2008年09月21日

拙者がペンポイント研磨を始めたきっかけとなった万年筆に遭遇!

 らすとるむしゃんは、昨日の裏定例会にずいぶんと遅れて参加された。猫を引き取りに出かけていたとか・・・

 猫好きのらすとるむしゃんは、20匹を超える猫を飼っているが、数年前にあるご夫婦に一匹お譲りした。ところがそのご夫婦が離婚し、猫は男性が引き取った。しかしながらやはりちゃんと面倒が見られなくなり、再度らすとるむしゃんが引き取る約束になっていたとか。

 その猫がしばらく前に男性宅から失踪して心を痛めていたところ、【帰ってきた!】との連絡をうけ、急遽引き取りに行った為に遅れての参加だった・・・心優しいらすとるむしゃんらしいエピソードじゃ。

 そのらすとるむしゃんが、【師匠がペン先研磨を始めるきっかけとなったと思われる萬年筆がいま手元にあります】とおっしゃる。

 すぐには意味がわからなかった・・・

 拙者が初めて自分用に購入した高級萬年筆はウォーターマン ル・マン100で1983年の年末。1884年秋には他人の萬年筆(1984年入社の新入社員)と比較して、自分の萬年筆の書き味が悪いことに気付いた。

 当時は書き味を良くするには、ひたすら書きまくれば良いという情報しかなかった。しかし、いくら書き込んでも書き味は良くならない。

 それなら紙の種類を変えればよいということで、トレーシングペーパーや粗い紙、ケント紙などいろんな紙で実験していたが、まったく効果は出ず、悶々としていた。

 そして1986年には部に新入社員が50人ほど入社した。その中に萬年筆好きが一人いた。スタイルは藤原紀香、顔はアンジェリーナ・ジョリー、そして性格は・・・和田アキ子という美人秘書。すぐに上司をどづくのだが、力が強いので小柄な男性はひとたまりもなかった・・・

 幸いにして拙者は当時から巨体だったのでかろうじてどづかれることに甘んじていた。ちなみに拙者は1975年入社ゆえ彼女の11年先輩にあたる課長だった。

 あれは1987年ごろだったと思うのだが、3人でお昼休みに萬年筆談義をしていたとき、拙者が【オマスの書き味が悪くて折ろうかと思う】・・・という話をしたところ、美人秘書が・・・

 【あ〜ら、私のパパは緑色のペリカン万年筆のペン先をサンドペーパーの上で削っていてよ、すんごく書き味が良くなるって言ってたわよ】と漏らした。

 ビビビと来た!すぐに【午後は休む!】と美人秘書に伝えて各所をまわってサンドペーパーやら砥石やらを買い込んで自宅に帰り、その日のうちに数十本の萬年筆のペンポイントを無くしてしまった・・・

 そう、拙者をペンポイント研ぎの道へいざなったのは、【あ〜ら、私のパパは緑色のペリカン万年筆のペン先をサンドペーパーの上で削っていてよ】という台詞だったのじゃ。

 らすとるむしゃんは、【知り合いの、知り合いの、知り合いの、知り合いというようなルートでペリカン万年筆の修理が持ち込まれました。長身の美人で師匠の事をむっちゃんと呼んでました。なんでも父上のペリカンを復活させようとペリカンジャパンに持ち込んだそうですが、直りませんと断られましたとか・・・】

 おお、それならサンドペーパーの上で削られていた萬年筆の可能性は高い!さっそく見せてもらうと、それはPelikan 120だった! スチールペンのペン先は斜めにナイフで切ったように削られている!間違いない!拙者のペン先調整の原点となる萬年筆に、初遭遇!

 ペン芯は折れ、ペン先もサビ、至る所に不具合があるが、ここはらすとるむしゃんの技で何とか胴体は再生して欲しいものじゃ。ただしペンポイントだけは拙者が調整したい。事前に調整前の画像をたくさん撮ってから・・・

 しかしよく考えてみれば、原点を知らないまま突っ走ってしまっていたのか・・・

 むかしから上司に【おまえは意図に反応しないで、言葉に反応する】とよく注意されていたが、やっと意味がわかった。

 たしかに、【あ〜ら、私のパパは緑色のペリカン万年筆のペン先をサンドペーパーの上で削っていてよ】という言葉に反応していた・・・

2008-09-21 012008-09-21 022008-09-21 032008-09-21 04



Posted by pelikan_1931 at 10:10│Comments(25) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 
この記事へのコメント
syokubutsuen99 しゃん

