
プラチナの現行のミュージックニブは書き味が安定していて非常に使いやすい。ところがVintageのプラチナのミュージックは、その形状によって書き味が大きく違う。現行よりもすごい物もあれば、やや平凡な書き味の物もある。


ただし左側のスリットは大きく開いているのに、右側は詰まっている。これでは安定的なインクフローは得られない。ここは多少手を入れる必要がある。
依頼主は非常に繊細な筆記感の持主。最近はそれほどでもなくなったが、以前には絶対に使わない筆記角度で紙をなぞった時の引っ掛かりが気になるという・・・今の女王様のような感性の持主じゃった。きっと女王様も将来は妥協という物を覚えるじゃろう。その為のモモレンジャー・トレーニングなので甘やかしてはいけない!


こんな安い素材使っていたら萬年筆がかわいそう!よく見るとペン先とペン芯が離れている。ペン芯がお辞儀してしまったのであろう。この素材ならしかたあるまいな・・・


通常のニブなら紙に引っ掛かるポイントは4箇所、しかるにミュージックは6箇所ある。しかもふにゃふにゃしているので、絶対に萬年筆を立てて書いてはいけない。寝かせて書くこと、手首を捻らないこと、筆圧の強弱で線に表情を出すこと・・・というのが鉄則。

まずはペン先をペン芯から外し、隙間ゲージで幅を調整する。この場合、必ず隙間ゲージは裏から入れるのがコツ。でないとスリット部分の金が醜く盛り上がってしまうことがある。


拙者はミュージックニブが大好きだが、それはスタブ系の字か好きだから!以前にも記載したが、参加者のほとんどが萬年筆を所有していた異業種交流会で、毎回議事録を作っていた若手が、プラチナのミュージックニブを使っていたから。理由を聞くと【まずい字がそれなりに見えるから・・・】その殺し文句にやられて、いまだにスタブ系を偏愛している。
【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1.5h
画像準備とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間