2008年06月16日

月曜日の調整報告 【 AURORA 88 14K-B 書き出し掠れ解消 】

2008-08-16 01 今回の患者はAURORA 88の金キャップ。拙者がアスティルの次に購入したアウロラ製萬年筆と同じ!

 拙者のは初期モデルで、穂先の長い14金ペン先のB付きだったが、筆記コントロールが難しく、まともに気持ちよく書けるまでに3〜4年間微調整をし続けた記憶がある。穂先の長い太字は調製が難しいなぁ・・・と教えてくれた一本だった。

2008-08-16 022008-08-16 03 ただし、今回の患者に付いているのはオプティマに付いているのと同じ、穂先の短いもの。これなら書き味にブレば無いので太字であっても調整は楽。

 AURORAも当初の穂先の長いニブで苦情が頻発したのか、数年で止めてしまった。そうなると逆に人気が出たりして・・・

 上の画像のとおり、スリットに問題はないが、依頼者は書きだしの掠れに悩んでいる。ということは書き出しの筆記角度がペンポイントの調整と合っていないということ。これは段差調整である程度解決できる。

 もう一つの要望のヌラヌラ化。スリットが開いていてもインクフローが悪いということは、スイートスポットが無いということ。筆記角度に合わせたスイートスポットを作ってしまえば、インクフローも改善されストレスも感じなくなるはず!

 ニブの表面が多少傷んでいるので、金磨き布で擦って垢落としをしておこう。ほんの少し金磨き布に擦りつけるだけで、新品のように綺麗になる。

2008-08-16 042008-08-16 05 こちらが横顔。やはりペンポイントは丸研ぎで、どの角度で書いても球面上の狭い範囲しか紙と接しない。

 具合の悪いことにペン先とペン芯が少し離れている。太字なのに線幅が細いと言うことで、かなり高筆圧で筆記しようとした人が過去の利用者の中にいたのであろう。幸いにしてAURORAのペン芯は熱湯に浸けると、どうにでも変形させられる。そこで少しペン芯を上に反らせるように調整した。

2008-08-16 062008-08-16 07 こちらがソケットから外したペン先の調整前の状態。微細な傷はともかく、裏側にはエボ焼けの症状がある。これでAURORAのペン芯がエボナイト製であることが証明された。良くできた代用エボナイトではないかという疑いは多くの人が持っていたのだが、エボ焼けを見せられては疑えないな。

2008-08-16 082008-08-16 09 そしてこちらが清掃後のペン先画像。たまに清掃すればどんなに綺麗になるかわかったかな?ただ漫然と使い続けるだけではなく、清掃も頻繁にやれば長生きするし、使う意欲も湧いてくるはず。ただしプラチナ鍍金ニブやバイカラーニブを金磨き布の擦りつけてはなりませんぞ!鍍金が全部剥がれます!

2008-08-16 10 こちらがスリットの開き具合。調整前より若干絞っている。スリット幅は既に限度まで拡げられていたので、接紙面積の拡大でインクフローを稼ぐ調整方法を選んだ。

 すなわち紙がインクをっひっぱりだすような感じかな・・・ あまり柔らかいペン先ではないので、ポンプ運動によるインクフローはほとんど期待できない。またスリットは十分すぎるほど開いている・・・ということはインクが出来るだけたくさん紙に接するようにすれば、インクはドバドバと出てくるはずじゃ。

2008-08-16 112008-08-16 12 こちらが調整後のペンポイントの姿。ペンを約15度ほど右に倒す癖のある依頼者の筆記角度に合わせてペン先を研磨した。

 おお!驚くほど多量のインクが出るようになった!インクフローを増やすのに接紙面積拡大はたしかに効果あるな!

 今回の研磨には320番、1200番、2000番、5000番の耐水ペーパーで研磨し、最後に和紙をベースにした秘密の紙で研磨。金磨き布と違ってインクをはじく成分が無いので、研磨直後にインクを浸けてもすらすらとインクが出てくる。これは便利だが、名前がわからないので紹介は出来ない。必要なら会場で確認されたし!


【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1h 修理調整2h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
          
   

【これまでの調整記事】

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2008-05-03 女王陛下のプラチナ・ミュージック   
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2008-04-28 Pelikan M800 18C-3B ペン先交換              
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2008-04-21 ROLEX Pen 14C-M インク吸入せず! 
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2008-04-16 Waterman Gentleman かなりボロボロ!
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Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
utasun しゃん

http://pelikan.livedoor.biz/archives/50652103.html

にカルロゴルドーニのペン先の例が載っている。14金であってもいっしょ。
ということは、utasun しゃんの萬年筆は、元々穂先が長く、お辞儀がきついニブ(従ってペン芯も多少お辞儀)がついていたのを外して、通常ニブに変えたのだと思われる。

Bならそれで正解じゃよ。穂先の長いBほど手に負えない物はないからな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年06月17日 17:28
某有名文具店で新品購入したにも関わらず、ペンは傷ついていてペン先とペン芯は離れている。。。購入後に私も気づきました。いったいどういう事なんでしょうね(笑)
当日は子連れだったのと、ペントレに行けなかったのとでさっさと買ってしまったのです。あまり神経質では無いのも、このペンを掴んでしまった原因でしょうか。

キレイに磨いて頂いて、調整もして頂いて、これは購入時よりも更に嬉しいです。受け取るのが楽しみです♪

穂先の長い14金ペン先、今度見せて頂けないでしょうか。とても興味があります。
Posted by utasun at 2008年06月17日 14:35
しんのじしゃん

鍍金物は調整師にとっては調整の範囲が限定されるので、思う存分調整できないという無念さが残りますな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年06月16日 20:22
>ただしプラチナ鍍金ニブやバイカラーニブを金磨き布の擦りつけてはなりませんぞ!鍍金が全部剥がれます!

それをやっちまって・・・師匠にお世話になった人がいますが・・・σ(^^)

綺麗に仕上げて頂いて本当に感謝しております^^
Posted by しんのじ at 2008年06月16日 20:09