2008年03月15日

土曜日の調整報告 【 Pilot New エラボー 14K-SF スイートスポット形成 】

2008-03-15 01 今回の依頼品はPilot new エラボーSoft Fine。ニブは(現行品としては)世界一変わった形状をしていると言えよう。米国では【Falcon】という商品名。【】が獲物を探して飛行しているときの頭のかたちに似ているのかな?

 拙者は【Falcon】がこの萬年筆にもっとも似合う名前だと考えている。隼でもエラボーでもなく【Falcon】が良い! (以下【Falcon】と呼ぶ)

2008-03-15 022008-03-15 03 要望は【スイートスポットが欲しい】ということ。細字でもスイートスポットを作れないことはないが、それほど効果は大きくない。むしろインクフローを上げることによる効果が大きい。

 来週火曜日からは【世界の万年筆まつり】。今年で10回目を迎えることになる。その第一回目には、万年筆くらぶ【フェンテ】も請われてブースを出し会員が交代で参加した。拙者も一日休暇を取ってペンクリをやっていた。

 基本的には【フェンテ】会員用ペンクリだったので、週末以外は来客も少なく、十分【万年筆まつり】を堪能できた。食事時には、三越デパート内にある社員食堂でランチを食べるという貴重な経験もした。

 そのペンクリに午後一番で2人の男が二人三脚のようにしてやってきた。

 【書き味の悪い万年筆があるのだが、調整してくれんかね・・・

 顔をを上げると、森山さん川口さんが、にこにこしながら座っている。もちろんフルハルター森山さんセーラー川口さん

 その時に川口さんから差し出されたProfit 80の細字の書き味が拙者の目標じゃ。万年筆の軸と、ペン先の素材と、ペンポイントの調整が見事に調和した書き味だった。あの時のペン先はProfit 80についていた18金製ではなく、14金-EFだったと記憶している。

2008-03-15 042008-03-15 05 その時のEFの書き味を目標にしているのだが、まだまだ果たせていない。

 なんせ、WAGNERのペンクリには【つゆだく極太】好きが多く、細字はめったに持ち込まれない。従って訓練する機会が少ないのじゃ!自分でも細字は一本も持ってないし・・・

 今回は千載一遇のチャンス! まったくペンポイントが摩耗していない上に、スリットはガチガチに詰まっている。また、ペン先がごくわずかにペン芯と離れている。これでは潤沢なインクフローは期待できず、Falconの柔らかさも堪能できないであろう。

2008-03-15 062008-03-15 07    左側が当初の状態、右側がスリットを多少開いた状態。

 それにしてもおもしろいかたちじゃ。ペン先の形からNamingしたら【烏賊太郎】または【KKK
になっていたかもしれない・・・

2008-03-15 08 これがスキマゲージでスリットを拡げた直後の画像。0.2のゲージだとこうなる。

 このあとで、ラッピングフィルムでスリットを、金磨き布で表面を研磨して凸凹を無くするのじゃ。こういう作業は
自己満足以外の何物でもない。インクフローへの影響など無いが【神は細部に宿る】というのが拙者の一番好きな言葉。手抜きは出来ん!

2008-03-15 09 こちらが完成図。筆記角度に合わせて斜面を研磨し、書き出しでのインクフローを絶妙にしておいた。

 もちろん、ニブとペン芯との隙間も解消した。これでFalcon】という名に負けないりりしい書き味の万年筆になったはずじゃ。

 いままでS-Bしか使ったことが無かったが、S-Fも良いなぁ・・・万年筆まつりで衝動買いするかもしれない・・・

2008-03-15 10 これは依頼者がやっていた工夫。【棚吊大魔王】と呼ばれて利用者の顰蹙をかっている【コンバアター50】であるが、中にプラチナのカートリッジについているステンレス玉を入れてある。これで【棚吊大魔王】現象が解消されるのであれば国民栄誉賞ものかも?手元にプラチナのカートリッジが一本でもあれば確かめられるのに・・・


【 今回執筆時間:4.0時間 】 画像準備1.5h 調整1.5h 執筆1.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間
  
    


