2008年01月24日

解説【萬年筆と科學】 その65のかわりに【 Pelikan SAHARA 】 

2008-01-24 01 やっとPelikan SAHARAを入手した。発売後しばらくして販売店に【頂戴】と言って代理店に聞いてもらったら、日本での出荷数分は終了してしまったので、独逸からの取り寄せになるとのこと!

 そ、そんなに人気が出ていたのか!店頭に並べているところも多いので、安心していたのだが・・・

 昨今の萬年筆ミニブームを見込んで、販売店がストックに走っているのかもしれない。

2008-01-24 02 これはパッケージに同封されていた取扱説明書の表紙。本当にSAHARA砂漠かどうかはわからないが、砂漠に対する憧れを感じさせてくれる。

 軸にこの雰囲気が出ているのだとしたら楽しみ!


2008-01-24 03 特徴は軸に砂漠の尾うねり模様が彫られ、その上に透明樹脂か工業用漆が塗られている。

 インクを入れない場合の重量は32gであり、ナイアガラの滝よりも若干軽い。胴体の刻印で削り取られた部分の差かな?ちなみにM800は28.9gなので、はるかに重い。メタボな胴回りのせいであろう。


 ずっとキャップを後ろに挿して使っていたのだが、持つ位置がメタボ腹の一番太い部分になってしまい、疲れが早い。

 そこでキャップを挿さずに、ややペンを立てて書いてみると絶妙!ネジの部分を中指に乗せるような位置が一番拙者にフィットする。キャップを挿さない方が書きやすいのはM1000No.146
に続いて3本目じゃ。もっともNo.146は挿せないのだがな・・・

2008-01-24 04 ナイアガラの滝のペン先(銀一色)と違いSAHARAのペン先はバイカラー。M650の18金ペン先と同じもの。従ってM650用のBBニブを装着する事も出来る。2本購入したうちの一本にはBBニブを装着して飾ってある。

2008-01-24 05 既に何度も提案しているが、Pelikanは日本でのペン先の検品を強化した方が良い。拙者のSAHARAは独逸からとはいえ、Pelikanの正規代理店経由での購入じゃ。なのに購入直後で左画像の状態!

 ペン先の左右に大きな段差がある。もう一本は多少マシだった。これはペン芯の上で、ペン先が左右にずれた場合に発生する現象で、爪で横に押せばすぐ直る。出荷時点でピコっとやれば直るのだがなぁ・・・

 もっとも根本的には、根元を長くして、ソケットとの密着度を向上した方が良い。すなわちNo.149のようにするわけじゃ。コストの問題もあろうが是非考えて欲しい。同じような現象はM400にもM800にも発生している。

2008-01-24 06 こちらは横からの画像。ペンポイントは大粒で良いのだが、スイートスポット無しでは極上の書き味とはいかない。今回は調整しないで、どんな感じなのか一ヶ月ほど楽しんでみようと思う。

 段差が無くなっただけでも書き味はずいぶん向上するのでな。

2008-01-24 07 こちらは全体分解画像。M800を分解するのと同じ工具で分解・組み立て出来る。このあたりはすばらしい設計思想じゃ。No.146などと違うのは、ピストンの装着に接着剤を使っていないこと。ネジの精度に対する自信がうかがえる!

 この設計思想だけは後世に
引き継いでもらいたいものじゃ。

2008-01-24 08 こちらはソケットから外したペン先の拡大図。現行品のM800のニブと同じく、ややメタボな形状。別ルートで入手したM650用のBBニブはウェストがやや締まった美しい形状をしている。気のせいかも知れないが・・・

2008-01-24 09 こちらが段差を修正した状態。拙者は全て分解して微調整しないと気が済まないのでこうやってしまうが、爪で押すだけで直る確率が6割以上ある。

 爪でダメな場合は、ソケットからペン芯とペン先をタタキ出して微調整することになるが、この作業を繰り返すと、ソケットが緩くなって、書き出しで筆圧を書けただけでズレが発生するようになってしまうので、あまり神経質に抜き差しを繰り返さない方がよい。

2008-01-24 102008-01-24 11 こちらがちゃんとセットした状態の画像。スリットも開き、ズレも無くなった。

 書いてみると、なんとも下品な書き味。スイートスポットが無いからじゃ。初めての人ならBってこんなものか・・・と我慢して使うだろうが、スイートスポットを作った太字に一度嵌ると、この書き味では満足できない。

 ただし、今回は、スイートスポット無しでしばらく使ってみようと考えている。多少ワクワクしている。手になじむプロセスがあるのかな?という期待じゃ。

 最後に注意事項! M600系はペン先ユニットをつまんで左に回して外し、内部を清掃して右にねじ込んでソケットを固定する作業を終えた段階で、ペン先がペン芯とズレますぞ。この作業自体を止めた方がよい。【pf】付ニブ時代のM800では考えられない事じゃが、最近のモデルではM1000を除いてズレる事が多い。もともとメーカーは推奨しているわけではないので、止めておいた方がよい。このSAHARAでも100%ズレた。最後の爪での微調整が日課になっている。



【過去の関連記事】

月曜日の調整報告 【 Pelikan ナイアガラ 18C-B 交換後 】 



Posted by pelikan_1931 at 08:30│Comments(18) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
初心者しゃん

やはり多少の段差であったか。良かった!
それにしても、その程度で16,000円の修理を請求するのは酷いな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月29日 06:28
ご指南のとうりにやってみました。前よりも良くなったくらい調子が良いです。
ほんの少しの調整で万年筆はこれほど変わるものかと感慨にふけてしまったくらいです。ありがとうございました。 ブログもがんばってください!!
楽しみにしております。
Posted by 初心者 at 2008年01月28日 23:59
初心者しゃん

