2008年06月25日

水曜日の調整報告 【 Pelikan M800 18C-M 現行品最高の書き味に! 】

2008-06-25 01 今回の依頼品は現行品のM800でペン先は18金のM。拙者はM800用のニブとしては【p.f.】付きの3B、BB、B、O3Bばかり使ってきたが、EF、F、Mについては、現行のM800の書き味の方が好きじゃ。

 その中でもMの書き味は大好き。じっくりと時間を書けて調整すれば、得も言われぬ書き味になる・・・・というような話をあちこちでしていたら、【ではでは、よろしゅくぅ〜】ということで依頼があった。

2008-06-25 022008-06-25 03 調整前のペン先を拡大してみると、ペンポイント先端部が開きすぎている。しかも若干背開き気味。

 これではインクフローが安定しないうえ、筆記時にエッジが立った書き味になってしまう。ペン先を斜めにすると、紙を削るような書き味じゃ。

 それにしてもプラチナ鍍金の正確性は舌を巻くばかり!Montblancでは結構おおざっぱだったように記憶している。

2008-06-25 042008-06-25 05 こちらは調整前の横顔。3Bなどと違って未調整で書ける事を狙った形状になっている。

 もしペン芯とペン先を固定するソケットがもう少し長く、そして強く締め付けられるのであれば、すばらしいペン先になったであろう。

 ペン先ユニットの交換時に力を入れすぎるとペン先とペン芯がずれやすいという欠点はなんとかならないものか?この個体では発生しなかったが、高確率でズレているのを見かける。もっとも、ペンクリには問題ないペン先は来
ないわけだが・・・

2008-06-25 06 こちらはペン先ユニット。ペン芯とペン先の位置関係も拙者の好みにピッタリ!かつペン先の形状もメタボが目立たない!

 これならペン先ユニットを分解しないまま調整出来る。この調整報告シリーズで初の快挙!今までのM800の調整では、必ずペン先ユニットを分解して位置調整をしていたものじゃ。


2008-06-25 072008-06-25 08 まず最初にスリットを狭めた。先端が多少は開きすぎでもインクは供給される。ただしM程度のペンポイントではかなり狭い面積で筆圧を受け止めるので、ペン先は拡がりやすい。従ってスリットは書き出し掠れにならない限界まで狭めた方が書き味は良い。

 今回のスリット幅調整は今までで一番の出来。拡大するほど美しさが際立つ。対面ペンクリでは、一本の万年筆にかけられる調整時間は極めて短い。従って(表現は適切ではないが)依頼者をどこで満足させるか?にを使う。

 一方で持ち帰りの調整は時間の制約がないので、の出番は不必要で、を存分に発揮するだけじゃ。これが一番楽しめる!

2008-06-25 092008-06-25 10 スリットを左右から寄せただけでは、背開きは解消しない。背開きの解消には猫背化が一番。

 左の画像のようにペン芯から先の部分を若干寝かせ気味にすると背開きは直り、書き味も向上する。

 そして最後はペンポイントの形状を書き癖に合わせること。これには相当時間をかけた。通常はチョチョイノチョイで終わるのだが、現行品最高の書き味に!となれば話は別。書き癖に合わせてペンポイントを研磨した後で、金磨き布に変わる秘密兵器で丹念にエッジを取ると・・・多少滑り気味なほど滑らかなペンポイントになる。

 そこから書き出し掠れが発生しない状態まで、ペンポイントに微細な傷を5000番独逸製耐水ペーパーでつけていく。そして入れるインクにもこだわりが必要。世界一書き味の良いインクはプラチナ・カーボンインクだが、一般的にドロドロ系が良い。ただし最近ポッと出のインク、メーカーは止めた方がよい。ペン先とペン芯の間で、インクが煮こごりのようにプヨプヨする物すらある。これが空気の通り道を止めて、途中からインクが出なくなってしまう。

 拙者は絶対にインクで冒険はしない・・・



【 今回執筆時間:6時間 】 画像準備2h 修理調整2.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
      
    


【これまでの調整記事】

2008-06-23 Marlen スケルトン 18K-M 掠れと出過ぎ   
2008-06-21 Montblanc No.342 14C-EF ひっかかり 
2008-06-18 Sheaffer Tuckaway 14K-XF ペン先曲がり   
2008-06-16 AURORA 88 14K-B 書き出し掠れ解消    
2008-06-14 Montblanc No.234 1/2G 14C-OB 斜面調整      
2008-06-11 Montegrappa 八角軸 バーメイル 18K-B 背開き
2008-06-09 Sailor キングプロフィット 21K-M ほんの少し・・・

2008-06-07 Montblanc 50年代No.146 14C-OB 斜面調整 
2008-06-04 Sheaffer PFM 掘 部品そろえ!    
2008-06-02 性懲りもなく、ドボドボイジャー排斥への挑戦 
2008-05-31 Parker 75 赤ラッカー 18K-B 西の・・・・
2008-05-28 Pelikan 旧M800 18C-F EN+刻印  
2008-05-26 Platinum 純銀軸 18C・WG-Music 段差修正
2008-05-24 Pelikan M250 緑マーブル 14C-M カビと段差     
2008-05-21 Waterman セレニテ・ドラゴン 18C-M インク漏れ 
2008-05-19 Sheaffer Snorkel 14C-XF 内臓はボロボロ? 
2008-05-17 Montblanc No.149 14C-B 上品な書き味へ・・・ 

