

いずれにせよスリットはピッタリと詰まっているので、満足なインクフローは期待出来ない・・・

しかも力のかけ方が均一にならず、左右の曲がり方に差が出てしまった・・・

コレでは書き出しで、ペンを右に大きく傾ける人でないとインクが紙につかない!それにしてもこのような大きな段差は珍しい。

ペン芯の上で、左右がアンバランスにずれているわけではない。片方がお辞儀しすぎているのが原因。こりゃ、相当強く曲げてあるなぁ・・・

やはり意識して力ずくで曲げたのであろうな・・・


回転吸入式の萬年筆では、ペンポイントが摩耗する前に、ピストン弁が摩耗する・・・。特に常用するインクと相性が悪い樹脂の場合は劣化が激しい。また粒子の粗いインクの場合も弁の劣化は・・・
今回は弁の表面を滑らかにすることによって、症状を改善することにした。それだけでも、かなりの延命にはなる。


相当惨く曲がっていたが、とりあえずはここまで復帰できた。これで筆記には支障ないはず。
今回の患者は、回転吸入式で最も重要な弁に難点があった。あとどれくらい使えるかは弁の寿命にかかっている・・・せつない話じゃ。
なんとか各種の弁が自作出来れば、回転吸入式萬年筆の寿命は飛躍的に延びるであろう。現代の萬年筆の利用頻度から考えれば、素人調整で失敗しない限り、ペンポイントが摩耗するより、弁が摩耗するほうがはるかに速いからな・・・
【 今回執筆時間:8.0時間 】 画像準備2.0h 調整4.5h 執筆1.5h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間