。これでは書き出し時に寝かせて書こうとすれば、インクがペンポイントまで誘導されないおそれがある。
またペンポイントの先端を研磨しないと拙者の筆記角度に合わない。
こちらはソケットから外したペン先の画像。多少汚れているが問題になるようなトラブルは無い。もとよりペン芯はプラスティック製なのでエボ焼けも無い。
それにしても首軸内部に隠れる部分が短いなぁ・・・ソケットで締め付けるとはいえ、もう少し長い方が美しいのに・・・
ナイアガラの重さの秘密を見るために、内蔵を開けてみよう。M800のピストン機構を外す器具【フォークを改造した物】をはさんでピストンを締め、右に回せばピストン機構は簡単に外れる。
そう、M600をベースとしたナイアガラではあるが内部機構はM800そのもの。
部品を尻軸側から順番に並べてみると左画像のようになっている。これはすばらしい設計！No.146の場合には尻軸から伸びる螺旋棒が外れないので、曲がったら万年筆自体が機能しなくなる。ナイアガラの場合は全ての部品が外れるので事故は少ない。初代100の時代からこの設計思想は変わっていない。たいしたものじゃ！
こちらが清掃したペン先。これを多少絞ってスリットを狭くした上でソケットに差し込み、そのソケットを首軸に右回りでねじ込むわけじゃ。
上の方でピストン機構をはずす時には右に回して緩めるが、ペン先ユニットは右に回して締めるのじゃ。一見わかりずらそうだが慣れれば迷うことはない。
こちらがスリットを多少詰めた状態で首軸にとりつけたもの。当初よりすこしだけペン先が前に出ていることがわかろう。全体のボディとのバランスを考えてこの位置にセットした。
実はキャップの重さはナイアガラの8.5gに対してM800は8.3gとほとんど変わらない。従ってキャップを後ろに挿さないで書こうとすれば筆記バランスの差はさらに拡大する。
こちらは横顔。例によって不安になるほどペン芯が下がっている。これが拙者のベストポジションじゃ。インク切れが発生したことはない。
プロの調整師の方々の中には、かなりペン芯を前進させる人がいるが、あれは筆圧が強い人用の調整。低筆圧の人が真似をする必要はない。
半分以上がアクセサリーである万年筆にとっては見映えはとっても大切。多少の不具合はがまんしなされ。
こちらは調整したペン先の拡大図。拙者の筆記角度に併せて多少斜めに削り落とした。購入直後のペンポイントからこの状態まで、ひたすら書いて書いて書きまくったとしても半年はかかる。拙者の筆圧と筆記頻度では30年はかかる。とっくにあの世に行っている計算になる。
どうじゃな、年寄りほど調整が重要なわけがわかりましたかな？意地を張って良い書き味を知らないまま死んでしまうのはもったいなかろう。はよう調整師のところへ行きなされ！
【 今回執筆時間：3.5時間 】 画像準備1.5h 調整1h 執筆1h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間
