2007年12月03日

月曜日の調整報告 【 Montblanc L139G 14C-KM 健康診断 】

2007-12-03 01 ヘ〜!クーゲルニブってのはNo.139の時代からあったんだ!というのが正直なところ。

 No.139ヘミングウェイの原型となったモデルだが、2本並べてみると違いが良くわかるはず。精巧度合がまるで違う。あきらかにNo.139の方が凝ったつくり。ただし、凝った為に発生したトラブルも多かった。製造期間は1939年〜1950年の11年間で、1950年代No.149の1952年〜1960年よりも長い。もっとも戦時下でどれほど生産が出来ていたかは不明じゃ。

2007-12-03 02 ペン先の研磨はなかなか良くできている。今回は微調整だけで大丈夫だろう。ただし、ペンポイントの左右の段差がかなりあるので、書き味は良くはない。

 そうそう、今回は調整依頼というよりは健康診断。新たに入手したものをドックに入れてから使おうというのが狙いのようじゃ。

2007-12-03 03 吸入機構は左に捻れば外れる。機構はPelikan 100と同じだが捻る方向が違うので注意!Pelikan 100は右に捻って外し、No.139は左に捻って外す。特に専用工具は必要ない。ゴム板で掴んで捻ればよい。

2007-12-03 04 専用工具が不要であることは、萬年筆愛好者にとっては非常にありがたいことじゃ。いつでもピストンの裏に回ったインクを清掃できる。

 これが1950年代No.149に進化してから外せなくなった。拙者は退行だと結論づけているが、可動部分が多いほど故障確率は上がるので、No.149方式が編み出されたのかも知れない。いずれにせよ、驚くほど大量のインクが入る。拙者はインクが1cc以上入ることに何メリットも感じないがな・・・

2007-12-03 05 ペン芯は1950年代のフラットフィードと同じ。どうやらNo.139の時代からNo.149のフラットフィードの時代へは、ペン芯はまったく進化していないようじゃな。非常にシンプルで理にかなっているペン芯。

 量産できなかったのは、やはり加工精度が要求されるからだろう。これほどまでに綺麗なカーブでペン芯を加工できるとはたいした物じゃ。


2007-12-03 06 ペン先のスリットは下品にならない程度で開いておいた。これでドバドバのインクフローが得られるじゃろう。テストした段階では、あまり字巾は広くないが、インクフローは超優秀!との結果を得た。

2007-12-03 07 こちらは調整前と調整後のペン先裏の画像じゃ。当然上が清掃する前で、下が清掃後。多少エボ焼けは残っていたが、おおむね清掃されていたが念のため、再度徹底的に金磨き布で擦ったのが下。

 かなり輝きが違ってくる。もし自分で元の位置に戻せる自信があれば、ぜひトライしてほしいのが、この【エボ焼け落とし】。思った以上にインクフロー向上に効果がある。

2007-12-03 08 インクフロー改善の【スリット巾拡張工事】と【エボ焼け落とし】の小技を適用し、【段差微調整】をして首軸にセットしたのが左図じゃ。

 真上から見たときに【L139】の文字がまったく見えない状態が一番収まりが良く見える。気のせいかもしれないが、クーゲルニブは通常のL139ニブよりはエラが張っている・・・・


2007-12-03 09 こちらは横顔。上の図も参考にしてほしいのだが、【ペン芯の先頭が山型の装飾の頂点よりも、ごくわずかペンポイント寄り】の位置が一番綺麗に見えるのでソコにセットするのがお奨め。見映えの良い位置がインクフローも良いと考えて間違いはない。


今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備2.0h 調整1.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 
 


【これまでの調整記事】

2007-12-01   Montblanc '50年代 No.146 14C-M 死地からの復帰          
2007-11-28   Montblanc No.142 14C-F 相対評価の果てに・・・
2007-11-26   Montblanc No.147 14K-OM 羊の皮をかぶった山羊
2007-11-24   WAGNER 2007 18C-B 王子からの依頼
2007-11-21   Montblanc No.254 14C-EF ペン先曲がりと・・・
2007-11-19   Parker 75 14K-63 女王様の憂鬱
2007-11-17   Montblanc No.146 14C-OBB 筆記角度30度の世界
2007-11-14   Aurora エウロパ 18K-F 持久力向上 
2007-11-12   Montblanc No.342 G 14C-KF インクが出ない! 

