2008年09月13日

土曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB → KB 却下! 】

2008-09-13 01 今回の依頼品は【生贄】扱いの1950年代Montblanc No.14614C-KOBニブ付きじゃ。書き味が激悪とのことで依頼を受けた。オブリークを通常の形状に直して欲しいとの要望もあったが、そちらは却下

 あまりにすばらしく大きな【タマタマ】なので、こういう物があったということを歴史に残しておく必要があると判断したから。このままの形状で流通して欲しい・・・

2008-09-13 022008-09-13 03 こちらが上から見た形状。ペンポイントの部分が若干背開きになるほどガチガチに詰まっている。

 この状態ではかなり筆圧が高い人でないとインクが追随できない。残念ながら依頼人は萬年筆研究会【WAGNER】の中でも3本の指に入るほど筆圧が低く、書き出しの筆記角度の低さも最低の部類に属する。おそらく未調整で使える萬年筆はほとんど無いはずじゃ。

2008-09-13 042008-09-13 05 こちらは横顔。後期の厚いペン芯だが、若干ペン先とペン芯のの間に隙間が出来ている。それをカバーしようとペンポイント付近だけ【お辞儀】をさせて辻褄を合わせようとし、メチャメチャ硬い書き味になってしまっている。

 これは形状を整える事に気をとられた修理をする人が陥りやすい罠。Vintage Montblancではお辞儀具合を調整することによってタッチを激変させることが出来るのじゃ。もし自分でいじる事が出来るなら試してみると良い。

 ペン先に小さな【当たり】があるが、調査したところ書き味に対する影響はない。よかった・・・。【クラック】は書き味に良い影響しか与えないが、【当たり】は希に書き味を下品にしてしまう。

2008-09-13 06 こちらが首軸から外したペン先の調整前の状態。特に清掃していないのに非常に綺麗!おそらくはコレクタープロの手を経て依頼者に渡ったものだろう。これほど綺麗な状態の物は滅多にない。

 もともとはバイカラーのペン先であったが、プラチナ鍍金はほとんど剥がれている。バイカラーが好きではない拙者としてはこの方が好きじゃな。

2008-09-13 072008-09-13 08 こちらがスリットを拡げ、お辞儀を直し、ペン芯とペン先が密着するようにした状態。

 もちろん筆記角度に合わせて研磨している。オブリークの形状を変えないで、普通に持って筆記出来るようにするには、多少のテクニックが必要。

 右上がりの線を書くときにペンポイント先端部の摩擦係数が大きくなるので、その部分を多少研磨する。しかも上から見て、ほとんどわからないくらいにな・・・

2008-09-13 092008-09-13 10 こちらが完成状態の横顔。お辞儀の呪縛から解き放たれて生き生きとしている【ペン芯最先端より前の部分】がわかるかな?

 ここを真っ直ぐに伸ばすには、ペン先を曲げる工具が必要。プロから頂いたのを改良した物だが、非常に便利。興味があれば萬年筆研究会【WAGNER】会場でお見せしよう。

 今回の調整で最も大変だったのは、ペンポイントの磨き。この時代のNo.14Xのペンポイントには粒子が粗いものが多い。大げさに言えば月のクレーターのようにザラザラでいくら細かいペーパーで研磨しても直らない。

 直近で同じ時代のNo146を立て続けに4本調整したが、うち3本のペンポイントの粒子は粗かった。もっとも粒子の粗いペンポイントは書き出し掠れの確率が低いので、書き出しにシビアな人にはかえって好都合。すなわち拙者には最適じゃ。



【 今回執筆時間:5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
      
    


【これまでの調整記事】

2008-09-10 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく      
2008-09-08 梅田阪急限定ブライヤー 21K-M・・・シャリシャリ感撲滅       
2008-09-06 Montblanc No.242G 14C-KF クーゲルの書き味ではない    
2008-09-03 Sheaffer PFM- 幻の18K-B ニブ・・・インク吸入せず         
2008-09-01 Montblanc No.134 14C-OB ペン先波打ち修整       
2008-08-30 柘製作所 マイカルタ 21K-B ペン先段差   
2008-08-27 1950年代 Montblanc No.144 14C-OBB 生贄 
2008-08-25 1960年代 Montblanc No.72 ペン先曲がり、そして・・・
2008-08-20 Montblanc No.146 14K-F 首軸よりインク漏れ 
2008-08-18 Pelikan M800 現行品 18C-M 軽い引っ掛かり 
2008-08-16 1970年代 Montblanc No.149 14C-F 尻軸ユニット破損 
2008-08-14 NAMIKI Vanishing Point 14K-B インクフロー改善 
2008-08-11 1960年代 Montblanc No.149 14C-M 首軸破損 
2008-08-09 Parker Victory 酔いどれの後始末  
2008-08-06 Montblanc No.149 18C-EF ペン先曲がり   
2008-08-04 Sheaffer インペリアル 14K-F 手が伸びるペンに!      
2008-08-02 Montblanc No.149 14C-F ピストン動かず・・・    
2008-07-30 Pelikan M700 雑巾トレド 18C-M 書き味微調整    
2008-07-28 Montblanc No.144G 14C-OB→B 研ぎ出し    
2008-07-26 Parker Duofold International 18C-XXB 生贄    
2008-07-23 1950年代 Montblanc No.142 14C-M 書き味向上     
2008-07-21 Parker Duofold センテニアル 18C-XXB 生贄       
2008-07-19 1950年代 Montblanc No.146 14C-BB 生贄      
2008-07-17 Pelikan 500N 茶縞 14C-M インクフロー改善      
2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上     
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換   

