2008年03月08日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.256 18C-EF 仏蘭西 珍品! 】

2008-03-08 01 今回の依頼品は珍しい!拙者は存在そのものを知らなかった!1950年代 No.25618金ペン先付き!おそらくは仏蘭西向けの輸出品だと思う。

 独逸と仏蘭西は、そもそもあまり仲の良い国同士ではないはずだが、こと萬年筆に関しては蜜月のようじゃな。

2008-03-08 02 No.256のペン先は、独特の弾力があり、特にEFの書き味は最高!インクが【○○○○○○】と出てくる。【○○○○○○】については趣味の文具箱 vol.10をごらんくだされ。

 この画像を見ると、ペン先とペン芯を固定するソケットが首軸から出ている。これは締めなおさねば筆記時にインクが漏れる可能性がある。また異様にスリットが詰まっている。これではインクフローが不足し、とても【○○○○○○】という書き味にはならない。

2008-03-08 03 こちらが横顔!多少お辞儀が強い。もう少しお辞儀の角度を緩めないと、スリとの詰まりはなおらない。

 また新しい角度にフィットするように、ペン芯のお辞儀角度も修正する必要がある。

 横から見るとソケットが首軸からはみ出しているのがよくわかる。ペン芯自体も、もう少しソケットに押し込んだ方が全体のシルエットはさらに美しいはずじゃ。

2008-03-08 04 ペンポイントはまったく研がれていないし、摩耗もない。インクフローが悪い萬年筆で書くと、どうしても筆圧が高くなり、ペン先の摩耗も速いはず。

 にもかかわらず全く摩耗の痕が見られないと言うことは、ほとんど使われていないものということになる。これは貴重じゃな。

2008-03-08 05 ペん先の首軸内部に隠れた部分には、【256】というモデル番号の刻印とともに、ホールマークのような刻印もあるが拡大してみると、どうやらMontblancのスノーマークの刻印らしい。ペン先にMontblancという刻印があるのに、ペン先の根本にまでブランドロゴを入れるとは! これが仏蘭西で求められていたのかな?

2008-03-08 06 本当のホールマークはペン先の左横(上から見て)に入っている。これはいままで気付かなかったが、仏蘭西向け製品で、18金以上のものには必ず入っているのかな? それとも、この時代だけ?それとも、Montblancだけ? それとも、このモデルだけ?

 刻印一つでも、数多くの疑問や研究テーマを投げかけてくれる。これが萬年筆研究会の醍醐味じゃな。

2008-03-08 07 No.256フラットフィードは世界一美しいペン芯かもしれない。無駄な装飾がないので非常にすっきりとした形状!にもかかわらず機能的にも優れている。

 後期の厚いペン芯は機能的には良いが、形状がやぼったい。拙者ならコレクションには上期、実用には下期のフィーダーを利用するであろう。ただし、EFやF、Mなどのペン先では両者の性能差は書き味に表れてこない。

2008-03-08 08 こちらがオーバーホールの為に、清掃を終えた胴軸、ピストン機構にキャップじゃ。ゴム板さえあれば、ピストン機構が外れるのは非常に便利!ペリカンと違い、ピストン機構は左に捻って外す。幅が狭いのでなかなかうまくいかない場合は、尻軸から4僂曚匹泙任鯒いお湯に2分ほど入れてから回せば外れる。

2008-03-08 092008-03-08 10 こちらがスリットを多少拡げた状態。こうなってはじめて、【○○○○○○】という書き味を堪能出来るのじゃ!

 お辞儀が強く、寄りが強いペン先のスリットを開けるのは容易ではない。お辞儀を起こし、スキマゲージで左右に拡げ、背開きにならないように調整・・・というのを繰り返す。地味で根気の必要な作業。

2008-03-08 112008-03-08 12 こちらが研ぎ上がったペンポイント。研いだかどうかは、ほとんど認識できまい。

 小さなスイートスポットを作っただけじゃ。筆記角度がブレない人にはスイートスポットは、一個で十分!

 試筆してみると・・・まさに【○○○○○○】の書き味じゃ!


【 今回執筆時間:7.0時間 】 画像準備2.h 調整3.0h 執筆2.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間


    


