
この100Nは戦前の製品であろうが、拙者が最も好きなタイプじゃ。キャップバンドもクリップもストライプの装飾が施してある。拙者も最近同じタイプを入手したが、軸色が変わっている。これは明日紹介しよう。ペントレの大目玉の一つじゃ。


ペン先は研がれているようだが、スリットがここまで詰まっているとインクが出ない。しかも依頼主は多少右傾斜で筆記することもある。そういう人が左傾斜のオブリークを使うと、書き出しで100%インクが紙につかないし、ものすごい引っ掛かり感がある。オブリークは左利きの人か、90度ペンを左に捻って書く時でないと絶頂感は味わえない。
あるいは、普通の書き方でも書けるように研ぐか、通常のBの形状に直すかだが・・・・・
今回はあまりに引っ掛かりが多いので、通常のBの形状に直した。【O】のままで通常筆記出来るように研ぐには、ペンポイントの量が不足していたのじゃ・・・




このままではインク量が少ない。ドバドバ好きの依頼者には物足りないであろう。スリットは拡げるが、横細縦太の字形なのでそれほどインク量は多くはならない。




スリットもこの程度開けておけば、ペン先のポンプ運動でインクをどんどん押し出してくれる。依頼者は書き出しだけ筆圧が低い。書き出しでインクが紙につけば、あとは問題ない。スリットを拡げるのは、書き出しでインクが紙につくようにするのが一番の目的なのじゃ。


しかしこの状態でも、依頼者の萬年筆ローテーションを考えれば50年は余裕でもつであろう。萬年筆はまんべんなく愛してあげれば、驚くほど長持ちするものじゃ。
【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 調整2.0h 執筆1.0h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間