2008年02月18日

月曜日の調整報告 【 プラチナ Sterling Silver 地獄からの復活 】

2008-02-18 01 今回の依頼品はプラチナの純銀軸プラチナ・プラチナの細軸と同じ形状だが、首軸にプラチナニブを示す象眼がはいっていないものじゃ。

 プラチナ・プラチナプラチナ合金ニブは現行品も含めて全て使ってみたが、素材が硬くて弾力は一切無い!従って太字に関してはおもしろみがない。細字であればインクフローで楽しむ余地はある。

2008-02-18 02 今回の依頼品はホワイトゴールド製なので、プラチナよりは柔らかい。

 プラチナ白金と書くと、ホワイトゴールドと混乱する人がいる。白金プラチナであって、ホワイトゴールドとは関係がない。ホワイトゴールドは金に混ぜ物をして銀色の輝きを出した物。

 一般に胴の比率が多いと赤っぽくなり、銀の比率が多いと白っぽくなるらしい。

 くれぐれも白金(プラチナ)とホワイトゴールド(金に混ぜ物をした物)を間違えないようにな!

2008-02-18 03 症状は依頼者自身がペンポイントを耐水ペーパーで削って収拾つかなくなったもの。

 耐水ペーパーは原則として、手に持ってスリスリとペンポイントを撫でるように研ぐものじゃ。下に敷いて、その上でゴシゴシ削るものではない。【例外はスイートスポットを作るとき】

 今回はガリガリとひっかかるポイントをまるめようとしたのだろうが、この状態では、さらに引っ掛かりが大きくなっていたはずじゃ。いわゆる瀕死の状態

 丸く研ぎ出せるだけのペンポイントは残っていない・・・残ったペンポイントであり合わせの書き味を捻出するしかない。そもそも細字を研ごうとしたのが間違い。細字は研ぎではなく、段差調整スリット調整で書き味を出すものじゃ。

2008-02-18 04 拡大してみると、見事・・・

  拙者も調整というか、削りを始めたころ、よくこんな物を作っては捨てていた。なつかしい!

 これを直すには、まずスリットを拡げてインクフローを改善する。しかるのちに、紙に引っ掛からないように最低限の丸みを付ける程度に研磨するのじゃ。

 丸めるのではなく、引っ掛からないようにエッジを落とすだけ。丸めを意識すると、接紙面積が減って、さらに書き味が悪くなるので要注意!

 書き味は接紙面積インクフローの関数として説明できるのが細字の世界なのじゃ。

2008-02-18 06 インクフローを改善するには、ペン先をペン芯から外す必要がある。

 このモデルのようにペン芯を挟み込むようにペン先がセットされているものは、外れるかどうか、最初はドキドキする。失敗すると万事休すじゃ!

 そっとペン先を前から引っ張ったら、ペン先はあっけないほど簡単にペン芯から抜けた。これなら後の作業は簡単じゃ。

2008-02-18 07 まずは左のように、スリットを拡げる。これには安い隙間ゲージを用いる。細字なら0.1伉度で十分だと思う。拙者名0.15ミリの使用頻度が高いようだが・・・

  このペン先の作り方は、一発型押しで形状を作ってから、切り割りを入れるのだと想像
している。先に切り割りを入れてから曲げたら、必ずペンポイントが背開きになるはずだから・・・

2008-02-18 08 こちらが首軸にセットしたペン先。ペン芯にセットして首軸に挿入すると、スリットじゃ若干狭まる。それを計算に入れて、最初のスリットを若干広くしておくのがコツ。2〜3回繰り返せば大体見当はついてくる。

 セットが終わったらいよいよ形成、いわゆる削りじゃ。


2008-02-18 09 残ったペンポイントを丸めつつ、接紙面積を維持しつつ・・・削る。多くの矛盾するパラメーターを整理しながら落としどころを見つけていく作業は嫌いではない。

 やや明るめの画像にしたので、どれほどペンポイントが残っているかわかろう。まさに瀕死の状態じゃ。しかしこれでも依頼者の筆圧と、持っている万年筆の本数から考えれば、半永久的に使える。もしこれ一本!という使われ方をすれば、3年ほどでペンポイントは消滅するであろう。

 なんとか生きながらえて欲しいものじゃ。


【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.0h 調整2.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 


【これまでの調整記事】

2008-02-16 Montblanc N0.142 14C-O はたして直るか?  
2008-02-13 Pelilam M250 バーガンディー 切り割りからドクドク  
2008-02-11 Montblanc No.149 14C-M 掠れる・・・実は大変 
2008-02-09 Pelikan M320 オレンジ 14C-M 呼吸困難 
2008-02-06 Montblanc No.144G 14C-M ペンポイント凸凹
2008-02-04 Pelikan 140 14C-M ペン先交換 → BB 
2008-02-02 Montblanc No.149 合体して開高健 
2008-01-30 Sheaffer 1000 黒縞 吸入機構完全取替 
2008-01-28 Montblanc 50年代 No.144 14C-F どん底
2008-01-26 Pelikan M320 緑 14C-M 背開き 
2008-01-23 Montblanc No.242 なんとか一人前に・・・ 
2008-01-21 Montblanc モーツァルト生誕250周年 時々切れる・・・
2008-01-19 Montblanc No.146 14K-BB 不思議とひっかかる 
2008-01-16 Montblanc チャールズ・ディケンズ 18K-M の呼吸困難
2008-01-14 Montblanc No.342緑 14C-B改造がひっかかる 
2008-01-12 Sheaffer Crest 14K-F 赤インクが接着剤    
2008-01-09 Omas Gentleman 14K-F キャップが・・・
2008-01-07 Shesffer Snorke 14K-F 吸入機構動かず 
2008-01-05 Montblanc No.149 14C-B 書き味に品がない! 
2008-01-02 丸善 ATHENA 萬年筆 14K-F 復活!
2007-12-31 Montblanc No.1464 18K-M ペン先から落下!