2007-11-10   Pelikan 400NN 緑縞 14C-OM カモノハシ化 
2007-11-07   Stipula ピノキオ 赤軸 18K-M インク切れ解消
2007-11-05   Montblanc No.146 18C-F 書き味品位向上
2007-10-31   Waterman セレニテ 18C-M ペン先曲がり
   
2007-10-29   Pelikan 400NN 緑縞 14C-M ピストン/フロー改善
2007-10-24   Stipula ピノキオ 青軸 14K-M 字幅改善
2007-10-22   Montblanc No.252 14C-F フロー改善
2007-10-20   Montblanc 50年代 No.146 14C-KF ヌラヌラ化
2007-10-17   Osmia 64 → Matador Click ペン先移植
2007-10-15   Matador 996 ピストン修理に松脂利用実験
2007-10-13   Montblanc No.34 14C-M グレー軸   
2007-10-10   Pelikan 140 赤軸 & Gel Medium 
2007-10-08   Montblanc モンテローザ ピストン交換 
2007-10-06   Parker バキューマティック ペン先曲がり 
2007-10-03   Montblanc No.1466 14K-M いぶし銀
2007-10-01   Parker 75 赤ラッカー軸 14C-XF→F 交換 
2007-09-29   吸い込まれるような透明軸 Chronoswiss
2007-09-26   Montblanc 80年代 No.146 14K-EF 胴軸交換
2007-09-24   20年間酷使した Pelikan M800の復活 
2007-09-22   女王からの依頼 : ペン先の無いセルロイド軸 
2007-09-19   Montblanc 50年代 No.146 14C-KF キャップ交換
2007-09-17   万年筆博士 水牛軸 14K-HM 曲げ戻し 
2007-09-15   Senator President 14C-B 交換後 

2007-09-12   Montblanc 50年代No.146 14C-M Thin 
2007-09-10   Pelikan ナイアガラ 18C-B 交換後  
2007-09-08   Montblanc 50年代No.146 14C-M Thick
2007-09-05   Montblanc 50年代No.144 14C-B 
2007-09-03   Montblanc 80年代No.146 14K-EF ペン先曲がり 
2007-09-01   Montblanc No.342 14C-KM 

2007-08-29   Montblanc No.23246 ヘマタイト 18K-F 
2007-08-27   DELTA 20周年記念 18K-F
2007-08-25   Montblanc No.342 + No.252 そしてペン先曲がり
2007-08-22   Pelikan M1000 2.2B for 書家 
2007-08-20   Montblanc 60年代No.149 18C-M 尻軸不良
2007-08-18   Sheaffer Snorkel 金張 14K-EF
2007-08-15   Montblanc 60年代No.149 18C-OB  ハプニング! 
2007-08-13   Montblanc 70年代No.149 14C-EF → B
2007-08-11   Montblanc 70年代No.146 14C-EF from 岡山
2007-08-08   Montblanc 80年代No.146 14K-OB お好きに!
2007-08-06   Montblanc 50年代No.144-G 14C-EF
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2007-07-28   Platinum #3776 金魚 14K-太 
2007-07-25   Montblanc 70年代 No.146 18C-EF ペン先交換
2007-07-23   Pelikan 100 14C-F 2本から一本を作る! 
2007-07-20   Pelikan M800用 14C O3B → 3B  & 鍍金
2007-07-18   Pelikan #520NN 14C-M
2007-07-16   コルクが劣化したMontblanc 50年代No.144 14C-M
2007-07-13   ペン先のひん曲がったPelikan M700 トレド 18C-BB
2007-07-11   ペン芯の折れたMontblanc 80年代 No.146 14C-EF
2007-07-09   Montblanc No.74 14C-F
2007-07-06   Pelikan 400 緑縞 14K-M
2007-07-04   Pelikan #500 茶縞 14C-BB 
2007-07-01   Pelikan 400 茶縞 14K-EF

Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