2008年08月06日

水曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 18C-EF ペン先曲がり 】

2008-08-06 01 これは8月2日のNo.149と同じ方からの修理依頼じゃ。同じく1960年代のNo.149だが、こちらは18Cのニブが付いている。

 仏蘭西では18金以上でないと金と認めないので、Montblancでは以前から仏蘭西向けには18金製のペン先を装着して出荷していた。後日紹介するがSheafferのPFMにも18金ペン先付きがあり、やはり仏蘭西で販売されていたらしい。


2008-08-06 022008-08-06 03 こちらの症状はペン先曲がり。落としたり、ぶつけたりした場合によくこうなる。一瞬で直るのだが、かなり経験を積まないと力加減はわからない・・・

 拙者の場合、たまたま最初にやった事例で成功したので、その力加減を覚えているだけ。もし失敗していたら試行錯誤が続いていたかもしれない。

 直し方は過去に何度か説明したが、10兒擁のゴムブロックに、スキマゲージをテープで固定し、その上で曲がった部分を反対側から竹製割り箸の先端でクィと押すだけ。作業は準備に5分クィ5秒じゃ。


2008-08-06 04 この個体ではペン先だけが不良で、ピストン機構は生きていた!ただし長年の使用で弁にはインクがこびりつき、スライドで軸に押し込む部分は(緩くなったのか)ボンドが少しだけ塗られていた。

 個体差があるので、このピストン機構をそのまま前回のNo.149に差し込むことは出来ないが、ボンドがこびりついている尻軸固定ユニット以外は使えそう!すこしワクワクしてきた。修理できそうなときに感じるワクワク感は、どんどんボケていく脳を活性化させてくれるような気がする。

2008-08-06 05 尻軸から伸びている螺旋棒の長さを比較してみた。右が前回の壊れた物で、左が今回のもの。あきらかに長い!これならイケル!また弁が固定されている筒にもまったく問題はない。

 ということで、前回のNo.149は見事に復活
した。考えようによっては、単に今回のNo.149のペン先曲がりを直せばよいのかも知れない。ただ拙者の中では一度でもペン先が曲がったものは価値も下がると見ている。出来るだけ価値の高い物を依頼者に返すにはこういうアセンブルも必要かと・・・

2008-08-06 06 こちらがペン先の曲がりを5秒で直した後、ペーパーでスリットの調整をし、ペンポイントのエッジを丸めたもの。

 EFなので、どう研いでもヌラヌラにはならない。ただし潤沢なインクフローを実現し、【趣味の文具箱 Vol.10 の90頁】にあるにゅるにゅるの書き味に挑戦してみた。


2008-08-06 072008-08-06 08 ペン先を解体した状態ではスリットはかなり拡げていたのだが、ペン芯とともに首軸に装着してから、多少スリットを締めてみた。

 依頼者の筆圧は多少強いはずなので、書き出しでインクさえ出れば、あとは多少スリットが狭くともポンプ作用で潤沢なインクフローを実現してくれると考えた。そしてインクフローが良いことがわかれば、だんだんと筆圧は低くなっていくはずじゃ。

2008-08-06 092008-08-06 10 こちらは横顔。筆記角度が一定で、筆圧が強いらしく、ペンポイントはかなり斜めに削られていた。そこでその削られた部分をスイートスポットと仮定し、その前後を丸めてみた。

 もし依頼者が、このNo.149を机にしまい込んだ時期から筆記角度が変わっていなければ、非常に心地良い
細字の書き味を堪能できるであろう。さてどうかな?

2008-08-06 11 2本のNo.149から1本のNo.149を復活させた。実はこうした復活は独逸や米国では日常茶飯事で行われている。そうした物がeBay等で日本へ流れ込んでくる。そして日本にも拙者のように自力で修理する者も数多くいる・・・

 No.149の中古に関してオリジナル製を重視したコレクションは難しくなってきている。No.149はガシガシ使うのが良かろう。萬年筆愛好家ではあっても、萬年筆愛用者ではない拙者ですらNo.149はガシガシ日常使用しているからな。


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備2h 修理調整2h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
    
    

【これまでの調整記事】

2008-08-05 Sheaffer インペリアル 14K-F 手が伸びるペンに!    
2008-08-03 Montblanc No.149 14C-F ピストン動かず・・・    
2008-07-30 Pelikan M700 雑巾トレド 18C-M 書き味微調整    
2008-07-28 Montblanc No.144G 14C-OB→B 研ぎ出し    
2008-07-26 Parker Duofold International 18C-XXB 生贄    
2008-07-23 1950年代 Montblanc No.142 14C-M 書き味向上     
2008-07-21 Parker Duofold センテニアル 18C-XXB 生贄       
2008-07-19 1950年代 Montblanc No.146 14C-BB 生贄      
2008-07-17 Pelikan 500N 茶縞 14C-M インクフロー改善      
2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上     
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換   