【これまでの調整記事】

2008-03-12 Parker Duofold センテニアル 18K-F 生贄
2008-03-10 Montblanc No.32 14C-B インクが出ない・・・ 
2008-03-08 Montblanc No.256 18C-EF 仏蘭西 珍品!   
2008-03-05 Montblanc No.149 75周年記念 18K-EF 
2008-03-03 Montblanc No.342 14C-F 満身創痍 
2008-03-01 Pelikan 140 緑縞 14C-M ペン芯調整:苦闘3時間 
2008-02-27 Montblanc No.142 14C-M 壮絶なる死闘
2008-02-25 Pelikan 1931 ホワイトゴールド スイートスポット 2点 
2008-02-23 '80年代後半 Montblanc 14K-M 再鍍金    
2008-02-20 Pelikan 100N 14C-KF あやしいペンポイント 
2008-02-18 プラチナ Sterling Silver 地獄からの復活 
2008-02-16 Montblanc N0.142 14C-O はたして直るか?  
2008-02-13 Pelilam M250 バーガンディー 切り割りからドクドク  
2008-02-11 Montblanc No.149 14C-M 掠れる・・・実は大変 
2008-02-09 Pelikan M320 オレンジ 14C-M 呼吸困難 
2008-02-06 Montblanc No.144G 14C-M ペンポイント凸凹
2008-02-04 Pelikan 140 14C-M ペン先交換 → BB 
2008-02-02 Montblanc No.149 合体して開高健 
2008-01-30 Sheaffer 1000 黒縞 吸入機構完全取替 
2008-01-28 Montblanc 50年代 No.144 14C-F どん底
2008-01-26 Pelikan M320 緑 14C-M 背開き 
2008-01-23 Montblanc No.242 なんとか一人前に・・・ 
2008-01-21 Montblanc モーツァルト生誕250周年 時々切れる・・・
2008-01-19 Montblanc No.146 14K-BB 不思議とひっかかる 
2008-01-16 Montblanc チャールズ・ディケンズ 18K-M の呼吸困難
2008-01-14 Montblanc No.342緑 14C-B改造がひっかかる 
2008-01-12 Sheaffer Crest 14K-F 赤インクが接着剤    
2008-01-09 Omas Gentleman 14K-F キャップが・・・
2008-01-07 Shesffer Snorke 14K-F 吸入機構動かず 
2008-01-05 Montblanc No.149 14C-B 書き味に品がない! 
2008-01-02 丸善 ATHENA 萬年筆 14K-F 復活!
2007-12-31 Montblanc No.1464 18K-M ペン先から落下!

2007-12-29 Montblanc No.342 14C-M ペン芯を太らせる 
2007-12-26 Pelikan 500NN 暗緑縞 14C-EF ペン先グラグラ!
2007-12-24 Montblanc Monte Rosa 14C-M ペン芯めくれ!   
2007-12-22 Montblanc '50年代 No.144G 14K-M ボロボロ 
2007-12-19   Montblanc No.146 14K-F 細字スタブに・・・ 
2007-12-15   Nagasawa 125周年記念 14K-MF カリカリ直して!  
2007-12-12   Montblanc '80年代 No.146 14K-F ペン先ズレ
2007-12-10   Sheaffer Imperial Silver 14K-F ペン先曲がり
2007-12-05   Montblanc '70年代 No.149 14C-M がさつな書き味
2007-12-03   Montblanc L139G 14C-KM 健康診断
2007-12-01   Montblanc '50年代 No.146 14C-M 死地からの復帰
2007-11-28   Montblanc No.142 14C-F 相対評価の果てに・・・
2007-11-26   Montblanc No.147 14K-OM 羊の皮をかぶった山羊
2007-11-24   WAGNER 2007 18C-B 王子からの依頼
2007-11-21   Montblanc No.254 14C-EF ペン先曲がりと・・・
2007-11-19   Parker 75 14K-63 女王様の憂鬱
2007-11-17   Montblanc No.146 14C-OBB 筆記角度30度の世界
2007-11-14   Aurora エウロパ 18K-F 持久力向上 
2007-11-12   Montblanc No.342 G 14C-KF インクが出ない! 
2007-11-10   Pelikan 400NN 緑縞 14C-OM カモノハシ化 
2007-11-07   Stipula ピノキオ 赤軸 18K-M インク切れ解消
2007-11-05   Montblanc No.146 18C-F 書き味品位向上

Posted by pelikan_1931 at 17:00│Comments(14) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
三日堂 蓮覇しゃん