2007-12-29 Montblanc No.342 14C-M ペン芯を太らせる 
2007-12-26 Pelikan 500NN 暗緑縞 14C-EF ペン先グラグラ!
2007-12-24 Montblanc Monte Rosa 14C-M ペン芯めくれ!   
2007-12-22 Montblanc '50年代 No.144G 14K-M ボロボロ 
2007-12-19   Montblanc No.146 14K-F 細字スタブに・・・ 
2007-12-15   Nagasawa 125周年記念 14K-MF カリカリ直して!  
2007-12-12   Montblanc '80年代 No.146 14K-F ペン先ズレ
2007-12-10   Sheaffer Imperial Silver 14K-F ペン先曲がり
2007-12-05   Montblanc '70年代 No.149 14C-M がさつな書き味
2007-12-03   Montblanc L139G 14C-KM 健康診断
2007-12-01   Montblanc '50年代 No.146 14C-M 死地からの復帰
2007-11-28   Montblanc No.142 14C-F 相対評価の果てに・・・
2007-11-26   Montblanc No.147 14K-OM 羊の皮をかぶった山羊
2007-11-24   WAGNER 2007 18C-B 王子からの依頼
2007-11-21   Montblanc No.254 14C-EF ペン先曲がりと・・・
2007-11-19   Parker 75 14K-63 女王様の憂鬱
2007-11-17   Montblanc No.146 14C-OBB 筆記角度30度の世界
2007-11-14   Aurora エウロパ 18K-F 持久力向上 
2007-11-12   Montblanc No.342 G 14C-KF インクが出ない! 
2007-11-10   Pelikan 400NN 緑縞 14C-OM カモノハシ化 
2007-11-07   Stipula ピノキオ 赤軸 18K-M インク切れ解消
2007-11-05   Montblanc No.146 18C-F 書き味品位向上
2007-10-31   Waterman セレニテ 18C-M ペン先曲がり
   
2007-10-29   Pelikan 400NN 緑縞 14C-M ピストン/フロー改善
2007-10-24   Stipula ピノキオ 青軸 14K-M 字幅改善
2007-10-22   Montblanc No.252 14C-F フロー改善
2007-10-20   Montblanc 50年代 No.146 14C-KF ヌラヌラ化
2007-10-17   Osmia 64 → Matador Click ペン先移植
2007-10-15   Matador 996 ピストン修理に松脂利用実験
2007-10-13   Montblanc No.34 14C-M グレー軸   
2007-10-10   Pelikan 140 赤軸 & Gel Medium 
2007-10-08   Montblanc モンテローザ ピストン交換 
2007-10-06   Parker バキューマティック ペン先曲がり 
2007-10-03   Montblanc No.1466 14K-M いぶし銀
2007-10-01   Parker 75 赤ラッカー軸 14C-XF→F 交換 


Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(12) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
ありがとうございました!
Posted by たむさん at 2008年02月20日 12:58
たむさん しゃん

Pelikan のペン先ユニットはノックアウトブロック無しで分解するものではない。

道具無しで分解出来たとしても再組み立てにはいろいろなチェックポイントがある。

右側こそ丸い必要があるので、どこかのペンクリでお願いするのが最良の手段じゃな。
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月20日 06:23
それからですね、ペンはソケットになってるんですが、そいつはどうやってペン芯とペン先にわければよいのでしょうか。
Posted by たむさん at 2008年02月19日 22:08
初めまして。突然すみません。
僕の使っているペリカンの、トラディショナルM250、二年前からしようしています。
受験勉強に使っているのですが、長く使っているうちに気付いたことがありまして。
イリジウムが、左右対称じゃないのです。
ペン先を真っ正面から見た時の、左側は丸いのですが、右側は角があるというのでしょうか、丸くなっていません。
家でそれが手入れできるならアドバイスをください。
すみません。
Posted by たむさん at 2008年02月19日 21:43
pelikan_1931さま

ありがとうございました!
Posted by カミオソウイチロウ at 2008年02月19日 09:22
カミオソウイチロウしゃん

スキマゲージはいろいろついているのが良い。

ペン芯のスリットをさらうのと、ペン先をひろげるのとでは使うゲージの厚さがちがうからな。
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月19日 08:25
monolith6 しゃん

その節が真実とすれば、おそらくはプラチナ鍍金と思われますな。どこぞに無いものかな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月19日 08:24
しまみゅーらしゃん

清掃してあげれば寿命がのびます。存分に清掃されよ。
Posted by pelikan_1931 at 2008年02月19日 08:23
やっぱりこれも先からペン先を外すのですね!
オネストでもそうだったので、爪形ニブならみな同じかと思いましたが・・・勉強になります!
Posted by 二右衛門半 at 2008年02月18日 19:30
こんにちは。
隙間ゲージについて教えてください。
近所のホームセンターで0.03mm〜1.00mmまでがカラーチャートのようにセットになっているものは見つけたのですが、一枚ずつ単体の方がいいような気がしております。
その場合、何mmのものを購入しておけばよろしいのでしょうか?
Posted by カミオソウイチロウ at 2008年02月18日 17:25
 ホワイト・ゴールドは、てっきり金属の色そのものが銀色をしているのかと思いきや、何と金属は白っぽい金色で、表面をメッキしているだけだと聞いたことがあります。どれかのWGニブを削ってその真偽を確かめたいのですが、恐ろしくてできません。
Posted by monolith6 at 2008年02月18日 12:46
これ系のペン先のものを何本か持っているので、大変参考になりました。分解清掃するときのいいお手本になりそうです。
Posted by しまみゅーら at 2008年02月18日 10:48