2008年11月24日

月曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.146 白ペン-KM 珍品! 】

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 1950年代のNo.146は、過去何本も修理・調整をほどこしてきたが、スチール製ニブというのは初めて!しかもクーゲルニブ付き!

 症状はまったくインクが出てこないというもの。Montblancのスチール製ニブは、PelikanのCNニブと比べて腐食が酷いような気もするので根元が腐食している・・・という最悪の事態も考えたが、どうやら杞憂であった。

2008-11-24 02 ペン先のスリットの詰まり方は尋常ではない。しかもターンドアップ・ニブのようにかなり上に曲がっている。

 通常は上に反り気味になるとペン先のスリットは開くものだが、ピッタリと閉じたまま。かなり強い力で詰まっていると想定される。

2008-11-24 032008-11-24 04 こちらが横顔。ドヒャー!一端下に折れ曲がってから上に反っている。不自然ではないが、こういうケースはえてしてペンポイントがキャップの内側先端部に衝突して曲がったケースが多い。

 調査してみると、なんとキャップはインナーキャップにぶつかって止まるのではなく、ペンポイントに衝突して止まっている状態だった!これは何とかしなければ・・・

2008-11-24 05 80度程度のお湯に浸して胴体を膨張させ、首軸を外した状態が左画像。もしペン先ソケットに凹穴があれば手作り器具で回して取れたのだが、今回のモデルはソケット方式ではなく、直接首軸にペン先とペン芯を押し込むタイプ。しかも硬く押し込んであるので、引っ張っても抜けなかった。そうなれば首軸を胴軸から外して後からたたき出すしかない。

 なんとか外れたが、あまりにきつい!想像するに、元々は金ペン先が付いていた軸に交換部品としてスチール製ニブを押し込んだのではないか?スチール製ニブのほうが厚いので首軸に押し込むのに大変な苦労が必要。それもあってちゃんと定位置まで押し込めなくて、ペンポイント先端部がキャップ内側に衝突していたのであろう。

 Vintage No.146の欠点はキャップ内部のインナーキャップを止める位置が奥過ぎること。少なくとも4本に一本はペンポイントがキャップ内側に衝突している。もちろん出荷時にはありえないので、その後の修理・調整の間に位置関係がおかしくなった・・・?

2008-11-24 062008-11-24 07 こちらがソケットから外したペン先先端部の画像。

 ペン先根元の腐食はそれほど進んでいない。あまりにインクが出ないのでほとんど使われなかったのであろう。

 この画像を見てもう一つの懸念が出てきた・・・ペンポイントの粒度が粗い!戦後の物資難の時代に作られたペンポイントには酷い品質のものがある。どうやらそれに酷似したザラザラ感じゃ・・・

2008-11-24 08 ともあれ、スリットを拡げてインクが通るようにした。こうするとペン芯との密着度が下がるのでペン芯お湯で反らせ気味にする必要がある。

 いったん反らせたペン芯の上にペン先を載せて首軸に押し込み、その状態でお湯に浸けてペン芯が元の位置にもどる寸前で冷水に浸ける・・・いつものやり方じゃ。

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 計測してみると、キャップのインナーキャップの位置から天冠内側までの長さが、首軸先端からペンポイントの長さよりも1舒幣綯擦い箸いΠ枉鏤態。しかもペン芯はこの位置よりも奥には入らない・・・ということで、天冠内側を多少削った。0.5ミリでも余裕があれば大丈夫!

 そして書いてみると・・・案の定ザラザラ!超ザラザラじゃ!ペンポイントをいくら研磨してもクレーター状態が直らない。これは余ったペンポイントを集めて再度溶解して作ったリチップ物と同じか、それ以下の品質。

 ただ引っ掛かりは全て取ったので、ザラザラ感にひたる!と割り切れば、結構楽しめる。線物物資難の時代に、やっと手に入れた萬年筆で東独逸に残った家族に手紙を書く・・・なんて場面を想定すれば、このザラザラ感も苦にならないかも?

【 今回執筆時間:5時間 】 画像準備1.5h 修理調整2.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
    

   


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Posted by pelikan_1931 at 11:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整