2008年06月04日

水曜日の調整報告 【 Sheaffer PFM 掘 部品そろえ! 】

2008-06-04 01 今回の生贄はおもしろい。18金ペン先付きのSheaffer PFMじゃ。PFM18金ペン先付きがあったとは知らなかった。どうやら仏蘭西市場向けだったらしい。

 依頼事項は【2本のパーツを組み直してPFM-を最高の状態に】というもの。画像を見るとわかるが、下のPFM-の尻軸が本来はPFM-の尻軸。それぞれ仏
蘭西の別の人から購入した18金ペン先付PFMらしいが、みごとに尻軸が入れ替わっている。

 単にキャップを交換しただけでは、PFM
-の形状にはなっても、書き味も形状もボロボロ。しかも両方ともOリングがほとんど死にかけている・・・

2008-06-04 032008-06-04 04 左が金属キャップのPFM-についているペン先。誇らしげに18Kと彫られている。ペン先は綺麗で、スリットも開いている。申し分ない。おそらくは海外の調整師の手を経ていると思われる。

 右側は黒キャップPFM-の軸についていたペン先。ペン先はかなり傷だらけの上、ペン先のスリットが詰まっている。少しスリットを開き、先端をごくわずか平坦にした方がインクフローが良いであろう。

2008-06-04 052008-06-04 06 上のペン先部分を横から見た画像。かなりスイートスポットを出す為の筆記角度に差があるのがわかる。

 一見、左側は筆記角度が高くないと書き味が悪いように見えるが、ペンポイントの腹の研磨、インクフローの調整によって、かなり寝かせて書く依頼者にとっても、滑らかな書き味を提供してくれる。

 右側は非常に綺麗なペンポイントの形状であるが、スイートスポットが無いので、かなりガサツな書き味になっている。こちらは、相当時間をかけた微調整が必要じゃ。

2008-06-04 072008-06-04 08 こちらがスノーケルの管。PFM-の方の管は綺麗だが、位置が多少ズレている。10度ほど管が右に回転した状態で首軸にセットされている。これは直さねば綺麗ではない。

 PFM-方は惨い!ひん曲がっているうえ傷だらけ!おそらくはスノーケルを出したまま落として曲げ、それを直そうとして深みにはまったのだろう。かわいそうに・・・

2008-06-04 09 拡大してみたのが左の画像。前端部がめくれ上がっているので、予想どおり硬い床にでもスノーケル部分から落としたのであろう。

 もっともスノーケルの管があったからこそ、ペン先が無事だったとも言える。いずれにせよ、代替部品が入手出来ない現在では、どちらも致命傷。まずは、機能を損なわない程度に修復を図るしかあるまい。

2008-06-04 10 続いて胴体尻軸側のOリングだが、どちらも硬化していて、ほとんど機能を果たしていなかった。細かいピンセットで摘んで取り出そうとしたが無理!仕方なく歯科用のメスで引きはがしてから摘み出した。

 このOリングは海外では修理用として売られている。通常のスノーケルは細い径で、タッカウェイとPFMが太い径じゃ。

 Oリングを交換し、良い部品を全て金キャップ側に寄せてPFM-を作り上げ、余った部品を出来るだけ綺麗にしてからPFM-をくみ上げた。

2008-06-04 112008-06-04 12 PFM-PFM-を比較すると、拙者の好みは後者。販売されていた当時の定価はPFM-の方が高かったが、キャップにアタリが出来やすいことが災いして、一時はPFM-より相場は安かった。最近では相場をあまりチェックしていないが、PFM-が持ち直しているらしい。

 拙者はPFM-のMintを何本か持っている。緑軸が一番好きじゃ!それにしても両方とも18金ペン先というのはうらやましいなぁ・・・・

2008-06-04 132008-06-04 14 こちらが横顔。左がPFM-の方。ちゃんとスノーケルの管の角度は揃えた。この作業にはインクタンクから一端管を抜き出して角度を決めて再セットする必要がある。これはけっこう大変な作業で、一度サックを引きはがしてゴムの栓から管をたたき出さねばならない。指先だけで回るほど柔ではない。

 右側のひん曲がった方も、とりあえずは形状を整えておいた。スノーケルの管が
出る際にどこにもぶつからなくなったので、かなりスムーズに動くようになった。

 今回のは、早い話が二本分の調整と同じ。たまたま相互にパーツ供給が出来ただけ!というところかな。

 逆に言えば、パーツが供給されれば、現在でもほとんどの萬年筆は直せる。Montblancが萬年筆店へのパーツの供給を止めたのは、壊れた萬年筆を修理しながら使うことを否定したということ。EUの企業グループがMontblancを買収したあと、独逸のクラフトマンシップ&修理しながら末永く使っていくという独逸精神を破棄したと言うことか?

 いっぽう米国では、メーカー以外にもパーツを供給する企業がいっぱいある。どうやら古き欧州文化は米国で脈々と生き続け、欧州はEUという新たな文化を創りつつあるのかもしれない。

 そんな中でけなげに生き続けている萬年筆は大切に、長く生かしてあげなければと感じてしまう。少なくとも日本ではな!


【 今回執筆時間:7.5時間 】 画像準備2h 修理調整3.5h 記事執筆2h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
       
  


【これまでの調整記事】

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2008-05-26 Platinum 純銀軸 18C・WG-Music 段差修正  
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2008-05-12 セーラー・プロフィット・・・女王からの宿題 その2 
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Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整