一番簡単なようで奥が深い調整じゃな。右側を下から爪で押し上げて左右のペンポイントの位置を揃えてはいかがかな・・・

実物を見ないと想像するしかないので、的外れかも知れないが・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月28日 17:06
早速の返答ありがとうございます。私のはモンブランマイスター149です。左から右に直線を書いたりするのは問題ないですが、右上から左下になった場合は引っかかりとかすれるような音もでます。このような場合も調整の記事と同じような手法でよろしいでしょうか?
Posted by 初心者 at 2008年01月27日 22:02
初心者です しゃん

サービスセンターは修理するわけではない。交換するだけのはずじゃ。
もし数時間かけて修理したら、べらぼうな金額になる。

新しいのを購入して、曲がったのは生贄としてWAGNERに持ち込まれたし!

拙者のBlogを熟読すれば、自分でも直せるはずじゃよ。
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月27日 19:27
Bromfieldしゃん

魔女恐るるに足らず!  といきたいものですな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月27日 19:23
ここのページでは該当しないかもしれませんが、先日私の万年筆を不覚にも落としてしまい今の状態はとても書けたものではありません。一度サービスセンターに持っていったところ16000円もするとのこと、インク漏れもなくペン先の調整以外は良さそうなのですが調整は素人判断でやらないほうが良いのでしょうか?御教授お願いします。
Posted by 初心者です at 2008年01月27日 15:33
pelikan_1931さま

>> カミさんが本物の魔女だったら

> そ、そんな恐ろしいことを! 魔法で子豚にされてしまいます・・・

魔法を使えない偽物の魔女も、相当なものでして...。
Posted by Bromfield at 2008年01月27日 14:54
shamal しゃん

使うペンによって持つ位置を変えるようになれば、りっぱな万年筆パラノイアです・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月27日 03:19
サハラ、ナイアガラのバランスの良さはペリカン現行品の中では
トップクラスですね。
もしかしたらあのメタボ軸は単なるデザインと言うよりも、
持ったときの重心を考えて作られたものではないかと想像しています。

M800、トレド共にねじ山あたりを持つとバランスがよいので、
私もいつの間にかその位置を持つようにペンに慣らされてました・・・
Posted by shamal at 2008年01月27日 01:49
Bromfieldしゃん

> カミさんが本物の魔女だったら

そ、そんな恐ろしいことを! 魔法で子豚にされてしまいます・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月27日 00:48
shamal しゃん

ナイアガラもサハラもバランスはトレドと同じ。人差し指と親指の輪の中に重心がある感じ。

実に良いんですが・・・持ちにくい。結局はネジの当たりに指をかけるのが一番良いようですな。

もうすこしソケットを長くして欲しい!
せめてPelikan 100や100Nの時代に戻して欲しい!
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月27日 00:46
pelikan_1931さま

御返答有り難うございました。

「魔法」ですか。念力ではダメなのでしょうね。念力はただ金属を曲げるだけですから。カミさんが本物の魔女だったら良かったのですが......。
Posted by Bromfield at 2008年01月25日 14:06
サハラ、写真では今一と思っていたのですが、実物を見たら良いですね。
ケースも良いですし。
メタボでなければ・・・
エウロパにしろ、最近は「実物の方がよい!」というのがはやり
なのでしょうか。

最近のモデルでペン先、ペン芯がずれやすいのは本当に困ったものです。
M900のペン先をほんの少し前に出したら、グラグラになってしまいました。
幸いソケットを別のと交換したらそれなりにしっかり固定されたので
良かったですが。
Posted by shamal at 2008年01月25日 10:28
Bromfieldしゃん

そのBBに多少魔法をかけると別物に生まれ変わるはず。ぜひ体験されたし。
外すときよりも、締めるときに力を入れるのがまずい。

最後にクイとペン先の溝が上から見てペン芯の中央より右にずれるのじゃ。
締めるときはユルユルの方が安心。出来れば触らない方がよい。
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月25日 08:20
しまみゅーらしゃん

BBはそう簡単にはみつかりませんぞ・・・昔はM300の黒軸はBB付きが一番売れたと言われたくらいですから・・・

今回M320の緑軸をBBニブ付きで売ったのは書斎館だけだったのでは?
Posted by pelikan_1931 at 2008年01月25日 08:18
私、サハラにM650のBBを装着して、日々使用しております。私には非常によい書き味となっております。

ところで、元々付いていたMニブをはずして、BBを装着したのですが、このような単純な作業でもペン先とペン芯がずれてしまうのでしょうか。Mニブをはずすときに、従来以上にしっかりと締め付けられていたので、力を入れてはずしたので心配です(今はM605に取り付けております)。ルーペで確認してみます。
Posted by Bromfield at 2008年01月24日 13:01
> 既に何度も提案しているが、Pelikanは日本でのペン先の検品を強化した方が良い。

 同感です。以前にも書きましたが、私が購入したM320グリーン(B)もペン先とペン芯の間ががら空きであり、すぐに販売店に持ち込みました。

 店主が調整を試みたようですが、ちょっと治しきれないからニブを付け替えてくれるというので、「それならBBにして!」とわがままを言ってしまいました。以前ここでM300系のニブをBBにするのは費用がかかる、と読んだ気がしますが、労せずして手にすることができそうです。

 …と思ったのですが、BBはどこにも在庫がないらしく(店主によると昔はごろごろ転がっていた、とのことですが)、もう3ヶ月が経とうとしています。頑張れ、店長!
Posted by しまみゅーら at 2008年01月24日 09:17