本人(美人秘書)に経緯を電話で確認してみたら、
・修理したくて友人知人に手当たり次第に声をかけていた
・その中の一人がBUN2を見て、らすとるむさんを発見
・近所にお住まいですよと本人に連絡
・見せてもらったBUN2の別のページに拙者を発見
・らすとるむしゃんと面識のある人を捜して、修理依頼をした・・・
ということらしい。いくら何でも見ず知らずの人に修理依頼を持込んだりはしないのでは?と考えていたが、どうやらBUN2で拙者とらすとるむしゃんが友人と知って持ち込んだということらしい。

きっかけは【BUN2】だった!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月23日 04:40
>らすとるむ様〜。
はい。
そう言えば、名刺交換してませんでしたね。

『19型』に対する興味の最大の理由。それは、国営放送の太平洋戦争を扱った番組内で、南方の日本軍機の残骸とともに、現地の方と思しき人が『セイコーシャー』と言って錆だらけのムーブメントを見せたシーンが印象に強く残ってるのです。
金ペン作りで知られたIさんが佐倉連隊にいたのも驚きでした。祖父もここに入り、満州へ2度行きましたんで。
Posted by 三日堂 蓮覇 at 2008年09月22日 21:15
夢のある話。あまりにも偶然なめぐり合わせ。
趣味の世界を突き詰めていくと時々起こる不思議な事件。
自分では気づかぬままに心の奥で望んでいたことなのでしょう。
偶然はそれを望むものの目の前にあらわれるものかもしれませんね。
Posted by syokubutsuen99 at 2008年09月22日 20:56
紅鈴しゃん

インクを入れないで飾っておくだけなら・・・綺麗なままです。

インクを入れるなら毎日使って上げて下され。
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月22日 05:58
む. しゃん

カルメン・マキ・・・デビュー曲をラジオで聞いて、体に震えが走った記憶があります。ヒットを当てた唯一の曲でした。
【時には母の無い子のように】 すごい詩でした。もっとも詩を理解して歌っているようには思われませんでした。もっとも拙者は今でも、この詩を十分には理解していませんが・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月22日 05:57
ポンちゃん

奇抜なアイデア・・・期待しています!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月22日 05:48
Perikan san

素敵なお話ですね。
心に沁みてきました。

写真の子すさまじい状態ですね。
私も未来の子達にあのような状態にならないよう・・・
次の世代に渡せなくなってしまう。
(その前に渡す子孫を準備しないといけませんが。)

これらから勉強しないと・・・
Posted by 紅鈴 at 2008年09月21日 23:53
縁(えにし)とはかくもドラマティックなものなのですねぇ。あぁ、運命の瞬間にボクもいたかったぁ。
カルメンマキを聞きながらブログを読んでいたものですから、余計に沁みます。くぅ〜
Posted by む. at 2008年09月21日 22:36
昨日はあわただしくお邪魔しまして申し訳ありません。
次回こそゆっくり参加いたします!
原点の万年筆、非常に興味深く拝読しました。
万年筆にまつわるエピソードは、どれも面白いですね。

昨日分けていただいた手ぬぐいですが、今ちょっとしたアイデアを画策中です。うまくいったらお披露目します(大したアイデアではありませんが‥)
Posted by ポンちゃん at 2008年09月21日 22:28
三日堂しゃん。

インク落としの実験ご苦労さんでした。何度も洗浄して手が真っ赤!!
298さんにセイコー19型を見せてもらったし・・・これはゼロ戦のコクピット・クロックの原型だそうで名器でした。三日堂さんの回虫いや懐中時計また見せて!

怠猫しゃん。

猫さんも女王様キャラお好きのようで・・・・・。
いっしょにエイミー・ワインハウスのコンサートに行ってワインハウスに殴られてみませんか?
歌の合間に酒を呑みだし、そのうち歌の途中でも酒を呑んで・・・最後はベロベロです。酔った勢いで客とケンかしたりと・・・でも歌は上手いです。新人ながら2008年グラミー賞主要5部門を受賞は伊達では有りません。体は刺青だらけでこんなにお行儀の悪い歌手はいませんネ!。でも、すげ〜〜〜。
Posted by らすとるむ at 2008年09月21日 21:08
怠猫しゃん

調整師に向いているかも・・・

拙者も、らすとるむしゃんも、しんのじshんも女王キャラに弱そうじゃ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 20:38
らすとるむしゃん

まさに! 持ってきた女王様も当然そのことを知りませんからな。

パパの万年筆、ペリカン、ペンポイントの異様な研がれかたから類推されたのでしょうが、その推察力に感服!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 20:35
師匠の原点ともいえる「伝説の万年筆」に遭遇して大興奮状態です。

しかし、この万年筆が当該の伝説万年筆であると偶然にも気が付くところが流石!!(霊感調整士?)・・・誰も褒めてはくれませんが・・・自分自身を褒めてやりたい気分です!!・・・いやいや不思議なめぐり合わせに感謝。

ちなみに、ペリカン・ジャパンでも当然気が付かなかったし・・・私の元に来ない限りはこの万年筆が発掘されることは無かったのでは???偶然なのか必然なのか・・・神秘的でもあります。紙様いや神様が裏で糸を引いているような??