拙者もそう思って、パイロットナミキペンに修理に出したら、漆ですと言われた。

拙者はブツブツ系に弱いので、全て剥がしてもらった。

よく知っているので、持参不要じゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2008年05月15日 23:03
pelikan_1931様。
『こんなにインクが…』
Nさんには、アレはこびりついた顔料インクに見えた様ですよ。
その証拠は今も持ってますんで、来月にでも。

Posted by 三日堂 蓮覇 at 2008年05月15日 22:57
三日堂 蓮覇しゃん

N先生もですか! 拙者と同じとは嬉しいですな。
Posted by pelikan_1931 at 2008年05月15日 21:28
初代エラボーのペン芯の漆…
上京して間もない頃の話です。
Nさんのクリニックに持ってった時、真っ先に剥がされましたよ。
あれが漆だって知ったのは、ずっと後でしたけど。
Posted by 三日堂 蓮覇 at 2008年05月15日 00:54
しまみゅーらしゃん

ゴム板でペン先とペン芯を真っすぐに引っ張れば抜き取れます。

拙者は、ペン芯にエボナイトを塗るのが好きではない。ぶつぶつと吹き出物のようになっているので、全て削り取ってしまったことがある。
Posted by pelikan_1931 at 2008年05月14日 19:19
 エラボー、ついに購入してしまいました(S−F)。想像していた柔らかさとは少し違いましたが(もっとふにゃふにゃだと思っていた)、悪くない書き味だと思います。ちゃんと確認もせずに買ってしまいましたが、初期型の漆ペン芯のモデルでした。

 ところで、早速ペン芯の形状を確認しようと思い、恐る恐るペン先・ペン芯を引っこ抜こうとしたのですが(これってソケットになっているんですね)、漆ペン芯の威圧感とペン先の柔さに臆したせいか、抜けませんでした。

 どうやってペン先を抜くんですか?
Posted by しまみゅーら at 2008年05月14日 18:04
monolith6しゃん

実験用に、本日、プラチナのカートリッジを購入してきた。実験結果はそのうち!
Posted by pelikan_1931 at 2008年03月18日 22:06
しまみゅーら しゃん

興味を持ったら自分で購入してしらべないとな・・・その時のお楽しみと言うことで。

調査目的も、りっぱな購入の動機ですから・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年03月18日 22:05
 同じように、セーラーのコンヴァータ、パーカーのスライド式コンヴァータにも、プラチナ・カートリッジのステンレス玉を仕込めるなら、そしてそうすることで棚吊大魔王状態が回避可能なら、このアイデアは秀逸ですね!パイロット70型コンヴァータも確か棚吊状態になりやすい筈。これにも入れることは可能なのか、興味津々です。
Posted by monolith6 at 2008年03月17日 19:19
 エラボー(Falcon)、すごく欲しいのですがなかなか予算が付かなくて、いつも躊躇しております。

 さて、変な形状のペン先ですが、以前からこのペンのペン芯ってどんな形状になっているんだろう?と、とても興味深く思っておりました。ペン先に合わせて曲がっているのか?それとも、ペン先の段差(?)のところは浮いていて、ペンポイント側だけ接するように作ってあるのか?

 どんな感じなんですか?
Posted by しまみゅーら at 2008年03月17日 13:56
kouki しゃん

ステンレスなら大丈夫でしょう。鉄ならすぐに出しなはれ!
Posted by pelikan_1931 at 2008年03月16日 07:11
venezia 2007 しゃん

25X系は細字のベースとしては最高じゃ。楽しみにしております。
Posted by pelikan_1931 at 2008年03月16日 07:09
こんばんは
自分も同じコンバーター持ってますが"棚吊大魔王"起きてます…;
部屋に落っこちていた小さなバネを入れてみたことあるのですが、インクの酸にやられて大変なことになったりすると嫌だと思い、3日でやめました。。

いれておいても大丈夫でしょうか?
Posted by kouki at 2008年03月15日 23:09
確かにWAGNER では、太字系が多いですね。それではお言葉に甘えて、眠っている252のEF,かなり細めのFあたりを師匠の目標とされているEF達成の為の生贄として持参させて頂きます。以前、調整して頂いた254のEFは私にとってはこの世のものとは思えない書き味ですが、師匠が目指されているのは更にその上ということなんでしょうね。想像もつかない世界のように思えます。
Posted by venezia 2007 at 2008年03月15日 18:47