2008年09月27日

土曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・ 】

2008-09-27 01 またまた1950年代No.146。最近以前ほど騒がれなくなったせいで相場が落ち着いたのか、入手する人が増えている。

 No.149よりはマシだが、かなり壊れやすくなっている(製造後50年以上経過)ので、大事に大事に使ってあげて欲しいものじゃ。今回の依頼内容は【もう少し柔らかい書き味に・・・】ということ。

2008-09-27 022008-09-27 03 ペン先をつぶさに観察すると、やはりスリットが詰まっている。元々詰まっているのか、経年変化で詰まるのか、はたまた修理する際にペン先を詰めるのが決まりだったのか・・・ほとんどのVintage Montblancのペン先はスリットが詰まっている。

 そして右画像の拡大図を見ると、向かって上側のペンポイントの根元に小さな切れ込みのような部分がある。

 筆記には影響はないが心配ではある。あまり無理な力をかけるとポロっと落ちてしまうかも知れない。こういうのは、調整前に十分確認しておかないと不測に事態に陥ることがある。

2008-09-27 042008-09-27 05 横顔を見ると全体に多少猫背気味。この多少の猫背がタッチの硬軟に大きく影響していることを最近発見した。

 ホンの少しハート穴の前当
たりにかかる曲げの力を減じてやるだけで書き味は激変する。タッチが嘘のように柔らかくなるのじゃ。そこでペン芯を多少反らせ気味にしてペン先を上に曲げるような力を与えることにした。

 今回は1950年代前期のフラットフィーダーなのでそういう加工が非常にやりやすい。

2008-09-27 06 ペン先を首軸から抜いて、エボ焼けを清掃した状態。そして多少スリットを拡げるべく、先端部の猫背を修整した。

 よく見ると先端部がホンの少し開いているのがわかる。この開きをペン芯の反りによって、多少強調するような状態にしておけば、ペン先はすぐに反ろうとする。逆に猫背方向へは行きにくくなるので、タッチは安定的に柔らかい。

 誰にでも合う調整ではないが、依頼者は低筆圧5兄弟の一人。これくらいしなければ書き出しでの掠れが出てしまう。

2008-09-27 082008-09-27 07 こちらが首軸に取り付けた状態での画像。スリットがペン芯によってさらに拡がっているのがわかろう。

 そしてペンポイント根元の切れ込みも、ここまで拡大すれば明白じゃ。幸い鈍角の切れ込みなので、何かに引っ掛かって飛ぶことはあるまい。

 M程度に削って切れ込みを目立たなくしようという考えは持たないように!グラインダーにかけたらペンポイントが飛んでしまうかも知れない。今のままなら普通に書いていれば何の問題もない。無駄な力をかければ寿命が縮むだけじゃよ。

2008-09-27 092008-09-27 10 こちらが調整後の横顔。調整前と比べると、猫背が多少矯正されているのがわかる。

 この矯正によって書き味が好転した。これを依頼者以外に知ってもらうことが出来ないのが残念じゃ。調整前を知っているのは依頼者と拙者だけだからな・・・

 萬年筆の世界では【調整】はチューニングと同じ。既製品のエンジンをチューニングして馬力やトルクを上げたり、乗り心地を調整する程度の技。

 若い萬年筆なら色々な改造を施しても大丈夫だが、Vintage萬年筆はおじいさん。せいぜい【入れ歯】程度のチューニングが限度と考えている。


【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
     
   


【これまでの調整記事】

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Posted by pelikan_1931 at 14:14│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整