2008年02月07日

解説【萬年筆と科學】 その67 西洋文化の渡来

2008-02-05 01西洋文化の渡来について語った その67

 この章は直接万年筆について述べたものではないが、拙者が一番弱い日本史について書かれており、そこが興味深かったので引用してみよう。

 西欧人が日本に来航し始めたのは足利の末期からで、ポルトガル人が【種子島】を伝えたのが1543年のこと。

 それを振り出しにキリスト教の宣教師が続々と渡来し、日本人で信仰する者が多くなった。そこで秀吉1587年に禁止令を発したらしい。

 それほどキリスト教徒の増加を驚異に感じていたのじゃな・・・

 その後、家康秀吉の政策を踏襲し、二代将軍秀忠の時、この政策をいっそう徹底させる目的で、ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスの四ケ国を限り、長崎と平戸の二港への来港通商を許し、宣教方面はいっそう厳重に取り締まることにしたのじゃ。

 それでもなかなか信者は絶えず、三代将軍家光の時には島原の乱があったほど・・・

 宣教は主としてポルトガル人が熱心であった関係上、ポルトガル語で日本語化したものが上の表の様にたくさんある。かすてらびいどろというのは有名だが、合羽(かっぱ)や襦袢(じゅばん)や羅紗(らしゃ)までが外来語とは知らなかった!

2008-02-05 02 
 ポルトガル人は布教を熱心にやり過ぎたために幕府からはうとまれたが、オランダは日本の要求を忠実に守り、宣教に力を入れなかったので信用が厚く、徳川の末期まで大したトラブルも起こさず交易を続けたらしい。

 徳川中期以降、蘭学熱が勃興し、これが日本文化に大きな影響を与えることになった。

 オランダ語から派生した日本語が左表じゃ。拙者が長い間疑問に思っていた【半ドン】が出ていてビックリ。

 どんたく(日曜日)がオランダ語の【zontag】で、その半分(午後休み)だから半ドンとしたらしい。オランダ語と日本語の合成語だったとは!

 ということは、【博多どんたく】のどんたくもお休みを意味するのかな?

 ともあれ蘭学がさかんになれば、ペンが欲しい、インクが欲しい!ということに自然となるわけで、それがなかなか手に入らないので、代用品を作ることになった。

 福沢諭吉は鰹を釣る擬装用の鳥の羽を買ってきて、羽ペンを自作し使ったりしたとか・・・

 このあとに明治政府が出した、公文書における【インキ使用禁止令】が紹介されている。その一説に、【明治初年ごろには既に英国製のステファンス・インキアーノルド・インキが売られており、また仏蘭西製のアントアン・インキも既に市場に出ていたといわれております。それに引き続いて米国製スタフォード・インキサンフォード・インキが渡来し、さらに独逸製ワグネル・インキその他が売られるようになりました】

 この【ワグネル・インク】とはおそらくペリカン製のインクであろう。この当時ペリカンはまだ万年筆の開発に成功してはいない。れっきとしたインクや画材の会社だったから、まず間違いはあるまい。

 WAGNERの日本読みはヴァーグナーでもワーグナーでもなくワグネルだったんじゃな。

 萬年筆研究会ワグネル ・・・ なんとなく怪しくて耳に心地良い響きじゃな・・・


過去の【萬年筆と科學】に関する解説

解説【萬年筆と科學】 その58    
解説【萬年筆と科學】 その56 
解説【萬年筆と科學】 その54−3 
解説【萬年筆と科學】 その54−2 
解説【萬年筆と科學】 その54−1 
解説【萬年筆と科學】 その48 
解説【萬年筆と科學】 その47  
解説【萬年筆と科學】 その45 
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解説【萬年筆と科學】 その2
解説【萬年筆と科學】 その1  



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 
この記事へのコメント
mochiduki しゃん

昔は、ポーランド系ドイツ人というような呼び方をしましたから、おそらくはそのたぐいでしょうな。

きくぞうしゃんのいうように、WAGNERは良くある名字かも知れません・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月09日 11:18
いま流行りのMyMiniCity(クリックによるシムシティのようなもの)にもWagner Cityというのがありました。しかしドイツではなくポーランドでした。この街をつくった人は、ポーランドのドイツ人なのか、現在のポーランドは昔ドイツの領土だったからとか、あるいはただのワーグナーファンなのか、謎です。
Posted by mochiduki at 2008年02月09日 04:00
きくぞうしゃん

ワグネルポットという響きも良いですな。

ワグネルインクポット・・・作ろうかな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月08日 23:46
ワグネルと言えば、農学出身者にはワグネルポット(陶製植木鉢)がすぐに思い浮かびます。
何か関係があるのかと調べたのですが、こちらはドイツ人の農化学者パウル・ワーグナーが提唱した実験方法でした。

どうやら、ドイツ人にWagnerという名前は多いようです。日本で言うところの鈴木・山田に相当するのでしょうか。
Posted by きくぞう at 2008年02月08日 20:50
とんこつしゃん

大政奉還は1867年なので、まだWaterman型の萬年筆は発売されていない。

従って萬年筆伝来は明治時代後半。従って横浜ではないかなぁ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月08日 05:18
298しゃん

あるほど! 音楽家のワグナーも日本では当初ワグネルと呼んだんでしょうね。やはりワグネルがいいなあ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月08日 05:14
ボタン、コーヒー、襦袢は意外でした。
金巾って初めて聞きました。
辞書で調べましたが、それでも???

万年筆は、長崎にまず上陸したんでしょうか?
であれば、
マツヤさんは出島からすぐなので、
なんとなくロマンを感じます。

確かにワグネルという響きはいいですね。
Posted by とんこつ at 2008年02月07日 20:38
博多どんたくは、連休に行うからですかね〜?? 定かではありません。 それからワグネルとの読み方をしているのは、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラというのがあるようです。 オケ発足は遅いようですが、ワグネル・ソサィエティーのは100年以上前にできたようですので当時ワグネルと読んでたんでしょうね。
Posted by 298 at 2008年02月07日 08:23