2008年11月17日

月曜日の調整報告 【 Pelikan 120 : 伝説の萬年筆 復活! 】

2008-11-17 01 2008年9月21日のBlogで紹介した【拙者がペンポイント研磨を始めたきっかけとなった万年筆】の修理が終了したので報告しよう。

 他のHP等でも既に紹介されているが、らすとるむしゃんが軸を旋盤
で削って割れてしまった首軸を交換するという大手術を行っている。

 らすとるむしゃんは、改造大魔王の病が高じて、ついに旋盤を購入していた事が判明した画像じゃ!

2008-11-17 022008-11-17 03 Pelikan 120の首軸部分を削り、それにネジ付きの別の製品の首軸先端部を差し込むという驚きの大技じゃ。

 いくら密かに習熟していたとはいえ、かなりの慎重さで作業を進め、なんどか冷や汗をかいたのではないかな?

 こういう大技をやるときには、スペアとなる軸が必要。それがないと思い切った作業は出来ない。スペアがあれば安心して作業が出来、結果として、それを使わないで済む事が多い。

2008-11-17 04 これが接合した首軸部分。インク窓は前から曇
っていた。

 とても上のような大作業をしたものとは思えまい。作業の大変さを意識させないのが熟練者の技じゃな。

2008-11-17 05 キャップを挿してみるとピッタリと決まる。ペリカンやモンブランなどの軸とキャップは、時代が変わっても適合する事が多い。

 特にペリカンの標準化には舌を巻く。現行のソケットが400NNなどでも使えるというのは修理する側にとっては涙が出るほど嬉しい。

2008-11-17 06 ちなみに、今回の120は右端のようにペン芯が折れていた。これではペン先を固定できない。 

 そこで真ん中のペン芯を使おうとしたのだが、多少ゆるい感じがした。そこで左端の現行のM400用のペン芯を使うことにした。これならば柔らかいプラスティックで、極わずかに太い(個体差?)のでピッタリと固定できる。

 ペン先根元は腐食しているが、研磨して錆を除去してしまうと耐久性が心配・・・やむなくペン芯を現行品に交換し、エボナイト製のソケットでペン先を固定することにした。

2008-11-17 07 ペン先も現行品、初代ペリスケ用、120用(右2本)を比べてみたが、ソケットできっちりと固定できるのは、元々ついていたニブ、すなわち、伝説のニブだった!

 図では右端。よく見るとペリスケ用のニブではpelikan
のロゴが真っ直ぐに刻印されている。

2008-11-17 08 こちらが首軸に取り付けた画像。表面もかなり腐食している。これ以上の腐食を止めるために、今後はアルカリ性のインクを使って貰うことにしよう。

 元々EFなので、インクフローは抑え気味にしておいた。本人を目の前にして調整すれば具合がわかるが、お会いしたことのない人なので調整は出来るだけ少なめに・・・なんせ、伝説の萬年筆だから!

2008-11-17 092008-11-17 10  こちらがニブの仕上げの状態。元々はサンドペーパーの上で研いで作った書き味で、一切丸めていないものだった。

 従って斜面は真っ直ぐで内側も外側も、一切の丸めはなかった。筆圧が低くて、手首を捻らないで筆記するのであれば、まったく問題なく書ける。ただ、最近は書きにくいと言っていたとのことなので、多少の研磨はしておいた。

 らすとるむしゃんとの共同作業で仕上げてから一ヶ月。調整戻りも止まったので、そろそろ受取人に連絡してみるとしよう!
  
      

【これまでの調整記事】

2008-11-15 1970年代 Montblanc No.149 14C-B キュッキュッ!     
2008-11-12 Sailor Long Size モザイク 21K-M 長刀 ひっかかる・・・     
2008-11-10 Montblanc No.149 14C-EF ペン先交換     
2008-11-08 HAKASE Jade Green 14K-F  インクフロー絞り     
2008-11-05 1950年代 Montblanc No.142 14C-B ?     
2008-11-01 Pelikan M800 18C-M → 18C-B(PF) 交換しての仮説   
2008-10-29 Sheaffer Snorkel 14C-F サック硬化、そしてポロリ・・・
     
2008-10-13 Pelikan M805 18C-F 上品な書き味に      
2008-10-08 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB 何か変?     
2008-10-06 1990年代 Montblanc No.146 14K-BB 激変      
2008-10-04 1980年代 Montblanc No.149 14C-BB   
2008-10-01 1950年代 Montblanc No.146G 14C-M ペン先干渉    
2008-09-29 Montblanc Dumas 18K-M 新品      
2008-09-27 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・      