ところで、アンジェリーナ・ジョリーさんは知りませんでしたが女王様キャラだそうで、私も音楽関係では女王様キャラが大好き・・・最近ではエイミー・ワインハウスが大好きです。とてつもない女性シンガーだと思っています。今は麻薬と酒とタバコでヘロヘロですが2006年と2007年のパフォーマンスは素晴らしい。
是非とも聴いて欲しい歌手です。髪型ビーハイブ・ヘアーだけでも一見の価値ありです。スタイルもすげ〜〜〜!!
Posted by らすとるむ at 2008年09月21日 20:24
らすとるむ様の最新スペシャルたなぼたといい、管理人様の調整師ルーツペンとの遭遇…。
自由が丘は私にとって、吉方位だった様ですね。
写真撮影した者の1人として、立ち会えて光栄です。
Posted by 三日堂 蓮覇 at 2008年09月21日 19:33
>姉御キャラというか、女王様キャラというか・・・
いいなぁ。
猫も永久仕官の口をさがしましょうかね...
Posted by 怠猫 at 2008年09月21日 19:07
怠猫しゃん

どうやら拙者は回りに和田アキ子タイプを集める力があるようじゃ。
姉御キャラというか、女王様キャラというか・・・
同居人は両方兼ね備えておるので最高に幸せ!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 18:58
ユウしゃん

お久しぶり! 体力は大丈夫ですか?
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 18:56
楽しそう♪

>かろうじてどづかれることに甘んじていた。
剛毅な御方でしゅね...
猫のご近所にもいるので光景が目に浮かびましゅ。
Posted by 怠猫 at 2008年09月21日 18:55
しんのじしゃん

画像を追加しておきました。すさまじい状態です。
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 18:54
らすとるむしゃん

拙者は勝手にPelikan 400NN復刻版と想像していたが、120とは以外じゃった。しかもEFとは!
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 18:51
快ショク快ペンしゃん

レッドインクは安い萬年筆でないとリスクが高そうですからな・・・
拙者はいくらでも換えの効くNo.149とかM800に入れておる。
Posted by pelikan_1931 at 2008年09月21日 18:50
これは良い話ですね。
Posted by ユウ at 2008年09月21日 16:39
素晴らしい巡り会いですね〜!!!
拝読していて熱くなりました^^;

その美人秘書さんとの合わなければ、今の師匠はいらっしゃらなかったのかもしれず・・・
是非、その万年筆にも会ってみたいと思うのでした。
Posted by しんのじ at 2008年09月21日 15:18
師匠恐れ入ります。

そうですね、ペン先ユニット(ペン先、ペン芯、ソケット)は師匠に入念に修復していただいて・・・・本体(吸入機構を含めた軸とキャップ)は私が修復したいと思います。
師匠の大恩人万年筆は弟子の私にとっても大恩人で御座います。
何とか立派に修復してみたいものです。
しかし、現物がレアなペリカン120グリーン軸、ペリカンの緑本の156ページ掲載の1955〜1965製造の物・・・一般的な140のような緑縞ではなく薄い緑一色のボディーです。致命傷は首軸の大きな割れ、それ以外は主軸のひび割れ無数、キャップの割れ、天冠の割れ・・・・使えそうなのはペン先とクリップのみという状態です。どこかに120グリーン軸が転がっていませんでしょうか???。
グリーン軸が手に入れば前代未聞の大博打に打って出ます。
Posted by らすとるむ at 2008年09月21日 13:19
昨日はお世話になりました。
古山さんが執筆された「万年筆の達人」の中で紹介されていたエピソードの万年筆との出会いの場面に遭遇したことはラッキーでした。凄い状態の万年筆がどのように再生されるか楽しみです。
私の万年筆も再生していただき、ありがとうございます。しかしこの万年筆の使い方は悩みます。レッドはインクを抜き、洗浄中です。
Posted by 快ショク快ペン at 2008年09月21日 11:29