2008-05-14 Pelikan M400 茶縞 生贄:やりたい放題  
2008-05-12 セーラー・プロフィット・・・女王からの宿題 その2 
2008-05-10 Montblanc No.252 14C-F インクフロー改善
2008-05-07 Pelikan 400NN 14C-F 超硬いピストン
2008-05-05 masahiro エボナイト軸 ペン先交換   
2008-05-03 女王陛下のプラチナ・ミュージック   
2008-04-30 Pelikan M700 18C-F → BB ペン先交換 
2008-04-28 Pelikan M800 18C-3B ペン先交換 
2008-04-26 Montblanc No.644 14C-B ピストントラブル
2008-04-23 Pelikan 400 茶縞 14C-BB 秀逸なペン先  
2008-04-21 ROLEX Pen 14C-M インク吸入せず! 
2008-04-19 Omas ミロード 青軸 18K-M 生贄
2008-04-16 Waterman Gentleman かなりボロボロ!
2008-04-09 Pelikan 100N 14K-O ペンポイントが・・・   
2008-04-07 Montblanc No.264 14C-F ペンポイント段差 
2008-04-05 Pelikan 400NN 茶縞 14C-F ソケット交換 
2008-04-02 Montblanc No.254 14C-BB インク切れ 
2008-03-30 Pelikan M800 螺鈿 18C-M 未使用 & おまかせ 
2008-03-28 Montblanc No.234 1/2G 14C-BB 賽の河原の・・・
2008-03-26 Pelikan 140 緑縞 14C-B ソケット交換
2008-03-24 プラチナ #3776 赤軸・黒軸 ペン先交換
2008-03-22 Montblanc No.254 14C-M ぬるぬるに・・・  
2008-03-19 Waterman ラプソディ Green 18K-F 胴軸痩せ?
    
2008-03-17 Parker 75 18K-M 自然コンコルド 魑魅魍魎  
2008-03-15 Pilot New エラボー 14K-SF スイートスポット形成
2008-03-12 Parker Duofold センテニアル 18K-F 生贄
2008-03-10 Montblanc No.32 14C-B インクが出ない・・・ 
2008-03-08 Montblanc No.256 18C-EF 仏蘭西 珍品!   
2008-03-05 Montblanc No.149 75周年記念 18K-EF 
2008-03-03 Montblanc No.342 14C-F 満身創痍 
2008-03-01 Pelikan 140 緑縞 14C-M ペン芯調整:苦闘3時間 
2008-02-27 Montblanc No.142 14C-M 壮絶なる死闘
2008-02-25 Pelikan 1931 ホワイトゴールド スイートスポット 2点 
2008-02-23 '80年代後半 Montblanc 14K-M 再鍍金    
2008-02-20 Pelikan 100N 14C-KF あやしいペンポイント 
2008-02-18 プラチナ Sterling Silver 地獄からの復活 
2008-02-16 Montblanc N0.142 14C-O はたして直るか?  
2008-02-13 Pelilam M250 バーガンディー 切り割りからドクドク  
2008-02-11 Montblanc No.149 14C-M 掠れる・・・実は大変 
2008-02-09 Pelikan M320 オレンジ 14C-M 呼吸困難 
2008-02-06 Montblanc No.144G 14C-M ペンポイント凸凹
2008-02-04 Pelikan 140 14C-M ペン先交換 → BB 
2008-02-02 Montblanc No.149 合体して開高健 

Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
いやはや。

>赤色攻撃
>青色攻撃

なるほど〜
“赤色テロル”とか“日○青軍”とかでしゅかね。

最近、猫の周りはこの手の相談が多いでしゅ。
特に要人ならぬ要筆(限定品)に入れるインクを悩む方が...
先日、“万年筆は書かずに愛でる”という至言を拝聴しました。
猫目@落鱗したでしゅ。
Posted by 怠猫 at 2008年06月28日 14:01
怠猫しゃん

そうそう、赤色攻撃!これはインク窓を攻撃する。

翻って日本では青色攻撃!これは素肌を攻撃する!

どちらも大嫌い!
Posted by pelikan_1931 at 2008年06月27日 07:10
ありがとうございましゅ。
使用頻度が...鰻のように上がっております。
畏るべし、M。

>絶対にインクで冒険はしない・・・

猫は“冒険”が“自爆”になるので...自粛中
でも最近多いみたいです。万年筆へのインクによるテロ攻撃って(TT)
(猫は勝手に“テラー・ド・ロッセ”と呼んでいます)
特にイタリアで激しいらしいとか...

あな、恐ろしや

でわでわ
Posted by 怠猫 at 2008年06月25日 22:19