2008-09-24 1950年代 Montblanc No.146G 14C-B クレーター       
2008-09-22 Pelikan 500NN 黒縞軸? 14C-EF 超段差!      
2008-09-20 Montblanc No.149 18C-F ペン先曲がり復活!       
2008-09-17 1950年代 Montblanc No.144 14C-KM 封印の呪い        
2008-09-15 WARL 金張り Pencil Set 14C-M ペン芯が緩い・・・            
2008-09-13 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB → KB 却下!
2008-09-10 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく 
2008-09-08 梅田阪急限定ブライヤー 21K-M・・・シャリシャリ感撲滅
2008-09-06 Montblanc No.242G 14C-KF クーゲルの書き味ではない 
2008-09-03 Sheaffer PFM- 幻の18K-B ニブ・・・インク吸入せず
2008-09-01 Montblanc No.134 14C-OB ペン先波打ち修整
2008-08-30 柘製作所 マイカルタ 21K-B ペン先段差   
2008-08-27 1950年代 Montblanc No.144 14C-OBB 生贄 
2008-08-25 1960年代 Montblanc No.72 ペン先曲がり、そして・・・
2008-08-20 Montblanc No.146 14K-F 首軸よりインク漏れ 
2008-08-18 Pelikan M800 現行品 18C-M 軽い引っ掛かり 
2008-08-16 1970年代 Montblanc No.149 14C-F 尻軸ユニット破損 
2008-08-14 NAMIKI Vanishing Point 14K-B インクフロー改善 
2008-08-11 1960年代 Montblanc No.149 14C-M 首軸破損 
2008-08-09 Parker Victory 酔いどれの後始末  
2008-08-06 Montblanc No.149 18C-EF ペン先曲がり   
2008-08-04 Sheaffer インペリアル 14K-F 手が伸びるペンに!
2008-08-02 Montblanc No.149 14C-F ピストン動かず・・・
2008-07-30 Pelikan M700 雑巾トレド 18C-M 書き味微調整 
2008-07-28 Montblanc No.144G 14C-OB→B 研ぎ出し    
2008-07-26 Parker Duofold International 18C-XXB 生贄
2008-07-23 1950年代 Montblanc No.142 14C-M 書き味向上
2008-07-21 Parker Duofold センテニアル 18C-XXB 生贄
2008-07-19 1950年代 Montblanc No.146 14C-BB 生贄
2008-07-17 Pelikan 500N 茶縞 14C-M インクフロー改善
2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換   


Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
裏定例会で、この万年筆を最初に拝見して以来、相当ひどい状態の軸が修復されていく様子を見させていただきました。らすとるむさんや師匠の万年筆に対する愛情、執念ともいうべきものを発揮された修復作業は感動的でした。

ペリカン製万年筆の工業製品としての質を見せていただいたことも、私にはよい勉強となりました。
Posted by Bromfield at 2008年11月18日 10:37
らすとるむしゃん

幸いにして? あれは、犠牲者第1号でした・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月17日 23:59
師匠こんばんは。

うあ!!

さすが「○○○女王様」師匠からオマスをせしめるとは・・・恐るべし。
Posted by らすとるむ at 2008年11月17日 23:49
らすとるむ しゃん

本日、連絡をとり、送付することにしましたが、お礼もそこそこに・・・

【当然、あのオマスも同封してくれるんでしょうね!】

相変わらずの、和田アキ子風でした・・・
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月17日 22:17
ポンちゃん さん。

マラソンとは凄い!感心しています。

いや〜〜軸は割れませんでしたが・・・ヒビの入った箇所の切削は要注意です。
首軸の大半が一瞬のうちにすっ飛びました!!冷や汗もいいところ!!

こういう修復加工は出来る事なら二度としたく無いですネ!
なにしろ心臓に悪いです。
Posted by らすとるむ at 2008年11月17日 21:01
師匠・・・恐れいります。

これで、肩の荷が下りました。有り難う御座いました。

なにしろ師匠にまつわる「伝説の万年筆」ですから気合が入りました。

単に使えるように修復するなら軸交換がベストなのですが・・・最大限の現状維持を心掛けました。インク窓の曇りも胴軸の傷や傷み変色などそのままで保存したかった・・・なんせ、伝説の萬年筆だから!

ご推察のようになんどか冷や汗をかいたのも事実です。

また、Bromfieldさんのご厚意で思い切った作業ができました。
有り難う御座いました。
Posted by らすとるむ at 2008年11月17日 20:48
ポンちゃん

湘南国際マラソンでしたな。完走おめでとうございます!
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月17日 07:14
旋盤まで登場するとは、さすがらすとるむさん。
これでかなりの万年筆が救われますね!
しかし、よくバイトが食い込んだり、軸が割れちゃったり
しませんね…相当薄く削り込んでいるなのに、凄い!

あ、師匠、ちなみにマラソンは無事完走出来ました。
体中が痛いです(笑)
Posted by ポンちゃん at 2008年11月17日 07:05