独逸を発った後、一行はチェッコスローヴァキアのプラーグに到着。グランドホテルに泊まった。当時のチェッコの総人口は1500万人で、すごい膨張ぶりだったらしい。
ウィルソンの民族自決ドクトリンによって第一次世界大戦後に独立した国で、産業的に新進気鋭!侮りがたい・・・と渡部氏は述べている。【国としての勢い】を相当強く感じたのであろうな。
万年筆は完全にアメリカ品でフルアップされており、色軸ばかりが目立ったようだ。渡部氏曰く【欧州でこんなに色軸の多い国は他にない】とか。
パーカー、ウォーターマン、ウォール、シェーファー、コンクリン等の米国製万年筆は、そのほとんどをチェッコで見ることが出来た。
その他にペリカンやモンブランもあったが、英国製は極めて少数だったらしい。チェッコ産の万年筆にオッシー【Ossi】というのがあったが、ひどい安物!たしかに拙者も効いたことすら無いメーカーじゃな。
一行はその後、オーストリアの首都ウィン市に到着した。【ウィーン】と呼ばないところがカッコ良い!
当時のウィン市は人口190万人で欧州大陸で三番目の都市。歴史的古都であり、芸術的名都でもあった。
一行は街路を歩きながら、ふと、パリにいるような錯覚を覚えた・・・パリではパリを感ぜず、ウィンに来てパリを感じたとか!世界中の流行がこの町でくすぶっているように思えたと述べている。
万年筆には自国製も少々あるが、米国品、英国品、独逸品入り乱れての競争!色軸が全盛で、万年筆の販売店の数も多い!
メーカーとしては、
ウォーターマン
パーカー
エヴァーシャープ
ペリカン
モンブラン
テンプルズ(Temples)
メール アンド フェスラー(Mayr & Fessler)
シルヴロッタ(Silvrotta)
シュランクロス(Schlanchlos)
ハロー(Haro)
テンポ(Tempo)
サンニーリットル(Sunny Little)
などなど・・・各種の万年筆がごった返していたようじゃ。一方のペンシルは独逸のノルマ多色ペンシルが断然幅をきかせていた。
拙者はチェッコもウィンも訪問したことはないが、渡部氏の文章を読んでいると町の光景が万年筆を通して浮かんでくる。ひょっとすると渡部氏は文章の達人なのかも知れない・・・
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解説【萬年筆と科學】 その78−3
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