【これまでの調整記事】

2008-03-05 Montblanc No.149 75周年記念 18K-EF 
2008-03-03 Montblanc No.342 14C-F 満身創痍 
2008-03-01 Pelikan 140 緑縞 14C-M ペン芯調整:苦闘3時間 
2008-02-27 Montblanc No.142 14C-M 壮絶なる死闘
2008-02-25 Pelikan 1931 ホワイトゴールド スイートスポット 2点 
2008-02-23 '80年代後半 Montblanc 14K-M 再鍍金    
2008-02-20 Pelikan 100N 14C-KF あやしいペンポイント 
2008-02-18 プラチナ Sterling Silver 地獄からの復活 
2008-02-16 Montblanc N0.142 14C-O はたして直るか?  
2008-02-13 Pelilam M250 バーガンディー 切り割りからドクドク  
2008-02-11 Montblanc No.149 14C-M 掠れる・・・実は大変 
2008-02-09 Pelikan M320 オレンジ 14C-M 呼吸困難 
2008-02-06 Montblanc No.144G 14C-M ペンポイント凸凹
2008-02-04 Pelikan 140 14C-M ペン先交換 → BB 
2008-02-02 Montblanc No.149 合体して開高健 
2008-01-30 Sheaffer 1000 黒縞 吸入機構完全取替 
2008-01-28 Montblanc 50年代 No.144 14C-F どん底
2008-01-26 Pelikan M320 緑 14C-M 背開き 
2008-01-23 Montblanc No.242 なんとか一人前に・・・ 
2008-01-21 Montblanc モーツァルト生誕250周年 時々切れる・・・
2008-01-19 Montblanc No.146 14K-BB 不思議とひっかかる 
2008-01-16 Montblanc チャールズ・ディケンズ 18K-M の呼吸困難
2008-01-14 Montblanc No.342緑 14C-B改造がひっかかる 
2008-01-12 Sheaffer Crest 14K-F 赤インクが接着剤    
2008-01-09 Omas Gentleman 14K-F キャップが・・・
2008-01-07 Shesffer Snorke 14K-F 吸入機構動かず 
2008-01-05 Montblanc No.149 14C-B 書き味に品がない! 
2008-01-02 丸善 ATHENA 萬年筆 14K-F 復活!
2007-12-31 Montblanc No.1464 18K-M ペン先から落下!

2007-12-29 Montblanc No.342 14C-M ペン芯を太らせる 
2007-12-26 Pelikan 500NN 暗緑縞 14C-EF ペン先グラグラ!
2007-12-24 Montblanc Monte Rosa 14C-M ペン芯めくれ!   
2007-12-22 Montblanc '50年代 No.144G 14K-M ボロボロ 
2007-12-19   Montblanc No.146 14K-F 細字スタブに・・・ 
2007-12-15   Nagasawa 125周年記念 14K-MF カリカリ直して!  
2007-12-12   Montblanc '80年代 No.146 14K-F ペン先ズレ
2007-12-10   Sheaffer Imperial Silver 14K-F ペン先曲がり
2007-12-05   Montblanc '70年代 No.149 14C-M がさつな書き味
2007-12-03   Montblanc L139G 14C-KM 健康診断
2007-12-01   Montblanc '50年代 No.146 14C-M 死地からの復帰
2007-11-28   Montblanc No.142 14C-F 相対評価の果てに・・・
2007-11-26   Montblanc No.147 14K-OM 羊の皮をかぶった山羊
2007-11-24   WAGNER 2007 18C-B 王子からの依頼
2007-11-21   Montblanc No.254 14C-EF ペン先曲がりと・・・
2007-11-19   Parker 75 14K-63 女王様の憂鬱
2007-11-17   Montblanc No.146 14C-OBB 筆記角度30度の世界
2007-11-14   Aurora エウロパ 18K-F 持久力向上 
2007-11-12   Montblanc No.342 G 14C-KF インクが出ない! 
2007-11-10   Pelikan 400NN 緑縞 14C-OM カモノハシ化 
2007-11-07   Stipula ピノキオ 赤軸 18K-M インク切れ解消
2007-11-05   Montblanc No.146 18C-F 書き味品位向上
2007-10-31   Waterman セレニテ 18C-M ペン先曲がり
   
2007-10-29   Pelikan 400NN 緑縞 14C-M ピストン/フロー改善
2007-10-24   Stipula ピノキオ 青軸 14K-M 字幅改善
2007-10-22   Montblanc No.252 14C-F フロー改善
2007-10-20   Montblanc 50年代 No.146 14C-KF ヌラヌラ化
2007-10-17   Osmia 64 → Matador Click ペン先移植
2007-10-15   Matador 996 ピストン修理に松脂利用実験
2007-10-13   Montblanc No.34 14C-M グレー軸   
2007-10-10   Pelikan 140 赤軸 & Gel Medium 
2007-10-08   Montblanc モンテローザ ピストン交換 
2007-10-06   Parker バキューマティック ペン先曲がり 
2007-10-03   Montblanc No.1466 14K-M いぶし銀
2007-10-01   Parker 75 赤ラッカー軸 14C-XF→F 交換 


Posted by pelikan_1931 at 11:22│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
monolith6しゃん

やはりホールマークでしたか! しかも上下逆に刻印しているとは・・

やはり仏蘭西向け輸出品だったのでしょう。
Posted by pelikan_1931 at 2008年03月11日 21:54
 6枚目の画像にあるのは、フランス政府の極印の一つです。上下がひっくりかえっていますが、楕円に囲まれたゾウムシの刻印で、これは金製品であることを表します。フランスに持ち込まれる最近の金製品には、このような極印が見られないように思いますが、昔は律儀に打ち込んでいたのか、現在では外国の金製品であることをわざわざ表示することに意味がなくなったのか、経緯は不明です。
Posted by monolith6 at 2008年03月11日 18:03