2008年11月15日

土曜日の調整報告 【 1970年代 Montblanc No.149 14C-B キュッキュッ! 】

2008-11-15 01 今回の依頼品は1970年代のMontblanc No.149じゃ。ペン先は14C-B。インクがほとんど出てこない・・・ということでお預かりした。

 ペンクリ会場でも直すことは出来るのだが、状態があまりに良かったので、時間をかけて慎重に調整することにした。

2008-11-15 02 このペン先の美しさは尋常ではない。ルーペで覗いていても、スキャナー画像であっても、つい見とれてしまう。やはり中白ニブは美しい!

 斜面が急なニブはタッチが柔らかく、実に良い雰囲気で書けるものだが・・・この個体はインクがほとんど出ない。キュッキュッ!と軋むような音がする。断じてペン鳴りではなく、油の切れた機械のよう・・・。確かにペン先のスリットは詰まっているが、それだけではなさそう。

2008-11-15 032008-11-15 04 横顔を見ると、ずいぶんとペン芯が前まで伸びているような感じになっている。いくら何でももう少しペン芯を後退させないと美しくない。

 ペン先のスイートスポットも、ずいぶんと萬年筆を立てて書く位置に作られている。依頼者の筆記角度では、一番不味いところが紙に当たってしまう。本来ならガシガシ削った方がよいのだが・・・

 実は、これは国宝級に状態が良い。1970年代製で、これほどの状態で残っている物は日本の店頭在庫にはあるまい。これは普通に書ける状態にしておいて、次世代に伝えて貰いたい逸品じゃ!

2008-11-15 052008-11-15 06 インクフローが極端に悪い原因の大半はコレ!すなわちエボ焼け。これほどまでにすさまじいエボ焼けは見たことがない。実に美しい

 しかもインク滓がまったく付着していない。胴軸の中にも汚れは皆無。インク窓の樹脂の乱れも皆無。すなわちまったくのMint状態で入手したものらしい。拙者の物ならこのままエボ焼けを残したまま保存するのだが、書ける状態にして保存しなければ次世代に伝える意味はない・・・

2008-11-15 072008-11-15 08 ということで、エボ焼けを全て取り去り、スリットを拡げてインクがスムーズに出るような調整を施した。

 エボ焼けというドーランを落とすと、ペン先の素顔が見えてくる。つややかで、まるでBabyのホッペのよう!ごくわずかに開いたスリットも慎ましやかでよい。

2008-11-15 09 このペン先は厚さが薄い。従ってペン芯に乗せて胴軸に突っ込むとどこまででも押し込んでいけそうな感じさえする。かなりしっかりと押し込んでおかないと、ペン先とペン芯がグラグラする。ペン芯を後退させた上に、ペン先を以前よりもう少し奥に押し込んだので、安定感は増したはず。

 もっとも以前はエボ焼けで摩擦抵抗が大きかった部分もあるので、ここまで押し込んでも安心は出来ない。ただ、これ以上押し込むと、胴軸内に突き出してしまうので、ここが限度。しかもペン先が実際より一番幅広に見えるポイントがここ。ほぼベストポジションで決まった!

2008-11-15 10 ペン先削りは、ほとんどやってない。萬年筆を多少寝かせて書いてもインクが出るようにしただけ。あくまでも現状保存を前提に調整した。

 この状態でも十分書けるが、依頼者はたくさん萬年筆を持っているので、これを無理に使う必要も無かろう。つい最近も、海外から使うことを前提としない?萬年筆も届いたようだし・・・

 また一本、萬年筆研究会【WAGNER】の国宝が増えた。持主は特定した。呪いもかけた。あとは監視するだけじゃ!



【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


【これまでの調整記事】

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2008-11-10 Montblanc No.149 14C-EF ペン先交換     
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2008-11-05 1950年代 Montblanc No.142 14C-B ?     
2008-11-01 Pelikan M800 18C-M → 18C-B(PF) 交換しての仮説   
2008-10-29 Sheaffer Snorkel 14C-F サック硬化、そしてポロリ・・・
     
2008-10-13 Pelikan M805 18C-F 上品な書き味に      
2008-10-08 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB 何か変?     
2008-10-06 1990年代 Montblanc No.146 14K-BB 激変      
2008-10-04 1980年代 Montblanc No.149 14C-BB   
2008-10-01 1950年代 Montblanc No.146G 14C-M ペン先干渉    
2008-09-29 Montblanc Dumas 18K-M 新品      
2008-09-27 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・      

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2008-09-22 Pelikan 500NN 黒縞軸? 14C-EF 超段差!      
2008-09-20 Montblanc No.149 18C-F ペン先曲がり復活!       
2008-09-17 1950年代 Montblanc No.144 14C-KM 封印の呪い        
2008-09-15 WARL 金張り Pencil Set 14C-M ペン芯が緩い・・・            
2008-09-13 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB → KB 却下!
2008-09-10 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく 
2008-09-08 梅田阪急限定ブライヤー 21K-M・・・シャリシャリ感撲滅
2008-09-06 Montblanc No.242G 14C-KF クーゲルの書き味ではない 
2008-09-03 Sheaffer PFM- 幻の18K-B ニブ・・・インク吸入せず
2008-09-01 Montblanc No.134 14C-OB ペン先波打ち修整
2008-08-30 柘製作所 マイカルタ 21K-B ペン先段差   
2008-08-27 1950年代 Montblanc No.144 14C-OBB 生贄 
2008-08-25 1960年代 Montblanc No.72 ペン先曲がり、そして・・・
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2008-08-11 1960年代 Montblanc No.149 14C-M 首軸破損 
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2008-08-06 Montblanc No.149 18C-EF ペン先曲がり   
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2008-07-23 1950年代 Montblanc No.142 14C-M 書き味向上
2008-07-21 Parker Duofold センテニアル 18C-XXB 生贄
2008-07-19 1950年代 Montblanc No.146 14C-BB 生贄
2008-07-17 Pelikan 500N 茶縞 14C-M インクフロー改善
2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換   


Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
Bromfield しゃん

おお、座敷牢にこれから何本の萬年筆が引っ立てられるのか楽しみですな。
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月16日 12:41
怠猫しゃん

それは、KKKでは?

呪いは、【使用禁止次世代伝承】の呪いといって、三回唱えると使えなくなる。ただし、拙者が欲しくなった時には、自由にのろいが解ける。

合言葉は・・・イフタムヤーシムシム・・・ではない。
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月16日 10:38
丹念な調整と、「国宝」認定、有り難うございました。この万年筆、eBayで最初に購入した万年筆で、なぜか他から入札もなく、落札出来たものです。縁があったのでしょうか。

本日裏定例会で受け取らせていただき、帰宅後、もう一度ルーペにて細部を鑑賞してから、この呪いの掛けられた万年筆は、万年筆収納ケースという座敷牢に封印してしまいました。次の世代が呪いを解くまでは、インクを入れることもなく、たまに夜な夜な鑑賞したいと思います。(私にも呪いが掛けられたのかなぁ。)

「つい最近も、海外から使うことを前提としない?萬年筆も届いたようだし・・・」と、こちらの方にも呪いがかかってしまってしまいました。今まで実用の万年筆しか買わなかったのに。禁断の園に足を踏み入れてしまいました。
Posted by Bromfield at 2008年11月15日 22:42
おつかれさまでした。

>呪いもかけた
白い頭巾を被ってでしゅか???(^^;

しかし、イイ話は堕ちているものでしゅねぇ

「下をむいて歩こう〜♪、よさげなブツを見逃さないように〜♪」

お後がよろしいようで...
Posted by 怠猫 at 2008年11月15日 22:09