2008年11月19日

水曜日の調整報告 【 Pelikan M1000 18C-3B → 2.2B その2 】

2008-11-19 01 2007年8月22日のBlogで【 Pelikan M1000 2.2B for 書家 】 を紹介したが、同じ物をもう一本!という要望があった。

 前回の調整の後も、2〜3度微調整を繰り返してやっと満足のいく結果になったのだが、正解に至る過程は何通りか思い描いていた。その中で今回はルーターを使って最初の研磨を行う方式を選択した。


2008-11-19 022008-11-19 03 以前のケースでは、ペン先は既に3B→2.5B程度に研磨されていた。今回のも同様で、綺麗に研磨されている。が、2.5Bというより2.6Bくらいかな?

 M1000は元々非常に柔らかいペン先だが、書家はそれでは満足できない。羅紗布の下敷きの上に、便箋を一枚載せ、萬年筆を垂直に立てて、一文字目を筆圧ゼロから書き始めるのじゃ。

 従って書き始めが掠れないようにするのは、並大抵のことではない。一回目の引渡しで、OKが出るとは思われない。なんせ拙者が高名な書家と同じ書き方が出来るわけもない・・・。

 そこで前回の調整を参考にしながら、2.2Bというよりも2.3Bくらいでとどめておき、引渡後の微調整で残りの0.1Bを研磨する事にした。

2008-11-19 04 こちらが調整前の横顔。非常に綺麗な面取りがされている。またペンポイントの背中側でも筆記出来るような調整も施されている。

 ただし書き出しの筆圧ゼロに対応するには、スイートスポットを広めにとる必要がある。実験してみればわかるが、羅紗布の上に置いた紙は、鼻息でも凹むくらいに反応がよい。積み重ねた原稿用紙という一種の堅い板に書くのとは訳が違うのじゃ・・・

2008-11-19 052008-11-19 06 こちらが研磨前のペン先。スリットの具合など名人芸。これでも書き出し掠れと、筆記途中の柔らかさが不足とあらば、やはり前回同様、ペン先斜面も研磨して、さらに柔らかいペン先にするしかあるまい。

 どんな形になっても良いというのであれば、切り割りをハート穴から奥に延長し、エンペラーを付け、さらにフォルカン化するという方策も考えられるが・・・

2008-11-19 072008-11-19 08 こちらが今回の終了状態。斜面はルーターで加工後、円中型の発泡スチロールに両面テープで耐水ペーパーを貼り付けたもので仕上げた。

 前回は後者だけで加工したため、非常に時間がかかったが、今回は前回の写真を見ながらやったので、ルーターでの下作業でも、しまった〜!ということが無かった。完成型を模索しながらやる作業にルーターを使うのは愚の骨頂だが、完成径をなぞるだけならルーターは非常に生産的じゃ。

 前回はペンポイント先端部の外周をかなり丸く研いで紙に当たる面積を減じて2.2Bを作ったが、今回は、まだ一回目の作業ということもあり、外周はいじらないで、内側のペンポイント加工だけで太さを減じてみた。

2008-11-19 092008-11-19 10 筆記角度も前回よりはより立てて書けるように微調整してある。かなり感覚的ではあるが、書き出し掠れ確率は減ったように思う。

 太さは2.2Bには至らず、まだ2.3B程度。これから面談を重ねてより良い太さ、インクフロー、書き出し・・・などを調整していくことになる。一本の萬年筆を利用者と共同作業で、長い時間かけて作り上げていくというのは、なかなか楽しいものじゃ。まさに調整師冥利に尽きる!


【 今回執筆時間:6.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整3.5h 記事執筆1.5h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


【これまでの調整記事】

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2008-11-01 Pelikan M800 18C-M → 18C-B(PF) 交換しての仮説   
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2008-10-13 Pelikan M805 18C-F 上品な書き味に      
2008-10-08 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB 何か変?     
2008-10-06 1990年代 Montblanc No.146 14K-BB 激変      
2008-10-04 1980年代 Montblanc No.149 14C-BB   
2008-10-01 1950年代 Montblanc No.146G 14C-M ペン先干渉    
2008-09-29 Montblanc Dumas 18K-M 新品      
2008-09-27 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・      

2008-09-24 1950年代 Montblanc No.146G 14C-B クレーター       
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2008-09-17 1950年代 Montblanc No.144 14C-KM 封印の呪い        
2008-09-15 WARL 金張り Pencil Set 14C-M ペン芯が緩い・・・            
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Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
yemo しゃん

ペン芯の首軸との位置関係は変わっていないが、ペン先をペン芯の上で前進させたのじゃ。
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月22日 15:00
明文化されてはいませんが、写真を見る限り、
ニブの露出量まで延長しているのですね。
無加力状態での筆記を可能とするべくの
ニブの軟らかさへの執着、恐れいります。
Posted by yemo at 2008年11月19日 15:06