2008-06-30 Pilot 旧エラボー 14K SB ペン芯乖離                     
2008-06-28 Warl Eversharp Red Ripple 14K-Flexible                      
2008-06-25 Pelikan M800 18C-M 現行品最高の書き味に!   
2008-06-23 Marlen スケルトン 18K-M 掠れと出過ぎ   
2008-06-21 Montblanc No.342 14C-EF ひっかかり 
2008-06-18 Sheaffer Tuckaway 14K-XF ペン先曲がり   
2008-06-16 AURORA 88 14K-B 書き出し掠れ解消   
 
2008-06-14 Montblanc No.234 1/2G 14C-OB 斜面調整      
2008-06-11 Montegrappa 八角軸 バーメイル 18K-B 背開き

2008-06-09 Sailor キングプロフィット 21K-M ほんの少し・・・

2008-06-07 Montblanc 50年代No.146 14C-OB 斜面調整 
2008-06-04 Sheaffer PFM ?&? 部品そろえ!    
2008-06-02 性懲りもなく、ドボドボイジャー排斥への挑戦 
2008-05-31 Parker 75 赤ラッカー 18K-B 西の・・・・
2008-05-28 Pelikan 旧M800 18C-F EN+刻印  
2008-05-26 Platinum 純銀軸 18C・WG-Music 段差修正
2008-05-24 Pelikan M250 緑マーブル 14C-M カビと段差     
2008-05-21 Waterman セレニテ・ドラゴン 18C-M インク漏れ 
2008-05-19 Sheaffer Snorkel 14C-XF 内臓はボロボロ? 
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2008-05-14 Pelikan M400 茶縞 生贄:やりたい放題  
2008-05-12 セーラー・プロフィット・・・女王からの宿題 その2 
2008-05-10 Montblanc No.252 14C-F インクフロー改善
2008-05-07 Pelikan 400NN 14C-F 超硬いピストン
2008-05-05 masahiro エボナイト軸 ペン先交換   
2008-05-03 女王陛下のプラチナ・ミュージック   

Posted by pelikan_1931 at 10:00│Comments(10) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
怠猫しゃん

スネークウッドは必ず裂け目が出来てくるので、萬年筆には向かないと聞いた・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月15日 23:21
pelikan_1931様

>筆圧紳士殿の写真展
行ってきました。
お祈り紳士もいらっしゃいました。
モノクロームって味がありましゅね。
水墨画のような幽玄さがでてましゅた。
pelikan_1931様とはどうやら、行き違いになったようで...
帰りに某百貨店のステッキ売り場にて、
蛇木を鑑賞していたら、2本が目前に...
“こんなものもございます...”@3本目。
「万年筆の軸が何本取れるのかしら...」
不謹慎なことを考えながら鑑賞してきましゅた。
Posted by 怠猫 at 2008年09月15日 18:11
怠猫しゃん

そういえば、本日から2人の筆圧紳士殿の写真展じゃな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月15日 08:24
yakumo しゃん

立て続けに4本1950年代No.146を調整して、やっと方向性が見えてきた感じがする。生贄提供ありがとしゃん!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月15日 08:22
らすとるむ様
わ〜い♪
初コメント。(猫@小躍り♪)
いや、あのブランドって6桁が普通じゃないですか...
白星には免疫があるんですが、つい尻込みしちゃうんです〜(^^;
あ、絵が書いてないものだと猫の前足が届くんですが(^^)

pelikan_1931様
>中字好きになりますぞ
やはり...
筆圧紳士さまと会談させていただいたおりにも14CのMを勧められました。
最近,原稿用紙にB以上で書くと字がド○エもんになることに気がつきました。(TT)
まともに原稿用紙にかけるペンは149(B)とM800(M),PILOT65(M)しかありませんでした...(^^ゝ
Posted by 怠猫 at 2008年09月14日 14:13
マタまた又玉...感謝です! <(_ _*)>

今回の146...も〜衝撃的な書き味としか言いようが
ありましぇん。

この激変ぶりはスゴ過ぎ〜! \(^^)/
Posted by yakumo at 2008年09月14日 13:06
らすとるむしゃん

良い記憶力ですな!たしかに王子が持っていらっしゃいます。拙者の所からお嫁にいったものです。
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月13日 23:59
怠猫しゃん

そのうち、中字好きになりますぞ。あと20年ほどしたら・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月13日 23:58
こんばんは。

猫さん。あぁ〜〜!
紐がないと命が危ないので・・・・
ここは少し落ち着いてください。

50号@ナミキのコースですか・・・・うん〜〜
王子が持っていたような気がするなあぁぁ・・・。
Posted by らすとるむ at 2008年09月13日 20:16
>あまりにすばらしく大きな【タマタマ】なので

猫、まっしぐら!でしゅ。

馬に人参、猫に...

なんで50号@ナミキにコースがないんでしゅかねぇ...

付けてくれれば、猫は紐なしで清水の舞台からバンジージャンプするでしゅ。(^^;

Posted by 怠猫 at 2008年09月13日 19:03