2008年11月26日

水曜日の調整報告 【 Pilot Elite 銀格子 18K-F 細くてカリカリ! 】

2008-11-26 01 今回の依頼品はパイロット・エリート銀格子軸。現在のシルバーンの原型のようなモデルじゃな。くすんだ銀の感じが実によい。拙者も昔から気になっていたのだが、この手の銀軸には銀色クリップと銀色ペン先であって欲しいという気持ちがあって、なかなか手が出ないままになっている。

2008-11-26 022008-11-26 03 ペン先の刻印を見ると【T579】とある。1979年製のニブということになる。30年近く前の製造かぁ・・・

 当時はニブの太さの刻印が無かったのかとビックリ!またSheafferのように樹脂とペン先を一体成型したものではなく、接着剤でニブを固定した物のように思われるが・・・真実や如何に?

 既に実物は依頼主の元へ帰っているので確認出来ない________
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 症状は、【細くてカリカリするので、少しでも滑らかに・・・】というもの。しかし、いつものようにスリットを拡げることは出来ない。この依頼者は開いたスリットが大嫌いという、大きな自己矛盾を抱えているのじゃ。

2008-11-26 042008-11-26 05 すなわちスリットを拡げず(=インクフロー向上手法を使わず)、研ぎだけで書き味を改善する必要がある。

 細字・・・というか極細?のペン先の書き味改善には、マイクロ・スイートスポットを作り込むしかない。ところがこの依頼者は筆記方向がかなり変化するという、まことに困った書き癖の持主。東の【ダメ出しの女王】に対抗する、京の【なんとかしてくれはりませんかオジサン】なのじゃ。

2008-11-26 06 まずはスリットはペンポイント先端部の寄りを弱くしてみた。多少低い筆圧でもインクが送り出されるはずじゃ。またペン先全体を金磨き布でピカピカに清掃して、小さな傷も全て消してしまった。そして見えない程度にスリットを開くという魔法をかけた。スリットは開いているのだが、そうは見えないような細工を施したわけじゃ。見えなければ気にならないからな・・・

 それにしても美しいニブじゃ。長い間定番品となっているだけの事はある!見つける度に買ってしまう・・・という人がいるのもうなずける!幸いにして拙者は最近出逢っていない。

2008-11-26 07 こちらがマイクロ・スイートスポットを作り込んだペンポイントの横顔。横書き中心のというのが幸いして、筆記方向は変化するが、筆記角度の変化はそれほど無い。そこで一定の筆記角度で耐水パーパーの上で研磨してからエッジを落とした。

 そこからいろんな物を使って微調整にはいる。ここまで細いと書き出し掠れの確率は低いので、手首を捻った際の余裕度をどれだけとるかがポイント。これは相手の癖を熟知していないと無理!幸いにして既に100本以上調整しているので、落としどころはわかる。

 既に持主の元へ帰って行ったが、これから1年間ほどの間には、少しずつ調整戻りが進む可能性もある。特に使わないほど戻りは大きくなる。幸いにしてさっそく使われ出したらしいので、行く末を追ってみたい物じゃ。



【 今回執筆時間:3.5時間 】
画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1
h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
    


【これまでの調整記事】

2008-11-24 1950年代 Montblanc No.146 白ペン-KM 珍品!  
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2008-11-17 Pelikan 120 : 伝説の萬年筆 復活!     
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2008-11-12 Sailor Long Size モザイク 21K-M 長刀 ひっかかる・・・     
2008-11-10 Montblanc No.149 14C-EF ペン先交換     
2008-11-08 HAKASE Jade Green 14K-F  インクフロー絞り     
2008-11-05 1950年代 Montblanc No.142 14C-B ?     
2008-11-01 Pelikan M800 18C-M → 18C-B(PF) 交換しての仮説   
2008-10-29 Sheaffer Snorkel 14C-F サック硬化、そしてポロリ・・・
     