2008-06-30 Pilot 旧エラボー 14K SB ペン芯乖離                     
2008-06-28 Warl Eversharp Red Ripple 14K-Flexible                      
2008-06-25 Pelikan M800 18C-M 現行品最高の書き味に!   
2008-06-23 Marlen スケルトン 18K-M 掠れと出過ぎ   
2008-06-21 Montblanc No.342 14C-EF ひっかかり 
2008-06-18 Sheaffer Tuckaway 14K-XF ペン先曲がり   
2008-06-16 AURORA 88 14K-B 書き出し掠れ解消   
 
2008-06-14 Montblanc No.234 1/2G 14C-OB 斜面調整      
2008-06-11 Montegrappa 八角軸 バーメイル 18K-B 背開き

2008-06-09 Sailor キングプロフィット 21K-M ほんの少し・・・

2008-06-07 Montblanc 50年代No.146 14C-OB 斜面調整 
2008-06-04 Sheaffer PFM ?&? 部品そろえ!    
2008-06-02 性懲りもなく、ドボドボイジャー排斥への挑戦 
2008-05-31 Parker 75 赤ラッカー 18K-B 西の・・・・
2008-05-28 Pelikan 旧M800 18C-F EN+刻印  
2008-05-26 Platinum 純銀軸 18C・WG-Music 段差修正
2008-05-24 Pelikan M250 緑マーブル 14C-M カビと段差     
2008-05-21 Waterman セレニテ・ドラゴン 18C-M インク漏れ 
2008-05-19 Sheaffer Snorkel 14C-XF 内臓はボロボロ? 
2008-05-17 Montblanc No.149 14C-B 上品な書き味へ・・・ 

2008-05-14 Pelikan M400 茶縞 生贄:やりたい放題  
2008-05-12 セーラー・プロフィット・・・女王からの宿題 その2 
2008-05-10 Montblanc No.252 14C-F インクフロー改善
2008-05-07 Pelikan 400NN 14C-F 超硬いピストン
2008-05-05 masahiro エボナイト軸 ペン先交換   
2008-05-03 女王陛下のプラチナ・ミュージック   
2008-04-30 Pelikan M700 18C-F → BB ペン先交換 
2008-04-28 Pelikan M800 18C-3B ペン先交換 
2008-04-26 Montblanc No.644 14C-B ピストントラブル
2008-04-23 Pelikan 400 茶縞 14C-BB 秀逸なペン先  
2008-04-21 ROLEX Pen 14C-M インク吸入せず! 
2008-04-19 Omas ミロード 青軸 18K-M 生贄
2008-04-16 Waterman Gentleman かなりボロボロ!
2008-04-09 Pelikan 100N 14K-O ペンポイントが・・・   
2008-04-07 Montblanc No.264 14C-F ペンポイント段差 
2008-04-05 Pelikan 400NN 茶縞 14C-F ソケット交換 
2008-04-02 Montblanc No.254 14C-BB インク切れ 

Posted by pelikan_1931 at 08:00│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他文具 
この記事へのコメント
メロンパン しゃん

拙者は細くする為の研磨はやらない。柔らかくするために削ることはある。
細字が好きではないのでな。

Montblanc の Vintageのペン先は弱いので、削ろうとすると・・・ポロっとペンポイントが落ちる可能性が高い。やめておくべきでしょうな。

むしろインクフローを悪くして細字を演出するほうが正解かと・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年08月13日 22:12
Bromfield しゃん

自分の万年筆で蘇生させるのではなく、人の万年筆で蘇生させれば良いと割り切れば、怖いものは無い!
Posted by pelikan_1931 at 2008年08月13日 22:09
この写真のペン先は、相当細い字が書けそうですね。

ビンテージもののモンブランのペン先を、
細字に削りだすことは、やってよいのでしょうか?

モンブランのビンテージのペン先を現代の
モンブランのボディに組み込み使うことは可能でしょうか?

以上よろしくお願いします。
Posted by メロンパン at 2008年08月13日 04:54
現在3本の149(B2本, BB1本)を「ガシガシ」と、日常的に使いまわしております。ただ先日のイエロートレドの記述を拝見し、また物欲が沸々と湧いてきました。問題はアメリカの場合、ディスカウント店でも、149が三本は買えてしまう高額のため、逡巡の日々。日常使いの万年筆、同一種の万年筆の本数を増やして、落下などの万一の事故に備えるべきか(本エントリーで、複数本あれば甦生が可能とのことを学びました)、新しい万年筆に次々と挑戦すべきなのか、悩ましいところです。
Posted by Bromfield at 2008年08月06日 10:17