2008年12月08日

月曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.146 14C-F 自力スケルトン! 】

2008-12-08 01 今回の依頼品は1950年代のNo.146軸が半透明なのは、自分で擦って表面の塗料を剥がしたためじゃ。

 この当時のMontblancセルロイド軸素材は、緑縞グレー縞などの(今となっては)高価なモデルを除けば、半透明セルロイドで出来ており、その表面に黒い塗料を塗っていた。従って長年の使用で塗料が剥がれれば、下の半透明素材が見えて、ところどころ内部が透けて見える。それをDemonstratorと呼んで販売しているケースもある。

 この所々透ける・・・というのが嫌な依頼者が思いきって胴軸の全ての塗料を取り払ったのが依頼品じゃ。なかなか潔くて良い!

2008-12-08 022008-12-08 03 依頼内容は、書き味の微調整ということなので、例によってペン先の拡大画像で状況をチェック。

 スリットはギチギチに詰まっているので、インクはほとんど出まい。またよく見るとペン先の表面が曇っている。理由は全くわからないが金の部分のみということで、ひょっとするとエボ焼けに似たような症状かも知れない。こういうのは初めて見た。

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 こちらは横顔。ペン先とペン芯との隙間は無いが、ペン先先端部のお辞儀が多少強いように思われる。

 またスイートスポットが一切無いので、細い字をカリカリ書くには良いのだが、潤沢なインクフロー(ツユダク)と広めのスイートスポット好きな依頼者には物足りないであろう。

2008-12-08 06 これがソケットを首軸から取り出した状態。ソケットを外すには、専用工具か、フォークを曲げた工具を自作して回す。今回は後者。No.146用の専用工具を持ってないのでな・・・

 驚いたことにインク滓などが一切付着していない。ということは相当に腕の良い整備師の手によって完全分解された後、清掃して再アセンブルされているはず。こういう几帳面さは日本人整備師の特長なのだが・・・

2008-12-08 072008-12-08 08 ソケットを外してペン先のスリットを調整し、再度アセンブルして首軸に取り付けたのが左の画像。もちろん表面の曇りは磨いて除去している。

 ごくわずかにスリットが開いていることがわかろう。これでストレス無くインクが出てくるようになった。実は書き味も激変している・・・

2008-12-08 09 それはペン先先端部のお辞儀角度を減じたから。多少猫背を直した上で、スイートスポットを作り込んだ。

 筆記角度に合わせて1200番の耐水ペーパーの上で8の字旋回を合計で80回ほどやり、2500番の耐水ペーパーで形状を整えたあとで、5000番の耐水ペーパーでエッジを落とし、和紙ペーパーの8000番の上で8の字旋回を合計で400回(従来は金磨きクロスを使っていた作業)実施。

 最後に10000番のラッピングフィルムの小片を手に持ってペンポイント周辺部を磨く。15000番を使うと書き出しでインクがスキップしやすいので、細字、極細以外の仕上げには使わないようにしている。

 出来上がった萬年筆で試し書きしてみる。【萬年筆は天使の筆記具】と言ったのは・・・拙者(いま思いついた)じゃが、この言葉が大げさではないと思えるような書き味になった。やはりこの時代のペン先はすばらしい。ふと【声は絶品だが病弱なオペラ歌手】というイメージが脳裏をよぎった・・・

 インフルエンザが徐々に活発化している。うがいマスク、そして何より気合いで、これからの冬を乗り切りましょうぞ!


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   
    


【これまでの調整記事】

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Posted by pelikan_1931 at 06:30│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整