2008年05月26日

月曜日の調整報告 【 Platinum 純銀軸 18C・WG-Music 段差修正 】

2008-05-26 01 今回の患者はかなり珍しい!拙者は初めて遭遇した。プラチナ純銀軸のミュージックじゃ。

 プラチナの現行のミュージックニブは書き味が安定していて非常に使いやすい。ところがVintageのプラチナのミュージックは、その形状によって書き味が大きく違う。現行よりもすごい物もあれば、やや平凡な書き味の物もある。

2008-05-26 022008-05-26 03今回の患者が持つペン先は秀逸。純銀軸と色を合わせたペン先は非常に美しい。

 ただし左側のスリットは大きく開いているのに、右側は詰まっている。これでは安定的なインクフローは得られない。ここは多少手を入れる必要がある。

 依頼主は非常に繊細な筆記感の持主。最近はそれほどでもなくなったが、以前には絶対に使わない筆記角度で紙をなぞった時の引っ掛かりが気になるという・・・今の女王様のような感性の持主じゃった。きっと女王様も将来は妥協という物を覚えるじゃろう。その為のモモレンジャー・トレーニングなので甘やかしてはいけない!

2008-05-26 042008-05-26 05 こちらは横顔。すばらしいペン先に比べて、素材も設計もあまりにお粗末なペン芯にビックリ!

 こんな安い素材使っていたら萬年筆がかわいそう!よく見るとペン先とペン芯が離れている。ペン芯がお辞儀してしまったのであろう。この素材ならしかたあるまいな・・・

2008-05-26 062008-05-26 07 左側が調整前、右側が調整後のペンポイントの状態。調整前はあちこちが紙にひっかかるという症状があった。

 通常のニブなら紙に引っ掛かるポイントは4箇所、しかるにミュージックは6箇所ある。しかもふにゃふにゃしているので、絶対に萬年筆を立てて書いてはいけない。寝かせて書くこと、手首を捻らないこと、筆圧の強弱で線に表情を出すこと・・・というのが鉄則。

2008-05-26 08 段差は解消したので次はスリット幅の調整。左右が同じ幅でないとインクフローに差が出てしまう(かもしれない)。

 まずはペン先をペン芯から外し、隙間ゲージで幅を調整する。この場合、必ず隙間ゲージから入れるのがコツ。でないとスリット部分の金が醜く盛り上がってしまうことがある。

2008-05-26 092008-05-26 10 こちらが完成形。スリットもそろい、ペン先とペン芯の間の隙間も解消した。これで見映えはGood!

 拙者はミュージックニブが大好きだが、それはスタブ系の字か好きだから!以前にも記載したが、参加者のほとんどが萬年筆を所有していた異業種交流会で、毎回議事録を作っていた若手が、プラチナのミュージックニブを使っていたから。理由を聞くと【まずい字がそれなりに見えるから・・・】その殺し文句にやられて、いまだにスタブ系を偏愛している。


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  
  

【これまでの調整記事】

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2008-05-19 Sheaffer Snorkel 14C-XF 内臓はボロボロ? 
2008-05-17 Montblanc No.149 14C-B 上品な書き味へ・・・   

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2008-05-12 セーラー・プロフィット・・・女王からの宿題 その2 
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2008-05-07 Pelikan 400NN 14C-F 超硬いピストン     
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2008-04-16 Waterman Gentleman かなりボロボロ!
2008-04-09 Pelikan 100N 14K-O ペンポイントが・・・   
2008-04-07 Montblanc No.264 14C-F ペンポイント段差 
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2008-03-19 Waterman ラプソディ Green 18K-F 胴軸痩せ?
    
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2008-01-07 Shesffer Snorke 14K-F 吸入機構動かず 
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Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整