2008-10-13 Pelikan M805 18C-F 上品な書き味に      
2008-10-08 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB 何か変?     
2008-10-06 1990年代 Montblanc No.146 14K-BB 激変      
2008-10-04 1980年代 Montblanc No.149 14C-BB   
2008-10-01 1950年代 Montblanc No.146G 14C-M ペン先干渉    
2008-09-29 Montblanc Dumas 18K-M 新品      
2008-09-27 1950年代 Montblanc No.146G 14C-BB 柔らかく・・・      

2008-09-24 1950年代 Montblanc No.146G 14C-B クレーター       
2008-09-22 Pelikan 500NN 黒縞軸? 14C-EF 超段差!      
2008-09-20 Montblanc No.149 18C-F ペン先曲がり復活!       
2008-09-17 1950年代 Montblanc No.144 14C-KM 封印の呪い        
2008-09-15 WARL 金張り Pencil Set 14C-M ペン芯が緩い・・・            
2008-09-13 1950年代 Montblanc No.146 14C-KOB → KB 却下!
2008-09-10 1950年代 Montblanc No.144 14C-KEF クーゲルらしく 
2008-09-08 梅田阪急限定ブライヤー 21K-M・・・シャリシャリ感撲滅
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2008-09-01 Montblanc No.134 14C-OB ペン先波打ち修整
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2008-07-15 Montblanc No.149 14C-M 書き味向上
2008-07-07 Delta ドルチェビータ オーバーサイズ 呼吸困難  
2008-07-05   Sheaffer インペリアル 純銀 首軸ユニット交換   
2008-07-02   Montblanc No.149 胴軸交換


Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(7) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
望月玲 しゃん

そのおばちゃんというのがペンステーションの社長です。

すばらしい方ですよ。
Posted by pelikan_1931 at 2009年01月25日 06:20
5
はじめまして。
12月より万年筆に興味を持って田舎に帰省した折、両親より10本程保護して参りました。
そのうちの二本をPen Station Museumに持ち込み分解洗浄を依頼したところ、上記コメントのようにやはりペン先は接着であるとのことでありました。
分解洗浄は一旦ペン先を剥がすことから始めるとか・・・。
私のEliteは79年平塚工場製らしいです(H379 Mの刻印付き)
弊blogに画像載っけてあります。
Posted by 望月玲 at 2009年01月25日 00:46
しまみゅーらしゃん

ありがとしゃん!やはり字巾刻印の有無があるんですな。
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月26日 22:42
つきみそうしゃん

やはり接着でしたか・・・

山のように・・・見てみたいものです。
Posted by pelikan_1931 at 2008年11月26日 22:40
 先ほどの書き込み…

>このタイプのペン先を

「このタイプのペン先が付いたペンを」の間違いです。お詫びして訂正いたします。

 ただし3本中2本は字幅刻印のあるものでした。
Posted by しまみゅーら at 2008年11月26日 14:15
>接着剤でニブを固定した物のように思われるが・・・真実や如何に?

 その通りです。接着、とは言っても、それほど力を入れなくても外れる程度のものです(経年変化で接着力が弱まっている?)。

 このタイプのペン先を3本をヤフオクで買いましたが、そのうち2本がぶつけて曲がったものでした。惜しくはないので、力を入れて引っ張ろうとしたら、案外簡単に外れました。曲がったヤツは整形の練習に使っています(まだまだへたっぴですが)。

 正常な1本は71年製で、同じく刻印のないものでした。スタブ風の研ぎで、なかなか楽しいです。ものすごく書き味は硬いですが…。
Posted by しまみゅーら at 2008年11月26日 12:31
 これと同じ形で、一回り小さなペン先の旧カスタムを手に入れたところ、爪がはがれ落ちるかのようにポロッとペン先がとれました。
 修理に出したときに伺った話では、やはり接着とのことでしたが・・・。
 私の手元にも、このペン先、山のようにおります。 
Posted by つきみそう at 2008年11月26日 11:39