2008年09月10日

水曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく 】

2008-09-10 01 今回の依頼品は【生贄】扱い。ものはMontbanc No.144 14C-KEFじゃ。最近またクーゲルが目立つようになってきた。

 1950年代No.14XではM、B、BBニブあたりの書き味が拙者の大好物だが、調整した本数で考えれば、クーゲルもかなり多い。独特の書き味はあるのだが、それが拙者の好みか?と問われれば【う〜ん?】と言わざるを得ない。拙者にとっては面白い素材ではあるが、筆記具として魅力的なペンポイントとは感じていない。短期間に大量に文章を書く人には良いのかも知れないが・・・

2008-09-10 022008-09-10 03 まず依頼者が気になったのは、ペン芯中央と、ペン先のスリットが合っていないこと。

 こういうのは、萬年筆が好きになるほど気になってくる。特に綺麗に位置調整した物ばかりであれば、よけいに気になってしまう。これは正常な反応だと思うが、今回の依頼品に関しては、位置がずれていても書き味に対する影響はほとんど無かった・・・

 というか、スリットが詰まっており、まともにインクが出て来なかった。これではせっかくの柔らかい素材が台無し!

2008-09-10 042008-09-10 05 横顔が左。ものすごく綺麗に調整してある・・・が、これではクーゲルの書き味は堪能できない。

 ペンポイントの太さはEFなので、スリットを拡げればある程度の書き味にはなる。しかし、それはクーゲル独特の書き味ではない。ごく平凡なマイナー・ブランド萬年筆の書き味になってしまっている。

 もし依頼者が数本しか1950年代Montblancを持っていないのであれば、調整せずインクフローだけ向上させて返却したであろうが、山ほど所持しているようなので、クーゲルらしい書き味に料理してみることにした。


2008-09-10 06 まずはペン芯と分離し、清掃を行ったあとで、スリットを開いた状態にした。ペン先の裏側を確認したが、エボ焼けは除去されていた。

 おそらくは海外で入手した萬年筆であろうが、海外でもペン先裏のエボ焼けを除去しているケースが多いなぁ・・・と考えていたら、独逸本国のリペアマニュアルには、中古萬年筆のエボ焼けを必ず除去するようにと書いてあるそうな。

 拙者が経験的にやっていた事は正しかった訳だが、そういう情報が非公式に行き渡っている独逸ははやりすばらしい。WAGNERでも実施しているが、リペア講座などは素人対象にもやって欲しいものじゃ。特にVintageに関しては・・・


2008-09-10 072008-09-10 08 こちらは首軸に取り付けた状態。スリットはちゃんと開いている。これである程度のインクフローは確保された。

 これからクーゲルらしい書き味に味付けするわけだが・・・前の所有者はクーゲルの書き味が好きではなかったらしく、ペンポイントの腹の部分を研磨してしまっている。

 そこで、まずはペンポイントの先端部を垂直に切り落とすように目の粗い耐水ペーパーで削る。研磨するというレベルではなく、削り落とす。

2008-09-10 092008-09-10 10  しかるのち、腹に多少引っ掛かる感じを残しつつペンポイントを研磨していく。一度ペンポイントの腹をさらわれてしまっているので、完全にはクーゲルの書き味は再現できないが、インクフローが良くなった分だけ、似た書き味になった。

 ペン芯が自由に変形出来るフラットフィードならば、もう少しペン先を反らし気味にする。と、いっそうクーゲルの書き味に近くなる。もしクーゲルの書き味を堪能したいのであれば、ペン芯がフラットな物を捜すと良かろう。


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   
   

【これまでの調整記事】

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Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
venezia 2007 しゃん

あのKOBは今までで一番へんな形をしたクーゲルなので、どう料理しようか思案中。かな〜り難しい・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月11日 20:30
50年代14Xでは、これまでM以上の個体が圧倒的に多かったのですが、EFでしかもKugel というのは貴重な一本になりそうです。有難うございました。「もしクーゲルの書き味を堪能したいのであれば、ペン芯がフラットな物を捜すと良かろう。」のお言葉に思わず、現在依頼中の146のKOBの出来に期待してしまいます。楽しみだなあ。。。


Posted by venezia 2007 at 2008年09月10日 21:33