2008年11月12日

水曜日の調整報告 【 Sailor Long Size モザイク 21K-M 長刀 ひっかかる・・・ 】

2008-11-12 01 今回の依頼品はセーラープロフィット長軸。拙者も同じ大きさの物を持っている。TAKUYAで専用ケースを作ってもらい、毎日吊して出勤している。

 依頼内容はペン先の微調整。使っているうちに縦線がカリカリと引っ掛かるようになったとのこと。この症状はペン芯とペン先のスリットとに位置がズレて段差が出来ている場合に発生しやすい。

 インクフローには問題がないと言うことなのでペンクリ調整でも、チョチョイノチョイで出来る程度。今回なぜ、Blogで取り上げたかと言えば・・・預かり調整では、書き味だけではなく、全体の見映えにもこだわるということを伝えたかったからじゃ。

2008-11-12 022008-11-12 03 こちらが調整前のペン先の様子。典型的な長刀調整のペン先。

 一見、スリットが詰まっているように見えるが、密着しているのはペンポイントの先端部のみで、腹の部分には必要十分な隙間がありインクフローには問題無い。

 それにしても見事に反っている!拙者は最初期の長刀研ぎのユーザだと思うが、当時は萬年筆をかなり立てて書いていた。従って長刀を使うと実に気持ちよく書けた。

 今では萬年筆を極端に寝かせて書くので、長刀研ぎだと紙に付くインクの位置と、このあたりにインクが付くはず・・・と予想している位置とがズレてしまう。いわゆる視差が出る。stand_talkerしゃんが【ピントがずれる】と表現した現象が発生する。従って拙者は、長刀のペン先を通常の研ぎの物と取っ替えて使っている。

 依頼者はそれほどペンを寝かせては書かないので、【ピントずれ】は発生しないと思われる。

2008-11-12 04 ペン先のJISマークの下側に604との刻印がある。セーラーの刻印の採番ルールはよくわからないが、2004年の6月に製造されたペン先かもしれない。ご存じの方はコメントを・・・

 このペン先を見ていると無性に表面を研磨してピカピカにしたくなる。

2008-11-12 052008-11-12 07 実際にやってみたのがこちら。表面の傷を完璧に取り除いた。

 これは大きめのゴムブロックの端を、二つ折りにした金磨き布で覆うようにし、そこにペン先を強く押しつけて左右に早く動かせばよい。ものの数分で傷は消えてしまう。

 なを右側の画像は単に清掃しただけではなく、先端部や腹を研いである。

2008-11-12 062008-11-12 08 実は今回はペン先の寄りを強くした。通常なら寄りを強くすればインクフローが悪化するが、長刀研ぎの場合、重要なのはペンポイントの先端部ではなく腹の部分。そこを丸めて、多少の筆記角度変化には耐えられるようにしたが、そのせいで字巾が多少太くなる。その細かな変化を修整するために、寄りをわずかに強くしたというわけじゃ。

 立てて書けば細字、寝かせて書けが超極太、ペン先をひっくり返して書けば極細を実現した。あまり奨められることではないが、長刀の書き味の妙味はペン先をひっくりが得して書いたときにある。ひょっとすると【細美研ぎ】は長刀をひっくり返して書くときの書き味を狙ったのではないかと、フト・・・思った。真相や如何に?


【 今回執筆時間:4時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


【これまでの調整記事】

2008-11-10 Montblanc No.149 14C-EF ペン先交換     
2008-11-08 HAKASE Jade Green 14K-F  インクフロー絞り     
2008-11-05 1950年代 Montblanc No.142 14C-B ?     
2008-11-01 Pelikan M800 18C-M → 18C-B(PF) 交換しての仮説   
2008-10-29 Sheaffer Snorkel 14C-F サック硬化、そしてポロリ・・・
     
2008-10-13 Pelikan M805 18C-F 上品な書き味に      
2008-10-08 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB 何か変?     
2008-10-06 1990年代 Montblanc No.146 14K-BB 激変      
2008-10-04 1980年代 Montblanc No.149 14C-BB   
2008-10-01 1950年代 Montblanc No.146G 14C-M ペン先干渉    
2008-09-29 Montblanc Dumas 18K-M 新品      
2008-09-27 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・      

2008-09-24 1950年代 Montblanc No.146G 14C-B クレーター       
2008-09-22 Pelikan 500NN 黒縞軸? 14C-EF 超段差!      
2008-09-20 Montblanc No.149 18C-F ペン先曲がり復活!       
2008-09-17 1950年代 Montblanc No.144 14C-KM 封印の呪い        
2008-09-15 WARL 金張り Pencil Set 14C-M ペン芯が緩い・・・            
2008-09-13 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB → KB 却下!
2008-09-10 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく 
2008-09-08 梅田阪急限定ブライヤー 21K-M・・・シャリシャリ感撲滅
2008-09-06 Montblanc No.242G 14C-KF クーゲルの書き味ではない 
2008-09-03 Sheaffer PFM- 幻の18K-B ニブ・・・インク吸入せず
2008-09-01 Montblanc No.134 14C-OB ペン先波打ち修整
2008-08-30 柘製作所 マイカルタ 21K-B ペン先段差   
2008-08-27 1950年代 Montblanc No.144 14C-OBB 生贄 
2008-08-25 1960年代 Montblanc No.72 ペン先曲がり、そして・・・
2008-08-20 Montblanc No.146 14K-F 首軸よりインク漏れ 
2008-08-18 Pelikan M800 現行品 18C-M 軽い引っ掛かり 
2008-08-16 1970年代 Montblanc No.149 14C-F 尻軸ユニット破損 
2008-08-14 NAMIKI Vanishing Point 14K-B インクフロー改善 
2008-08-11 1960年代 Montblanc No.149 14C-M 首軸破損 
2008-08-09 Parker Victory 酔いどれの後始末  
2008-08-06 Montblanc No.149 18C-EF ペン先曲がり   
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2008-07-30 Pelikan M700 雑巾トレド 18C-M 書き味微調整 
2008-07-28 Montblanc No.144G 14C-OB→B 研ぎ出し    
2008-07-26 Parker Duofold International 18C-XXB 生贄
2008-07-23 1950年代 Montblanc No.142 14C-M 書き味向上
2008-07-21 Parker Duofold センテニアル 18C-XXB 生贄
2008-07-19 1950年代 Montblanc No.146 14C-BB 生贄
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2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換   


Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
チンさん

なるほど、その方が時代としては合っているようですね。ありがとう!
Posted by pelikan_1931 at 2017年08月20日 08:15
このペン先は
1996の4月と思います
Posted by チン at 2017年08月19日 11:26
syokubutsuen99 しゃん

細美研ぎを見たときに、ヤラレタ!と思った。らすとるむしゃんも同意見じゃった。

通常は腹側を研いで細くするのを、背中を研ぐというアイデアに感心した・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月16日 10:33
ひょっとすると【細美研ぎ】は長刀をひっくり返して書くときの書き味を狙ったのではないかと、フト・・・思った。真相や如何に?

この意見に賛成です。
細美の先端形状を見た瞬間、
「これって、ひと昔前よくあったペン先の裏研ぎ(という言葉が
あるかどうか知らないが)に似ている」でした。
いわゆる五角形研ぎの山の部分を表にし、反対側(通常の表側)
のイリジウム不要部を落とし弾性アップを期待したのでは?
と勝手に思っています。
Posted by syokubutsuen99 at 2008年11月12日 23:16