2008年06月12日

解説【萬年筆と科學】 その79 チェコ・オーストリアの萬年筆業界

 独逸を発った後、一行はチェッコスローヴァキアプラーグに到着。グランドホテルに泊まった。当時のチェッコの総人口は1500万人で、すごい膨張ぶりだったらしい。

 ウィルソンの民族自決ドクトリンによって第一次世界大戦後に独立した国で、産業的に新進気鋭!侮りがたい・・・と渡部氏は述べている。【国としての勢い】を相当強く感じたのであろうな。

 万年筆は完全にアメリカ品でフルアップされており、色軸ばかりが目立ったようだ。渡部氏曰く【欧州でこんなに色軸の多い国は他にない】とか。

 パーカー、ウォーターマン、ウォール、シェーファー、コンクリン等の米国製万年筆は、そのほとんどをチェッコで見ることが出来た。

 その他にペリカンやモンブランもあったが、英国製は極めて少数だったらしい。チェッコ産の万年筆にオッシー【Ossi】というのがあったが、ひどい安物!たしかに拙者も効いたことすら無いメーカーじゃな。


 一行はその後、オーストリアの首都ウィン市に到着した。【ウィーン】と呼ばないところがカッコ良い!

 当時のウィン市は人口190万人で欧州大陸で三番目の都市。歴史的古都であり、芸術的名都でもあった。

 一行は街路を歩きながら、ふと、パリにいるような錯覚を覚えた・・・パリではパリを感ぜず、ウィンに来てパリを感じたとか!世界中の流行がこの町でくすぶっているように思えたと述べている。

 万年筆には自国製も少々あるが、米国品、英国品、独逸品入り乱れての競争!色軸が全盛で、万年筆の販売店の数も多い!

 メーカーとしては、

 ウォーターマン
 パーカー
 エヴァーシャープ
 ペリカン
 モンブラン
 テンプルズ(Temples)
 メール アンド フェスラー(Mayr & Fessler)
 シルヴロッタ(Silvrotta)
 シュランクロス(Schlanchlos)
 ハロー(Haro)
 テンポ(Tempo)
 サンニーリットル(Sunny Little)

 などなど・・・各種の万年筆がごった返していたようじゃ。一方のペンシルは独逸のノルマ多色ペンシルが断然幅をきかせていた。


 拙者はチェッコウィンも訪問したことはないが、渡部氏の文章を読んでいると町の光景が万年筆を通して浮かんでくる。ひょっとすると渡部氏文章の達人なのかも知れない・・・


過去の【萬年筆と科學】に関する解説

解説【萬年筆と科學】 その79−2  
解説【萬年筆と科學】 その79−1       
解説【萬年筆と科學】 その78−3  
解説【萬年筆と科學】 その78−2  
解説【萬年筆と科學】 その78−1    
解説【萬年筆と科學】 その77                  
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解説【萬年筆と科學】 その1  

Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
こまねずみしゃん

やはりオーストリアは経済発展してたんですな!ありがとしゃん。
Posted by pelikan_1931 at 2008年06月14日 02:05
 チェコはオーストリア・ハンガリー二重帝国(ハプスブルグ帝国)の末期から、急速な工業化が進んでいたそうです。帝国の中でも、最も活気のある地域のひとつだったとか。
 このため、帝国末期にはハプスブルグ家の皇帝がハンガリー王に加えてチェコ王に即位し「三重帝国」への移行を求める動きがチェコの中で起こっており、当時の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世もチェコ王即位を検討していたという話があります。第一次大戦で有耶無耶になってしまいましたが。
Posted by こまねずみ at 2008年06月13日 08:51
前の続き

ホテルは先の大戦中に駐独軍司令部にもなった由緒正しいところとか。
ザッハトルテ@ホテル・ザッハ、デメル本店、シェーンブルン宮殿…
余計な知識を駆使して必死に御随伴を勤めました。
足を伸ばした伯林で買ったM800がペリカンデビュー。
お土産は万年筆1本。
かかった費用といえば、
短波ラジオ1台と銀張りカランダッシュBP1本
周囲には言えないなぁ...

教訓:趣味が合う友人は大切にしましょう♪
(彼が学生時代、ちび猫@社畜が、
“よっしゃよっしゃ”とせっせと餌&お足漬けしてました。笑)
Posted by 怠猫 at 2008年06月12日 22:47
こんばんは。

>Pelikan オーストリア 1000 で我慢
猫はそっちがイイでしゅ。
よろしければご尊顔を拝したいでしゅ。

発端は、
“相方がインフルエンザで行けない。どお?”@友猫
“はい!はい!は〜い!”@ちび猫
“条件は前日に成田で泊まる以降は費用は全部こっち持ち”@友猫
“御意。???”@ちび猫
“スワロフスキーの双眼鏡とか買わないなら費用はかからん”@友猫
“閣下と呼ばせてください”@ちび猫
“うむっ!”@友猫閣下

つづく
Posted by 怠猫 at 2008年06月12日 22:47
拙者はPelikan オーストリア 1000 で我慢しておる。
Posted by pelikan_1931 at 2008年06月12日 21:47
こんにちは。
>ウィン
寒いでしゅ。石畳がきれいでした。
新年コンサートで小沢征爾がタクトを振ったのを見てしまいました。
本物のザッハトルテを食べました。
(モンブランのモンブランみたいな感じでしゅ)
ちょいと、唸りました。
やはり花より団子。オーケストラよりケーキ。議事より万年筆(???)
>グランドホテル
インペリアルというホテルに泊まらせられました。
襟首つかまれて放り出されるとおもうぐらい荘厳。
でわでわ。

追伸:タイムマシンが欲しい
Posted by 怠猫 at 2008年06月12日 11:45